Retail’s Big Showとは?

Retail’s Big ShowはNRF(全米小売業協会)が行っている小売業界向けのイベントです。何と2017年は106回目の開催! スゴイ歴史です。今年は94カ国から35,000人の来場者があり、ブースの出展者数も500以上! まさに世界規模のイベントと言ってよいでしょう。2年連続で参加した同行者の体感では、16日の月曜日はスゴイ人出で、去年よりかなり増えているのでは、との事でした。

注目ポイント1:新設されたイノベーションラボ!

今年からスタートアップ系の企業・サービスが集うイノベーションラボのエリアができていました。イノベーションラボではブースとは別にプレゼンテーションのエリアがあり、出展している企業からプロダクトの紹介をするプレゼンが毎日行われていました。初日は椅子が全然足りず、立ち見続出で、床に座って見ている人も出るという大盛況ぶりでした。中でも注目を集めていたのは以下の2ブースです。

 

■チャットBOTのインターフェースが秀逸:mode.ai

AI関連ではチャットBOTでECを展開する「mode.ai」のデモンストレーションブースに人が多く集まっていました。チャット型インターフェースのECは絞込がなかなか良くできていて、また動作も軽いので好感触でした。こちらからデモを体験できます。

デモサイトでやってみたmode.aiのキャプチャです。

 

■ARで家電や家具の配置を体感できる:AUGUMENT

またAR/VRでは「AUGUMENT」がECと連携して家電や家具などの配置イメージをARで確認できるサービスが展示されており、「ARはこの使い方あるよねぇ」と思っていたものが、ついにサービス化まで来たのだなと感じました。

 

全体の印象としては粗削りな感じも見て取れましたが、イノベーションラボにブースを出している企業はサービス・プロダクトとして新しいテクノロジーを使ってメニュー化してきており、リテーラーはテクノロジーへの期待を高めている事が感じられました。

注目ポイント2:店舗運営サポートのテクノロジーが進化している!

我々IMJも昨年から注目している、カメラやビーコンやWi-Fiを利用した店舗の入店計測や導線分析をするツール。ブースで話を聞くと『昨年までは『こんな事ほんとにできるの?』という興味半分で聞きに来ていた来場者が、今年は実際の導入に向けてのディスカッションをしにくるお客さんが多い』との事でした。やはり店舗を分析する上では欠かせない技術のひとつになってきています。

ただし、今年はもう少し進んでいました。それぞれのソリューション単体では取得できる情報も限られているので、データを複合的に見て、リアルタイムに店舗のスタッフをサポートするようなソリューションが多かったように思えます。

 

■センサーを使った試着室の利用状況のリアルタイム表示システム:INDYME社「Fitting Room Solutions」

センサーを利用して試着室の利用状況を自動で認識し、ディスプレイで表示します。色が濃い部屋が長時間使っているなど、データが可視化されています。試着室の回転効率を上げる事で売上につながりますね。​

 

■来店した時点でお客様を特定し行動をリアルタイムで計測:Cognizant社

Microsoftブースの中にあったCognizant社のソリューション。Wi-Fi、ビーコン、カメラ等の複数のテクノロジーを組み合わせることで、リアルタイムでお客様の来店状況がわかります。

会員カードなどで顧客情報を取得していても、お会計の時にカードを出すまでわからないお店が多い中、このソリューションであれば来店した時点でお客様を特定でき、重要なお客様に手厚くケア出来ます。これを利用すれば顧客満足度がかなり上がるのではないでしょうか?

小売業界を牽引する著名スピーカーによる事例に溢れたセッション

Retail’s Big Showはセッションも充実しています。なんと3日間で300人ものスピーカーが話をしてくれます。圧倒的なボリュームです。キーノートは一体何人聞いているだろうという人数の会場で、とにかく大きいし、業界の著名人がスピーカーとして話をしてくれます。ここの話を受けて小売業が今年動いていくのだろうというエネルギーを感じました。

実際に受講した11セッションの中から、特に気になったセッションを紹介したいと思います。

 

■新進気鋭のアパレルショップ BONOBOSの事例

BONOBOSでは店舗のシステムにアクセスする端末をラップトップからタブレットに変更する事で、スタッフが店舗をガイドするような形で接客・コミュニケーションができるようになりました。

さらにClientelingの導入をして、店舗にきたお客様のデータ(購買履歴やウェブのアクセス履歴など)を確認しながら、お客様に最適なガイドや商品のレコメンドをするという、デジタル的な施策をリアルな店舗でできるようになったのです。

顧客の事を考えて、システムからスタッフまで変化をしていける柔軟性・スピード感がスゴイですね。

 

デジタルを利用して顧客体験を向上させて、成功しているケースです。実行するにはかなりの労力がかかりそうですが、実現させてしまう熱量に感服です。さまざまなテクノロジーを利用して、データを取り、分析をして再度トライをする。技術進歩により色々なデータを横断的に見られるようになり、新しいアイデアも形になり、成功していく流れができている事に興奮を覚えます。

2017年のRetail’s Big Showのまとめ

  1. スタートアップ系の企業のテクノロジーも取り込んで、よりデジタル化が進もうとしている。
  2. 店舗解析は、導入するのが当たり前。複数のデータを横串で見て店舗の運営効率をあげるという流れになってきている。
  3. 店舗があるという事を強みにした店作り・顧客体験を作り、ビジネス的に成功している事例が出始めている。

アメリカでは年々、小売業界のデジタル化のスピードが加速しています。日本でも店舗解析などは導入が進んできていますが、アメリカでは既に複数のテクノロジーを組合せて、リアルタイムでダッシュボードを見ています。今のアメリカのレベルに日本が達するのは、2年後くらいではないかと感じました。

とはいえ、アメリカでは成功事例が着実に増えてきています。先行的に導入できれば、大きなリターンがあるかもしれません。日本でも成功事例が出れば、一気にドライブするかもしれませんね。今後の動きに注目です!

 

>>2016年のイベントレポートはコチラhttp://backyard.imjp.co.jp/articles/NYRetailBigShow_2016