業界を超えデザインの叡智が凝縮された2日間!

Designshipは今年が初開催にもかかわらず、Facebookイベントで興味があると登録した方が8,800名を超え、チケット売り切れにつき中継配信チケットも追加販売するなど、開催前から注目の高さが伺えました。

キーノートにはデジタル、グラフィック、プロダクトといった、業界を超えた一流デザイナーが集結。一般公募で選考を通過したパブリックスピーカーたちも、エクスペリエンスデザイン、VoiceUI、空間プロトタイピングなど幅広い視点から、デザインにまつわる自分の物語を語り、ステージはTEDさながらの熱気に満ち溢れていました。

会場はもちろんのこと、Twitter上でもハッシュタグを介して盛んに感想や意見が飛び交うなど、あくまでデザインを広義にとらえ、未来にむけて業界や業種を超えていくというコンセプトに共感して集まった、スピーカーや参加者、スポンサー、スタッフ、それぞれの熱い想いが垣間見えるイベントとなりました。

アクセンチュア インタラクティブとIMJでは、企業セッションとしてアクセンチュア インタラクティブからBrand Strategy & Design シニア・マネージャーの清水武穂、IMJからはService Creation本部 本部長の市川英子が登壇。

また、公募枠にて、常葉大学で非常勤講師も務めるIMJ Service Design lab. シニアデザインマネージャーの太田文明より「日本型サービスデザイン・プロジェクト」の成功の秘訣と題してスピーチしました。

本記事ではサマリとともに、各登壇者に聞いた、なぜDesignshipでこのスピーチを伝えたかったのか?という背景や最も伝えたかったこと当日参加・登壇した感触についてのコメントも紹介します。

DAY1: 清水武穂「LIVING BUSINESSの時代におけるブランドデザインの重要性」

清水からは、今求められる真のブランディングとは何なのか?というテーマでセッションを行いました。

まず、消費者が普段触れているiOSのアプリのような体験を、他のさまざまなものにも期待するようになったという消費者の期待の流動化が起きているということ、そしてそれに伴い直接的に競合しない企業のブランド体験と比較されるようになり、業界の枠を超えたプレーヤーや競合がでてくる“LIVING BUSINESS”の時代を迎えているということをお伝えしました。

その上で、「ブランディングは広告を中心としたイメージングから、一貫した生活者体験の差別化が重要になってくる。例えば、これまでのブランドイメージング含め、プロダクト、サービス、リテール、従業員の対応、配送のロジスティック、プライシング、コールセンターなどすべて含めた体験の総和がブランディングになる」という考え方を示しました。

そのようなイメージングによる幻想の信頼ではない、透明性のある信頼関係を築くためには、経営戦略やビジョン、顧客体験はもちろん従業員の体験、そして社会に対する存在価値までをデザインすることがキーになると説明した上で、アクセンチュア インタラクティブとIMJでは「REINVENTING THE EXPERIENCE」というキーワードを掲げ、そういった体験を含めたビジネス体質そのものの再発明、再構築に取り組んでいると締めくくりました。

 

【清水よりコメント】

ブランディングに対してのステレオタイプな考え方や、言語化できていないフワッとしたものを明確にしたいという想いがありました。また、イメージングやサービスといった手段、つまり「技」のみならず、そのためのマインド、ミッション、ビジョンといった「心」がどうあるべきか、そしてそれを実践するためのビジネス体質「体」、その「心・技・体」が必要であるということを最も訴求したかったです。

Twitter上で私の登壇内容について、来場者のツイートによってバズったことにはビックリしました。おかげでTwitterフォロワーが増えて何をツイートするべきか悩んでいます(笑)

DAY1: 市川英子「サービスデザインDoingに役立つ3つのヒント」

市川からは、クライアントともにサービスデザインに日々取り組んでいる立場として、とあるプロジェクトでの成功例をもとに、サービスデザインを進める際の実践的なヒントをお話しさせていただきました。

まず、前提としてお話ししたのが、DesignThinking(デザインシンキング)がもてはやされる今、DesignThinkingをベースに実際にプロジェクトを実行・推し進めていくこと=Design Doingの重要性、そしてDoingするのはハードであるということ。

そして、推し進める際のヒントとして、以下の3つを実際のケースストーリーに合わせて紹介しました。

1、クライアントのいいなりにならない。

クライアントの言ったことに脊髄反射的に提案をしてしまうのではなく、なぜそう言っているのか?を突き詰めること。

依頼を受けると、反射的にすぐに提案をもっていってしまいがち…

2、クライアントのカルチャーにプロジェクトをフィットさせること。

今回のケースでは、クライアントヒアリングをもとにデザインスプリントを2日間に凝縮したオリジナルプログラムをアレンジした。サービスデザイン自体はまだまだ理解が十分でない場合も多いので、理解をしてもらいながら一緒に進むことが重要。

何に価値を感じてもらえる文化なのか、都度考える…

3、クライアントを巻き込んで1チームにすること。

「発注者」対「受注者」ではなく「プロジェクトを一緒に推進するチーム」という捉え方をすることで推進力が高まる。今回のケースでは、スプリントでの結果を、社長に報告する場にもアクセンチュアとIMJのメンバーが同席。他にも、例えば、ワークショップの運営にもはいってもらうといった工夫をしながら、進めることも。

担当者ともにプレゼンする

最後に、IMJではこのようなサービスデザインを実行していく仲間を募集中!という呼びかけで締めくくりました。

 

【市川よりコメント】

私からは案件を「ストーリー」として伝えることでIMJの仕事内容の「手触り感」を感じてもらえればと考えていました。お伝えしたヒントは、それぞれ実行することで業界におけるデザイナーの地位向上につながるものだとも思っているので、もし日常の業務で一つでも行動が変わったということがあれば、それが一番嬉しいなと思います。

イベントは思った以上に若い方が多く、ものすごくパワーを感じました。(特にTwitter!! すごい。)ムーブメントが起こりそうな予感がしたので、一過性ではなく、ここから何か産んでいかなくてはいけないなと強く感じました。

DAY2: 太田文明「日本型サービスデザイン・プロジェクト」の成功の秘訣

一般公募で選ばれた太田からは、サービスデザインを実行する際に陥りがちなアンチパターンに触れつつ、日本で成功の秘訣をライオン株式会社様との取り組み事例を交えて、お話ししました。

まず、UXデザインとサービスデザインの違い、そして、これまでの仮説検証型のビジネスデベロップメントとサービスデザインの違いを図示して説明(下スライド)。(ここでは、シンプルでわかりやすい図に、会場が一斉に写真をとる姿も目立ちました)そして、IMJのデザインサービスデザインの3つの原則<人間中心、共創的、試作的>をご紹介し、この原則に則らなければ、いかなる手法を駆使してもサービスデザインはうまくいかないことを強調しました。

そして、日本企業向けにサービスデザインを導入してきた経験から、米国発のデザイン思考を日本で取り入れるには注意が必要だという観点で、陥りがちなアンチパターンを具体的に列挙。

探索するのではなく、仮説検証してしまう、共感ではなく同感(自分だったらこう思う)してしまう、つい途中で実現可能性を考えたり、これは売れるだろうか?ということを考えてしまう…等々、具体的なあるあるパターンを挙げたのち、最大のアンチパターンとして、「大して厄介でもない問題に対して、デザイン思考をふりかざしてしまう」ということを紹介しました。

後半ではライオン株式会社様との取り組み事例(AIスマートミラー)をご紹介。IMJはアンチパターンに陥らないように、プロジェクト自体もサービスデザインしながら進めており、クライアントがどういう体験をしたいのかも、サービスを生み出すための裏側の舞台もデザインする大切さを説きました。

最後に、「デザイン思考が『分かって』いても、なにも『変わって』いなければ意味がない。『わかる』はもうたくさん、『かわる』をはやく」という言葉で締めくくりました。

【太田よりコメント】

日々クライアントから多く寄せられる「サービスデザイン、すでに取り組んでいるのに上手くいかない」「成果が得られない」という悲痛な叫びに、少しでもお応えしてお役に立ちたいと思い、クライアントにご相談しながらギリギリのところまでお話しさせていただきました。特にアンチパターンに焦点を当てたのは “サービスデザインとは似て非なる何か” から、早く脱却していただきたかったからです。

登壇後、多くの方々から「プロジェクトでご一緒したい」「何か始めたい」というお声がけをたくさんいただき、最後にお伝えした「かわるを、早く」が動き始めた手応えを感じました。学会や専門家会議とは全く異なる、リアルな熱を感じることができたことを非常に嬉しく思いました。

 

3名の各登壇へのTwitterでの反響は、公式アカウントのモーメントでまとめていただいてます!

Designship公式Twitterはこちら

参加型のブースも盛況(ご参加ありがとうございました!)

スポンサーブースでは、アクセンチュア インタラクティブとIMJが共に働くAZABU INTERACTIVE STUDIOを再現。<Co-Creationで体験を作り出す空間>というコンセプトを引き継ぎ、来場者に、ニンゲンラボで取り組んでいるプロジェクト内でアイディエーションしたアイデアボードに、シール投票や付箋コメントを募集。たくさんの方に参加していただきました。

また、IMJの取り組み紹介として、以前BACKYARDの記事で紹介したオムツ購入体験の再発明プロジェクトを紹介。今回の展示では、ユーザーからのフィードバックをもとに画面をなくしてLINEと連携させたプロトタイプVer.2も合わせてご紹介し、IMJのサービスデザインのプロセスに触れていただきました。

残量が少なくなると自動発注&LINE通知するストッカーのプロトタイプ

リーダーシップではなく、デザインシップ。

オープニングで語られた「いま必要なのは、リーダーシップ、オーナーシップではなく、デザインシップ」という言葉。参加された方は、デザインの大きな可能性、価値を体感できたのではないでしょうか?

現場にいたBACKYARD編集部の私も、「業界の枠を超え、デザインの力が混ざり合い、刺激し合い、よりよい未来を創っていくのだ!」というイメージが沸いてくるのを感じました。

IMJも、「REINVENTING THE EXPERIENCE」というスローガンの下、デザインシップを持ちつつ、いろんな枠を超えながら、よい未来を創っていく流れをつくっていきたいと思います!