顧客体験も新たな時代へ “モノ”“コト”“ヒト”をどうつなげるか

このイベントのメインタイトルは「Retail Connect : Be inspired. Be a trailblazer. ~ 新たな発想で、先駆者に。」聴講されるお客様はリテール企業の担当者や、マーケティング、eコマースの関係者が中心。新しいITソリューションの導入によって流通システムを含むプラットフォームも進化し、次々と新しいコミュニケーションチャネルが生まれている中、企業が求められる顧客体験も多様化しています。ポイントとなるのは「新たな顧客ニーズにどう応え、つながるのか」、「新時代の顧客を惹きつける新たな体験をどうやって提供するか」。CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の課題や成果を具体的な事例に求めてさまざまなセッションが進められました。

スペシャルスポンサー講演として、IMJ 執行役員COO 加藤圭介が20分間のスピーチを行いました。テーマは「The Future of Retail Experience 一貫した顧客体験価値を提供し続けるために必要なアプローチとは?」。

SalesforceのCommerce Cloud執行役員の竹内賢佑氏とは、先日Backyardでオムニチャネルからユニファイドコマースへの移行を視野に入れた対談を行いましたが、今回は、より有効な顧客体験を提供するための、IMJならではのアプローチを示す、具体的な事例も含めた講演ということで、eコマース市場におけるIMJの役割をアピールする内容となりました。

まずはIMJの会社説明から。約20年前からWebクリエイティブに携わり、現在はデジタルマーケティングを中心として、データを活用するためのプラットフォーム構築など、デジタルマーケティング事業とクリエイティブ事業の2軸でビジネスを展開していること、2016年にはアクセンチュアグループと提携し、END to ENDでビジネス成果の創出を支援するために、グループでケイパビリティを発揮していることを説明。そのキーワードとして、

  1. ENVISION(顧客・ブランド・ビジネスへの“機会”の創造)
  2. CREATE(卓越した製品・サービスや顧客とのインタラクションのあり方を創作)
  3. ACTIVATE(マーケティングのチャネルとキャンペーン活動の企画・展開)
  4. SCALE(テクノロジーとプラットフォームの実装)
  5. OPERATE(サービスとして運用・最適化)

を挙げました。

サービスを一貫して提供することで、最良の顧客体験が得られるのです」(加藤)。そのために、IMJとアクセンチュアはともに得意分野を担当しながらオペレーションを遂行、実践していると説明しました。

eコマース市場は2020年には20兆円に到達する見込みといわれており伸長著しい業界ですが、その変化についていけず、破綻を来たした企業も。多額の負債を抱え経営破綻した米玩具小売り企業や、店舗の閉鎖を余儀なくされた米有名アパレル企業などの例を挙げて、消費者行動の変化に対応することの大切さを強調。そして、その代表例としてD2C(ダイレクト トゥ カスタマー)を実践しているアパレル企業やEYEウェア企業、リアル店舗をショールーミング化した国内百貨店の事例を紹介しました。また、先進的なデジタルストアをいち早く開設した国内大手アパレル企業や、スーパーマーケットを買収し、アプリで生鮮食料品も購入できるようにした米大手EC専業企業の事例を挙げ、「注目すべき新たな変化」と説明しました。

これらの変化は「モバイルシフト」をきっかけに起こったものであり、このきっかけが及ぼす新たな世界を理解して対応する、「顧客中心の体験価値設計」が必要であると説きます。企業のECサイト、店舗、コールセンターと、顧客のコミュニケーションは、今までは個別に行われ分断していました。しかし、SNSなどのデジタルコミュニケーションの機会が増え、ますますコミュニケーションチャネルは多様化しています。これからは顧客を中心として、すべてのコミュニケーションチャネルが相互につながる仕組みを作らなくてはいけません。

「提供すべき価値は“モノ(商品機能価値。プロダクトアウト&マーケットイン)”から“コト(ソーシャルイン&マーケットアウト)”へ。でも、それだけでは足りません。さらに、“ヒト(パーソナライズイン&カスタマーイン)”につなげなくては……」(加藤)。このあたりの解説で、会場の空気感が変わったというか、お客様がぐっと集中されたような気がしました。顧客体験価値をどうつなげ、どう利用するか。企業のご担当者の皆様もこの重要性を実感されていることと思います。

IMJ CX PlatformでBadな体験価値をGoodに変える!

ECサイトで一度見た商品が別のサイトでも広告で表示されるのはよくあることですが、それは「ずっと追いかけ回される不安」につながります。「以前は意識しなかったことが、今やBad Experienceになってしまいました。顧客の意識の変化にも対応が求められているのです」(加藤)。ここで、「もしもお気に入りのパブが、イギリスの典型的な銀行のように運営されていたら?」と題された動画を紹介。コーヒー一杯を頼むのに、「ここではダメ、あちらへ」「それは担当が違います」「手数料を頂きます」といったお堅い対応をするパブを描いた、ブラックユーモアあふれる作品。Badすぎる顧客体験に、会場でも笑いが起こっていました。旧態依然としたやり方では、顧客は満足しません。では、「目指すべき、これからのGood Experience」とは?

「創る側も“Why/なぜ”必要なのかはわかっているが、“How/どのように”実現するのかがわからないケースが圧倒的に多いように思います」(加藤)。そして、「今求められている新しい顧客体験は、すべてがシームレスにつながって提供されることが重要」と加藤は言います。

ひとりひとりに合わせた顧客体験価値の設計のために必要ことは、2点。

①カスタマーインサイト
②マーケティングプラットフォーム

①カスタマーインサイトの抽出には「デザイン シンキング(デザイン思考)」に基づく調査法が有効です。データを可視化した「デザインリサーチ」を行うことにより、顧客の潜在的な機会を発見することができます。
「従来型の顕在的なデータからの検証ではなく、機会探索型アプローチによる調査を行うことで、顧客のインサイトをより深く捉えることができるようになるのです」(加藤)。このデザインリサーチを利用した最新の事例として、LIONの「AIスマートミラー」を紹介。音声コミュケーションによって、お客様のお口の悩みを把握し、それぞれの人に適したオーラルケア方法を勧めるサポートサービス事例です。

もう一つの重要な要素②マーケティングプラットフォームの構築には、ツールの扱い方による改善、運用のヒントを解説。ECサイト、BIツール、МAツールをただ単体で使っていては、データはサイロ化し分断されて効果は出ませんが、シームレスに連携できればデータは一元化され、今以上に有効活用できると言います。Commerce CloudやMarketing Cloud連携することで生きてくるのです。

データの収集から分析、抽出、そして活用までをトータルで行えるのが、『IMJ CX(顧客体験)Platform』です」と、加藤はIMJの役割を述べ、そこにSalesforceのソリューションが複数活用されると説明。IMJには多くの有資格者がおり、現時点で、Commerce CloudとMarketing Cloudの両方を提案できる日本で唯一の企業であると強調しました。
「最も重要なのは、“常に顧客中心主義であること”です」とまとめ、講演は終了。多くのお客様にとって、有意義なセッションとなったのではないでしょうか。

メインセッション: Salesforceの「先駆者」の成功事例とは

加藤の講演に先立ち開催されたメインセッションでは、Salesforceのエグゼクティブによる基調講演と、ゲストを迎えてのトークセッションが行われました。

基調講演「Salesforce B2C 基調講演 AI x コマース x マーケティングでツクル新しい顧客体験」では、常務執行役員ジェネラルマネージャ デジタルマーケティング・ビジネスユニット 笹 俊文氏と、米国のリテールインダストリー バイスプレジデントのドワイト ムーア氏が壇上へ。同社の成り立ちや成長する過程、そして今、多様化するビジネスソリューションのなかで同社のサービスが継続する価値あるものと認められていることを強調。今は「第4次産業革命」の時代であるとし、同社が提供する「スマートなCRM」が新たな顧客体験につながるものと述べました。ムーア氏は「グローバル・トレンド」を中心に、CRMの「Trailblazer=先駆者」として、Salesforceが手がける企業を紹介。シューズブランド「ecco」の例などを挙げ、店舗でもコールセンターでも一貫した顧客対応が実現でき、顧客満足度も上昇していることなどを解説、eコマース業界の先陣を切る同社の現状とさらなる可能性を示唆しました。

SalesforceのCommerce Cloudを導入し、デジタル変革で顧客との関係をさらに深めた「先駆者」の事例としては、セールスエンジニアリング ディレクターの増田拓也氏がミズノ株式会社の事例を解説。「マーケティング担当者のPC画面」をモニターに映しながら、可視化された顧客情報、分析、購買への結びつけるSalesforceのツールを具体的に説明しました。

次のゲストセッションでは、Commerce Cloud執行役員の竹内賢佑氏と、株式会社TSIホールディングス 株式会社TSI ECストラテジー 代表取締役社長の柏木又浩氏によるパネルセッション。多数のファッションブランドを持つTSIの「先駆者」的な事例について、実際のモバイル画面などもモニターに映し出しながらのトークとなりました。柏木氏は「お客様がいかにストレスなくサイトを見、商品を選ぶことができるか」を常に意識して、ECはモバイルアプリに注力しているとのこと。「顧客体験を一元化し、運用していく上で最も必要なことは?」という竹内氏の問いに対する柏木氏の答えは、「合理性の追求には、ITでも断捨離が必要」という非常に印象的なもの。「日本は何でもやりすぎてToo muchになってしまう。あれもこれも機能をつけるのでなく、本当に必要なものを吟味してシンプルにつなげていくことが大切」。「先駆者」らしい説得力のある発言でした。

企業ブース:IMJのご提案 新しい顧客体験価値を“どのように実現するか” さまざまなコンサルティングサービス、運用支援サービス、ソリューション活用支援に注目

会場の企業ブースでは、SalesforceのCommerce Cloud、Marketing Cloud などの実体験ができ、途切れることなくお客様が来場されました。IMJもブース展示を行い、一貫した顧客体験の提供を実現するデジタルマーケティングプラットフォームモデル「IMJ CX Platform」や、Salesforceを含むデジタルマーケティングソリューションを効果的に活用するためのコンサルティング・運用支援サービス、戦略立案コンサルティングサービスなどをご紹介。多くのお客様がお立ち寄りになり、eコマースにUI/UXの視点を持ち込んだ新たな支援サービスに関心を寄せていました。また、加藤の講演を聞かれたお客様からは、「デザイン シンキング(デザイン思考)」 に基づくデザインリサーチの方法や事例、「マーケティングプラットフォーム」の構築や運用方法などについての質問が多かったようです。加藤が講演で触れた“どのように実現するか”に皆様も共感され、動き始めています。

 

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