前回の「企業のデジマケ担当者必見!経産省のSNS成功事例集がお役立ちすぎる」に引き続き、経済産業省が2016年4月に発表した<企業のソーシャルメディア活用に関する調査報告書>から、6つの事例をピックアップしてご紹介します。

※あくまで経済産業省発表の事例集にある事例紹介であり、弊社の実績紹介ではありません。 

 

今回は、IMJのロイヤルティマネージメント戦略に特化したチームで活躍している、NPS()コンサルタントの資格を持つメンバーに顧客ロイヤルティ視点で分析してもらいました。

※NPS(Net Promoter Score / ネットプロモータースコア)とは

NPS®とは企業と顧客との関係性(ロイヤルティ)を推奨度で測定する指標です。NPS®の詳細はこちら

 

玉井由美子

IMJ NPSコンサルタント(Net Promoter(R) 認定資格者)
玉井由美子

 

松永来美

IMJ NPSコンサルタント(Net Promoter(R) 認定資格者)
松永来美

 

NPS太郎

NPS太郎

 

【事例1】花王 Yahoo!知恵袋の公式アカウントでブランド好感度向上

ターゲットである主婦の悩みが集まる知恵袋上にアカウントを開設し、1ユーザーとして入り込み、プロ目線で回答。花王の回答はベストアンサー率が94%に達しており、こうした活動がブランド好感度の向上に寄与できると考えている。

 

 

玉井:自分が知恵袋に投稿したお悩みに対して、いつも使っているブランドである花王さんからアイディアやヒントをもらえたら、すごく嬉しいですよね。しかもその回答がプロ目線で信頼できるものならなおさらです。

NPS太郎:そうだね。ユーザーにとっては、企業が自分の質問に答えてくれたというちょっとしたサプライズ体験にもなるし、同時に「花王って本当に生活者に寄り添ってくれるんだ」という安心感を得ることにもつながるね。製品・商品のクオリティやそれらに対する愛着だけでなく、企業姿勢や企業と自分との距離感のようなところもNPSの向上に大切な要素なんだよね。

玉井:たしかにNPS分析をしていると、特に推奨者にその傾向が見られます。この事例のように、自ら他のプラットフォームまで出向いて質問に答えに行くアクティブな姿勢は、「顧客を大事にする」「顧客の声を聴く」という企業姿勢のアピールにもなりますね

 

【事例2】ヤッホーブルーイング Twitter上でビール購入報告が大盛り上がり

ヤッホーブルーイングのビール(かえるモチーフのビール)がローソンで期間限定発売時に行ったプロモーション事例。Twitterで「本当に売られているか確かめてほしい」とフォロワーに依頼。「探して購入したよ!」という報告が全国から相次ぎ、最終的には地図上にかえる捕獲報告をまとめ、選挙戦のように盛り上がった。

玉井:ユーザー巻き込み型のソーシャル企画は、ブランドと参加者の距離感を縮める方法のひとつですね。

NPS太郎:こういうイベントの参加者のブランドに対するNPS数値は高そうだね。参加前と参加後のNPS数値を比較したら高くなっているはず。企画の成果指標としてキャンペーン前後でNPSを調査するのも面白いね。

玉井:行動面と心理面からの計測ですね。ロイヤルティ向上を目的とした施策には、やはり両軸が必要ですよね

 

【事例3】ピーチ・ジョン Twitterサポートで信頼感醸成

顔が見えないECでは顧客の声に対応する姿勢をみせることが重要と考え、2014年に開設したTwitterアカウント「PJコンシェルジュ」で日々顧客から寄せられる質問に回答。やりとりの結果購入につながることもある、とのこと。また、コミュニティサイトには、Twitterでの回答のやりとりを一覧化して掲載することで可視化もしている。

※コミュニティサイト「My PEACH JOHN」 の「MyVoice」(左)と、顧客対応Twitterアカウント(右)

 

玉井:ロイヤルティ醸成の観点から見ても、「顧客の声を聴いて、活動に生かしている」という姿勢を見せるというアクションは非常に重要です。

NPS太郎:そうだね。NPS向上の施策の一つとして、批判者対応NPS調査で批判者として分類される顧客を減らすために行う施策)をする場合に用いられる手法だね。丁寧に不満や疑問に回答していくことで、NPS向上につなげていくという考え方だね。

 

【事例4】RNTホテルズ ソーシャルリスリングをもとに業務を改善

ネットからの予約が増え、ネット上の口コミ情報が重要になったことを受け、ソーシャルリスニングを本格的に導入。料金・設備・客室といった項目ごとにネガ・ポジのコメントを分析し、課題をみつけて、改善につなげている。(梅雨時期に客室の臭いに関するネガコメントが一定量あることを見つけ、エアコン設備を改善など)

 

 

松永:コメントを書いてもらっても、なかなか上手に利用するのは難しいと感じる企業が多い中、きちんと分析して改善活動にまでつなげているのは素晴らしいと思います。

NPS太郎:その通り。コメントはユーザーの生の声だから改善の重要なヒントだね。NPS分析を取り入れると、顧客の分類ができるようになるから、施策の優先順位付けができるようになるんだよ。コメント数に引っ張られて見つけられなかった、ロイヤルティを向上させる重要なヒントが見つかることもあるんだ。

 

【事例5】サッポロビール Facebookコミュニティで商品開発

Facebookページで、毎週金曜の夜をユーザー会議時間と決めて、商品コンセプトから、商品名、味、パッケージといった議題について意見を募集し、商品化。10万ケースを売るヒットに。

 

松永:毎週、「この時間に参加できる人!」と参加に制限をかけているので、とても濃いブランドのファンが集められていそうですね。出てきたアイディアも質が高そうです。

NPS太郎ロイヤルティの高い顧客から出る意見だから、施策に生かしたらとても成果が出そうだね。この企画で集めたロイヤルティが高いユーザーに対して、今後もコミュニケーションを続けていけば、彼らの存在がマーケティング活動にとても役立つものになる可能性も高いよね。

 

【事例6】良品計画 自社で用意したコミュニティサイトで商品改良 

2000年から実施している顧客の声を生かした商品開発を行うコミュニティ運営で、既存商品の改良などを含めて年間100件近くが商品化しているそうです。ヒット商品“ひとをダメにするソファ”として有名になった「体にフィットするソファ」も顧客の声から生まれたとのこと。また、再販希望の意見が多くよせられた商品の再販を行うなどの活動もしている。

 

 

松永:ピーチ・ジョンの事例にもあったように、ユーザーからの声を施策(この場合は商品開発)に生かすことって、本当に大事ですよね。ユーザーから声を集めるだけでなく、それを上手にフィードバックして「読んでいるよ」「受け止めているよ」と表現することも、ロイヤルティ向上には大切なことなのですね。

NPS太郎:そうそう、そこなんだよ。多くのクライアントが抱えている課題が「アンケートやソーシャルリスニングをしてもフィードバックがうまくできない」ということ。フィードバックまでを含めて、調査設計やソーシャルリスニングをしていかないと、せっかくの聴く姿勢がロイヤルティ向上につながらなくて、もったいない場面も多いと思う。

まとめ

ソーシャルメディアは顧客の声を集めるのに、とても適したツールです。

そのツールを使って集めた声を、どう戦略的に活用するのか、どのように顧客にフィードバックするのか。ソーシャルメディアをロイヤルティ向上に活用するには、そこまで考えることが必要です。

コメント内でご紹介したとおり、NPSはその戦略立てやフィードバックの方法を検討する時に使える指標と言えます。「顧客ロイヤルティ」という捉えどころのないものを数値化することができるため、ロイヤルティマネージメントの成果や課題を確認したり、施策の優先順位を検討したりすることができるようになるのです。

 

NPS®に興味を持たれた方は、「NPS®スコアだけを比較するのはナンセンス!」もぜひご覧ください。