そもそも『NoMaps』って何?

こんにちは、ディレクターの泉です。

先日札幌で行われた『NoMaps』に出展者として、参加してきました。

『NoMaps』は世界中から10万人以上が訪れるというアメリカの大イベント『SXSW』をモデルにした産業、学術、文化がクロスする総合イベント。

『SXSW』と同じく、著名人が来るカンファレンスや、アーティストのライブ、そして映画祭などが行われて、札幌のあちらこちらから熱気が伝わってきます。

加えて、本場『SXSW』同様に最先端テクノロジーを用いた製品を開発する企業による製品体験ブースが、札幌駅前の地下歩行空間に並んでいました。

さて、我々IMJも『NoMaps』のスポンサーであるライオン様とのご縁があり、共同開発した『AIスマートミラー』なるものを『NoMaps』に展示したのでした。

それでは、体験者に大好評だった“これ”は、一体何なのか、じっくりと紹介していきますね。

『AIスマートミラー』って?

それは、ひと言で言うと、音声でコミュニケーションができる鏡
そう、鏡と会話ができるんです。まるで魔法の鏡のように。

実物はこちら。

パッと見は、洗面台ですが、鏡の中に“ウィル”というキャラがいます(鏡の中に、眼が見えるのがわかりますか?)。

“ウィル”にはAIが仕込まれているので、音声コミュニケーションを通じて、個々に最適なオーラルケアをアドバイスしてくれます。

えっ、一体どうなってるのかって?

実はこれ、ミラー型のデジタルサイネージ(以下ミラーサイネージ)と呼ばれるもので、実質PCなんですが、画面を鏡としても、PCとしても使える不思議な装置なんです。


これを、専用洗面台に埋め込んで、見た目上は鏡のようにしか見えてないというわけ。

鏡には、PC画面に表示されているものが透過して見えています。

今回の場合はオーラルケアに関する統計データや、正しい歯磨き方法の動画などを表示させていました。

当然、ライオン社製品の認知も自然な流れでできるようにしています。

実際の動画をご覧いただきましょう。

なぜ『AIスマートミラー』を開発?

2016年の秋頃から、「日本をオーラルケア先進国に」をテーマに、社会貢献とビジネスの融合を実現する、新たな顧客体験価値の創出を目指すプロジェクトにライオン様と取り組んでいます。

このプロジェクトはIMJのServiceDesignLab.がリードし、現在も継続中です。

プロジェクトを通して、さまざまな調査やワークショップを行い、そこから明らかになってきたユーザーインサイトがいくつか存在します。

そのユーザーインサイトの1つに、外出先でお口のケアを手軽に行いたいというものがありました。

それができると、スッキリして、人と会う時も自信を持って話せるという、「自分に自信が持ちたいということ」が本質的な欲求のようです。

これを満たすものとして、『AIスマートミラー』のアイデアが創出されました。

  • 外出先のトイレで歯磨きするのは気分的にも衛生的にもイヤ
  • そもそも自分の口のケアの仕方が正しいかどうかわからない
  • それゆえ、自分の口臭が不安

こんな悩みを解決できる場所を提供したかったわけです。

そして、アイデア検証の場として、『NoMaps』が絶好の機会であったため、展示することになりました。

『NoMaps』の現場レポート

現場へ行ってみると……。

見事なブースができ上がっている!
他の展示ブースより、きっとお金がかかってる!笑
洗面台もちゃんとでき上がっている!

想像以上に洗面台の状態がよく、感動して一気にメンバーのテンションが上がったのでした。

続々と体験希望者が集まり、整理券を配布

展示が始まると、体験希望者が次々と訪れます。 整理券を配布したのですが、予約がいっぱいになり、キャンセル待ちになることも。

北海道のテレビ局がすべてやってきた!

札幌テレビ放送(STV)がやって来て、北海道内で圧倒的な知名度を誇る番組『どさんこワイド』で約2分間放送されました。

結局北海道の5つのテレビ局すべてに来ていただきました。他にも新聞、Webメディア等で取り上げていただきました。

体験者の反応はどうだったのか?

ライオンブースは10月13日(金)〜15日(日)の3日間展示され、
200名を超える方に『AIスマートミラー』を体験してもらいました。

体験者の声

  • 「歯医者さんにこういうのあったらいいのに」
  • 「バイトの面接前に、スッキリできてよかった!」
  • 「歯磨きの正しいやり方がわかって、勉強になった」
  • 「子供がちゃんと歯磨きしてくれて、鏡が欲しくなった」
  • 「マウスウォッシュを初めて使ってみたけど、スッキリしてよかったから買ってみるよ」

オーラルケアの知識向上や、商品認知向上につながったと思われる反応が多く見られ、自分たちのアイデアに手応えを感じたのでした。


展示開始前は、音声のコミュニケーションがうまくできなくて、途中離脱する体験者が出てしまわないかという不安はありました。

しかし、驚いたことにそういう方は皆無でした。

ちょっと盛りすぎじゃない?と思われるかもしれませんが、本当なんです……。(音声データはちゃんとログがあるから証明しようと思えばできるんですよ!)。

今回体験いただいた方は、年代も幅広く、家族、カップル、友達同士などシチュエーションもさまざま。

そんな方々が、得体の知れない摩訶不思議な鏡に対して、ちゃんと人格を感じて、接してくれている。

設計次第で、音声コミュニケーションは人の生活にスッと入っていけるんだなと感じられた3日間でした。

体験者へのアンケート結果

なんと体験者の95パーセント以上の方に、体験を通じてスッキリできた!と答えていただき、さらに96パーセント以上の方から、このような場所を今後も使いたいとの回答が得られました。

新たな知識を得られたという方も93パーセント以上いて、想像以上によい結果となりました。

ユーザーインサイトを満たすために実際に作ったものが、狙い通りにユーザーから高評価を得られたのです!

この高揚感はなかなかたまらないものがあります。

『NoMaps』で得られた200人越えのフィードバックを更なる改善に役立ていきたいと思いました。

さて、ここからは開発秘話についてお話ししたいと思います。

リアルな場所ならではの開発

今回『AIスマートミラー』の開発を担当したのが、すまのべ!の2人(左が加茂、右が田野)。

すまのべ!は、IMJで先進技術の活用アイデアを研究しているR&D(研究開発)チームで、音声コミュニケーションによるインターフェースの知見にも明るいということで、白羽の矢が立ちました。

外出先でお口がスッキリできる、全く新しい場所におけるユーザーとの最適なコミュニケーションとは何か?

すまのべ!の出した答えは、「ミラーサイネージに独自のキャラクターをもたせ、自然に対話しながら、ユーザーを新たな体験へ導くアプローチ」でした。

ユーザーごとに最適なオーラルケアをオススメするために、お口の周りの悩みを聞くシナリオがあるのですが、悩みと言っても、歯周病、虫歯、歯槽膿漏、口臭、歯並び……などいろんなものがあります。

体験者にどんな悩みを打ち明けられても対応できるシナリオを作るのは、骨の折れる作業でした……。

例えば、ユーザーテストでは、お口周りの悩みを聞くと、「髭が濃い」という想定外の回答も……。

さらに、今回の『AIスマートミラー』には、音声認識技術とIBM Watsonによる自然言語解析技術を活用しており、ネットワーク回線が命。

また、周囲の騒音など、当日にならないとわからない不安要素も数多くありました。

リスクを想定をして、二重三重のバックアッププランを用意しておくなど、現場経験豊富な2人ならではのノウハウをいかして、課題解決したのでした。

ユーザーテスト、ユーザーテスト、ユーザーテスト

一通りシナリオができたところで、音声コミュニケーション(AI)をミラーサイネージに組み込んで、社内でユーザーテストを行いました。

IMJでは数々のユーザーテストの知見があるので、テスト設計やインタビュー設計をテキパキと仕上げていきます。

テスト→修正を3回繰り返し、課題はどんどん潰していきました。

それ以外にも、

  • 歯ブラシ&マウスウォッシュが取りやすい配置
  • 身長差をカバーできる鏡の高さ調整
  • 音声を拾いやすいマイクの場所と向き
  • 歯ブラシお持ち帰り用袋をどこかに用意しなきゃいけない等々……

リアルな場ならではのさまざまな気付きで、改善点が見つかっていきます。

『AIスマートミラー』専用洗面台を設計

機材・備品の配置バランスが見えてきたところで、洗面台の設計に着手。

果たしてこの設計図でうまく洗面台が仕上がるのか……?

実際に作るのは北海道の業者の方だったので、当日まで仕上がりは分からず、ハラハラでした……(ちなみに、鏡の外側で光っているライトはIoTデバイスとなっていて、ウィルが話している時、答えを待っている時などの状態変化によって、光の色が変化するのです)。

こんな開発プロセスを経て、『AIスマートミラー』は、多くの体験者に評価いただけるサービスとなっていったのでした。

まとめ

『AIスマートミラー』をご覧になって、どう感じたでしょうか?

えっ、IMJがそんなもの作ってるのって?

そうです、IMJにはこういった、顧客にとっての新たな価値を導き出すことから、最新テクノロジーを活用したアウトプットまでトータルで対応できるスキルセットがあります。

さまざまな分野の専門家がコミュニケーションを密に取りながら、スピーディーに動けるのです。

新規事業開発や、新たな顧客体験作りと聞いてピンと来た方は、まずはお気軽にご相談ください。