前回の初級編では、
・ディープラーニングが現在の人工知能ブームの火付け役になったこと。
・従来の学習方法に比べ、自らデータの特徴をつかむことができること。
・スペックの進化やネット上の膨大なデータが実現の背景にあること。
をイメージしていただけたと思います。

まだの方はこちらから→
マンガでわかる!AIブームを巻き起こした「ディープラーニング」とは?(初級編)

でも、実際どんな処理が行われているのでしょうか?一度でもディープラーニングの解説を見たことがある方ならお分かりの通り、なかなか難解なのですが、今回もだいぶざっくりと分かりやすさ重視でディープラーニングの学習法を漫画で表してみました。また、実際に企業がマーケティングやサービスに活用する際のポイントと思われる点も後半でまとめます。

 

■ディープラーニングの特徴のつかみ方

漫画では階層をなして、大きなデータをどんどん要約・検証していくという例えを用いて説明しました。どんどん精度の高い要約を繰り返していくと、重要な特徴だけが残されていくということは文系の方でも、なんとなくイメージしやすいのではないでしょうか?

このように各層で、元のデータをもとに検証しながら、次の層に渡していく作業、前回の漫画であった「正解データ」がいらないというメリットを生み、より学習に人手が不要になりました。
漫画では4階建てのようなイメージですが、実際にGoogleの猫画像の学習は、9階層で、画像1,000万枚を1,000台のコンピュータで3日間かけて行われたとのことです…!

■現状の活用事例

漫画にでてきた社長さんは困ってしまいましたが、実際には人工知能やディープラーニングの活用をどうとらえ、進めていくのがよいのでしょうか?

まずは、現状のディープラーニングの活用事例を見てみましょう。

①    ホットペッパービューティーによる画像検索への活用
リクルートライフスタイルが運営するホットペッパービューティーでは、類似ネイル検索機能にディープラーニングを活用。ネイル画像データからどの指の爪か、どんなデザインであるか、どんな色であるかを学習し、判別できるようにし、類似ネイル検索の精度向上によるサービス内の回遊率やCVR向上を狙った事例。

②    Yahoo!の自社の音声認識エンジンにディープラーニングを活用
Yahoo!乗換案内などのYahoo! JAPANサービスで「音声検索」などをするための音声エンジンの精度向上にディープラーニングを活用。駅ホームや街頭など雑音が多い環境で、実際に認識精度が高まった。

③    Spotifyのレコメンドにディープラーニングを活用
最近日本でもサービス開始された、音楽ストリーミングサービスのSpotify。以前は、同じような曲を聴いているユーザー同士は、嗜好が似ているというようなロジックでレコメンドをしていたが、この方式だと人気の歌ばかりがレコメンドされる傾向になってしまうため、曲自体の信号を解析して類似性を学習させ、楽曲をレコメンドすることでレコメンドの質を向上させているとのこと。

 

漫画内に「弱いAI」という言葉がありましたが、映画にでてくるような自分で状況を判断して、行動をおこしていくような「強いAI」ではなく、画像認識、音声認識、楽曲分類などある程度限定的なタスクに対してのディープラーニングが使われているのが現状です。

このような各認識による学習を組み合わせていくことができると、徐々に映画で登場するような「強いAI」に進化していけるかもしれない!その光がみえたぞ!というのが第3次ブームの正体です。ただ、その実現にはまだ超えるべき壁がたくさんあり、まだその入り口に立っていると考えた方がよさそうです。

■企業が活用を検討していく際のポイント

1)目的ではなく手段であることを忘れずに。

まず、漫画にあったとおり、ディープラーニングもAIも目的ではなく手段であるはずです。
人工知能によって、限定的なタスクに対して精度をあげることができるのだとすると、自社のマーケティング、サービス上でどこの精度をあげるべきか、どこの精度があがると、顧客満足度や売上が上がるのか、もしくはコストが下がるのか。そういったマーケティング全体像、もしくは経営の戦略全体像から優先度を考えていく必要があります。

2)データをいかにして保有していくかがキーになる!
そして、ディープラーニングにも機械学習にも、とにかく圧倒的なデータ量が必要だということです。現状、人工知能研究をリードする企業たちにとって「大量なデータを保有している」ということが大きな優位性です。人工知能はデータがないと学習できません。
これまでのデジタルマーケティングの基本は、データからPDCAサイクルをいかに回せるか、でした。なので、デジタルマーケティングに本気で取り組んでいた企業ほど、データがたまっているはずです。これからは、いかに人工知能が学習しやすいデータを集めたり、生成できるかという時代になってくるかもしれません。いざ人工知能技術が発展した際に、自社には有効なデータがまったくないということにならないために、今からいかに備えられるかがキーになるでしょう。

3)まずは、トライ&エラーの姿勢で!
上記2点を踏まえて、どこをデータ化して蓄積していくべきか、どこに人工知能を活用していくべきか、大きな投資を伴う本格活用の前にそれらを判断するためにも、仮説を立てた上で、実験(トライ&エラー)していく姿勢が必要になってくると思われます。それは、決して人工知能のためのまったく新しいプロジェクトではなく、これまでのデジタルマーケティングの課題に対する取り組みの延長線上にあるのではないかなと思います。

 

AIブームの中で、企業のデジタルマーケティング担当者が人工知能について、調査や理解を進め始めていることを肌で感じながら、中でも難解な「ディープラーニング」についてなるべくわかりやすく解説したいという意図から連載した本記事。少しでもお役にたてたら幸いです。
「ん?初級、中級と来て、上級編は?」
えっと…、ディープラーニングについて本格的に学びたい人は専門書や専門セミナーをおすすめしますし、自社のデジタルマーケティング課題にどう生かすべきかについてもっと知りたい人は、ぜひ一度弊社にお問い合わせください!!

 

(文:さかた/絵:安西/監修:すまのべ!)
参考文献:松尾豊「人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの」