近年、話題に上がることが多いWeb動画を使ったプロモーション。
そんななか、2017年前半は“見て”面白いだけではなく、“体験して”面白いインタラクティブ性の強いものが目立ちました。

①銀のさら プレゼンツ 「最高においしい瞬間」

動画が流れている間、画面をタップすると、タレントが変顔になっている“おいしい”瞬間で一時停止されてしまうというプロモーション。

ここがPOINT!
・“おいしい”という言葉の意味を最大限に拡大解釈することで実現したアイデア
・単に見る動画ではなく、ユーザーが瞬間を捕らえるというインタラクティブ性


一見、「映画宣伝のサイト」と勘違いしてしまいそうなサイトデザイン。見る側自身が画面をタップして瞬間を捕らえる動作によって、ユーザーは能動的にそのコンテンツを楽しむことができます。

お寿司を口に入れた時の“最高においしい瞬間”を感じてほしいというブランドの想いを、女優がマヌケな顔をした“最高においしい瞬間”に変換することで、印象深いブランドとして、ユーザーの記憶に刻まれたのではないでしょうか。

②KIRIN プレゼンツ グランドキリン「FIND YOUR STYLE」

ミュージックビデオ再生中に個現れる「TOUCH!」というマークをタップすると、クラフトビールに関するさまざまな知識を画面タップ・スライドなどの動作を交えて知ることができるコンテンツ。

ここがPOINT!
・20代に流行りの“シティー感”に合わせたブランドコンセプトとデザイン
・動画でありながらも、パーソナルに情報を選択/体験できるというコミュニケーションデザイン


単に情報を並べるのではなく、ユーザーが能動的に動くことで情報が開示されるという流れにより、「ここをタッチしたらどうなるのだろう」と、さらなる興味をそそります。
若い人たちに「どうやったらこのビールを自分ごと化してもらえるか」という体験のデザインを、音楽とビジュアル、またコンテンツの多様性によって上手く実現しており「もっと感じたい知りたい」という気持ちにさせられます。

③LINE プレゼンツ 「サイバー防災訓練」

ラーメンズの片桐さんが実際に自分に語りかけているかのような動画を通して、LINEアカウントの乗っ取り被害を疑似体験するコンテンツ。

ここがPOINT!
・動画の中のLINE画面上に自分や友だちが登場するというリアル性
・ユーザーの動作によって最後の結末が変わるというゲーム性


LINEアプリを起動させた時に、いきなり「サイバー防災訓練」への誘導広告がポップアップ表示され、驚いた方も多いのではないでしょうか。
なんといってもこのコンテンツの凄いところは、動画の中に自分や友だちのアカウントが埋め込まれて再生されることです。
LINEで多発しているアカウント乗っ取り被害。ただニュースで注意喚起するだけでは他の多くの情報に紛れてしまい周知が難しいです。そんな状況に対し、リアルなユーザー情報を取り入れた体験をしてもらうことにより、ユーザーそれぞれの注意しようという意識を向上させました。現実と動画が融合するという…ここまで個人情報を同期して面白いプロモーションができるのはLINE社だからこそではないでしょうか。

今でも以下のリンクから、動画を体験することができます。
https://cyber-bousai.line.me/

④SUNTORY プレゼンツ ほろよい「sukkiri horoyoi erika」

テレビCMの中で一瞬映る沢尻エリカさんの携帯番号に実際にかけると、本当にエリカさんの声が応答してくれる留守番電話につながり、そのあとさらに折り返し留守電を入れておいてくれるというプロモーション。

ここがPOINT!
・今どきのTVシチュエーションを上手く使ったコミュニケーション
・視聴者が電話をかけるところまでプロモーションが続くという現実との融合性


これはマスメディアでも大きく取り上げられ、2017年前半で最も話題となった施策ではないでしょうか。ほろよいの新製品発売に合わせ、髪を切ってすっきりした新しい沢尻エリカさんが昔の自分に電話をかけます。視聴者がCMに映りこんだ電話番号へ試しに電話をかけてみて「なんだ、留守電か…」とがっかりした後、自分の電話に沢尻エリカさんが留守電を入れてくれているという2段階に分けた体験のデザインもユーザーの心を上手く揺さぶって話題化した要因ですね。
スマホを触りながらテレビを見る、今どきのTVシチュエーションに上手く合わせてコミュニケーションすることで話題を生んだクロスメディアプロモーションです。

⑤日清シスコ プレゼンツ ココナッツサブレ 「5572360」

ミュージックビデオの中で、4つの楽曲を自由に組み合わせながら、自分が音楽作品を作っているような体験ができるコンテンツ。

ここがPOINT!
・当初のブランドイメージから思い切った、飛躍的デザイン
・音楽を体験するという新しい視点


一年を通した「おかしなイメチェン」というキャンペーンテーマのもと、このためにソニーミュージックレーベルからデビューした「五五七二三八〇」。ココナッツサブレ50周年を記念してプロモーション自体も今までの素朴な印象から一変、今流行りのアニメや、Perfumeのような宇宙感、エレクトロニックさを取り入れた挑戦的なものに仕上がっています。
「え、4曲同時再生したらごちゃごちゃにならない」と思った方。なんと、この曲はココナッツサブレが4つの小分けになったことにかけて、メンバー8人が2人ずつに分かれて収録した4曲を同時再生することで、一つの楽曲『四味一体』が完成するのです。
今までの音楽を聴く立場から、音楽を“体験する”という新しい視点に立つことができます。
この『半世紀優等生』のPVの再生回数は180万回を超え、「五五七二三二〇」がTwitterのトレンドワードになりました。

 

見る動画ではなく、体験する動画。最近の企業プロモーションの傾向や、近年音楽業界でもアーティストのライブ売り上げが上昇していることなどからも、現代の人はその場で生まれる「ライブ感」「唯一感」を求めているのではないでしょうか。