2016年を振り返る2016年を振り返る

(1)    動画マーケティングの伸長

2016年は、動画マーケティングが大きく伸長した一年といえるのではないでしょうか? 2015年に公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会に動画委員会が設立され、広告主の動画活用が顕在化されたのですが、それは2016年になり、さらに大きくなりました。

「C-Channel」ではスマートフォンユーザー向けに縦型動画の配信を始め、1分という時間で見られる化粧や料理の動画が人気だそうです。1分動画では、講談社も「Spooonn!」という料理ノウハウの1分動画配信サイトをオープンしていて、こちらではPC/スマホの両方を考えた、正方形の動画を配信しています。

また、2016年にはやった動画を時系列で挙げていくと、1月にアップロードされた『Perfect Human』のオリエンタルラジオは紅白歌合戦出場を果たし、4月にアップロードされた『MUSIC VIDEO』では、それまで無名だった岡崎体育が大ヒットを実現し、8月にアップロードされた『PPAP』でアーティスト、ピコ太郎はブレイクして流行語大賞ベスト10にノミネートされました。

そして、10月にアップロードされた「恋ダンス」では、このダンスが披露されたTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』がTBS火曜日ドラマ枠での最高視聴率を記録しています。これらは全て動画マーケティング活用の結果であり、今後もこの傾向は続き、ますます活用が広がるだろうと考えられます。

オリエンタルラジオ、岡崎体育、ピコ太郎に関しては、BACKYARDの記事にもなっているのでこの機会にご覧ください。

 

(2)    マーケティングと各種施策の融合

マーケティングにおいてデジタルはもはや構成要素ではなくて、必要条件になっているのではないかと思っています。ただ、デジタルだけで完結するものは少なく、リアルなイベントや、ダイレクトメール等と組み合わせることで非常に大きな成果が出るものと捉えられるのではないでしょうか?

またデジタル領域には、ビッグデータやIoT (モノのインターネット化)、AI (人工知能)なども融合してきていて、製品そのものにマーケティングが組み込まれるケースも多く見受けられます。例えば、今年の『日経トレンディ』のヒット商品ランキング1位を獲得した『ポケモンGO!』に関しては、その話題性で自然に拡散していく仕組みを構築し、広告を行わずに瞬時に世界的なヒットとなりました。

 

(3) BtoBマーケティング新時代

今までマーケティングの領域ではBtoCがメインと考えられていたと思いますが、2016年にはBtoBに大きな焦点が当たってきているように感じています。BtoB領域では、人的な営業が中心で、マーケティングの及ぼす影響は限定的と捉えられている節もありました。しかしここに来て、BtoB領域にマーケティングの技術を取り入れる動きが非常に活性化しているように感じるのは筆者だけでしょうか?
欧米で進展した流れが日本に入ってくる形ですが、企業のマーケティングツールの導入や活用がより広がってきていて、IBMのデジタルメディア『Mugendai』や、NECの情報メディア 『wisdom』 等、BtoB向けの企業オウンドメディアの設置も進んできています。そして年末になり、米国で進んでいたABM (Account Based Marketing)の本、『究極のBtoBマーケティング ABM』も出版され、マーケティング・セールス部門で第1位を獲得するなど、関心の高さを裏付ける結果となっています。
また、BtoB業界のカンファレンスも活況で、しかも業界が主催するのではなく、マーケティングツールのサプライヤーが大きなカンファレンスを数多く開催している状況があります。

2017年の予想:会話型マーケティングの伸長、AIのConsumer Side Platformへの応用、マーケティング4.0の伸長

 前章で振り返ってみた2016年のマーケティングのトレンドは、2017年においても加速こそすれ、減速することはないと考えています。また、2017年には新たな兆候も顕在化してくると思うので、それらについても簡単に触れてみたいと思います。

 

(1)  会話型マーケティング、サポートの伸長

読者の皆さんが使っている対話型アプリは何でしょう? LINEやFacebookメッセンジャー、Googleハングアウト、セールスフォースChatterやSlack等を使っているのではないでしょうか? それらを使うことに反比例して、メールや電話に使う時間が減っているのではないでしょうか? 世の中はどんどん会話(チャット)型のコミュニケーションへと進化しています。

ネスレ日本株式会社は、2016年11月にマルチ・チャネル対応の対話型の自動応答によるお客様サポート「ネスレ・チャット・アシスタント」を導入したそうです。プレスリリースによると、“IBMのコグニティブ・システム「IBM Watson」を活用し、ネスレのコンタクトセンター「ネスレVOCセンター」におけるお客様サービスの向上に協働で取り組んでいます。その第一弾として、WebやLINEアプリに対応した自動応答によるお客様サポート「ネスレ・チャット・アシスタント」を11月21日(月)より開始します。”とあります。
これは、まさに会話型マーケティングの時代を先取りした施策であり、多くの企業がこれに続くのではないかと思われます。会話型のマーケティングツールとしては、ネスレの事例のように、AIを活用したものも多数出てくるでしょう。

ちなみにIMJでも、この会話型マーケティングのトレンドを捉えて「One to Oneトーク型のキャンペーンパッケージ」を発表しています。また、チャットBotに関しては、以下のBACKYARDの記事も参照してみてください。

 

(2)  AIを活用した「CSP (Consumer Side Platform)」の伸長

筆者が2014年より普及を予測しているのが「CSP:コンシューマーサイドプラットフォーム」です。これは、ユーザーが特定のプラットフォームに個人情報を提供することで、ユーザーの利便性や欲しい情報を、最大限考慮した形で運営されるプラットフォームから有用な情報が取得できて、自分が望む姿により近づいていける、という考え方です。詳しく知りたい方は、こちらの記事も参照してみてください。これらのプラットフォームにAIを活用することで、パーソナライズされたリターゲティングとは質の違うレベルでの有用な情報が提供されることになるはずだと私は考えています。

 

(3)  「マーケティング4.0」の伸長

「マーケティング4.0」とは、近代マーケティングの父といわれるフィリップ・コトラー教授が2014年に提唱した概念であり、その根本は“自己実現のマーケティング”です。詳しくは筆者の関連コラムをご覧ください。マーケティングの進化について言及しています。

また、2016年の12月には、英語版の『Marketing 4.0: Moving from Traditional to Digital』という本が発売されています。そこでは、著書のサブタイトル『Moving from Traditional to Digital (伝統からデジタルへ) 』にもあるように、デジタル技術がもたらす変化を規定していて、その根本にある部分は“自己実現”と“共創”だと指摘しています。それは企業と消費者の距離がデジタルによって縮まる事により実現されると言っています。

例えばクラウドファンディングでは支援者と実行者(個人・企業含む)が一緒になって製品やサービスを開発し、その成功と失敗を“共有”し、“自己実現”しています。インターネットの動画を共有したり、一緒に踊ってみたり、自分なりにダンスをアレンジしてアップすることも、“共創”と“自己実現”を体現していることになるのでしょう。そして、こういった“自分ゴト化”できる製品、サービスはソーシャルを通じて拡散されることになるでしょう。

まとめ

2016年に引き続き、2017年もBtoBマーケティングは伸長していき、ツールなどの導入は増え、動画マーケティングはいっそう活用され、各種の施策は融合していくことでしょう。

特に2016年のポケモンGO!的なO2O (オンライン・トゥ・オフライン)施策も、ますます融合が進んでいくでしょう。IMJでは、既にこれらのトレンドに注目していて、デジタルスタンプサービス、「PlusZone/Stamp」の提供を開始しています。

2017年、どのようなトレンドでマーケティングが進化・深化していくのか?
皆さんは、どう考えますか?