※掲載されている画像が小さく分かりづらいものがありますが、クリックで拡大できます。
※本記事は、会場で英語で発表された内容を筆者がまとめたものとなります。そのため、現段階で一部誤りがあったり、実際に機能がリリースされた段階で内容が変わっている、日本国内でいつ提供されるのか分からない点があることを、ご了承ください。

デバイスから人へ

昔からデジタルマーケティングの世界では、訪問者(Visitor、UniqueUser)といった指標がありました。“者”がつくわけで人を現すわけですが実際には、アクセスの際に使ったPCの更にその中のブラウザのCookieベースでの集計でした。
同じPCでもブラウザを変えれば、違うユーザーとして扱われますが、PC中心の閲覧であれば、そんなにブラウザを使い分けることもなく、それほど気にすることは無かったわけです。
しかし、いまどきは、PC以外にもスマホ、タブレット、ゲーム機、スマートウォッチ、TVなどマルチデバイス/クロスチャネルでネットにアクセスしたり、サービスを利用することが本当に普通になってきました。しかしながら、“訪問者”という指標の意味付けは変わらず、本当の意味での人ベースでの集計や施策は非常に難しい状態でした。

このあたりは、近年は、「Device Graph」(デバイスグラフ)というキーワードで色々な取り組みが始まっているものの、ただアクセスしてきただけでは本当に同じ人物かどうかは分からず、ログインなど1人の人として特定できるようなキーがないとできないからという理由があります。

こんな状態に対してAdobeもいつかはクロスデバイスでのアクセスに対しての集計や施策に対して機能強化してくるだろうなぁ、何か発表あるかなぁ、と思いつつ臨んだSummitでしたが、発表された「Device Co-op」の内容は、想像の斜め上をいくようなものでした。

ちなみに「Co-op」というのは、日本で言う、生活協同組合(生協)=コープと同じです、少し調べるとcooperative(協調的な)の略で力を合わせた、共同戦線的な、なんて意味もあるようです。
以上のことからわかるように、Adobeは、自社完結でこの問題を解決するのではなく、「Device Co-op」の機能を利用する複数社のデータを繋ぎ、共同組合的に解決しようとしているということになります。

Device Co-opでどんなことができるようになるのか

これによって、自社にPCでは来たことあるけど、スマホで初めてきたというケースでも、他社でPCとスマホが紐付けられていれば、理論上は、ログインしなくても誰だか分かるので、そのユーザーに最適なエクスペリエンスをその段階から提供することも可能ということになります。
 

右の画像は発表のなかであった、UUに変わり、Peple(まさしく人)という指標でみたときのレポート画面です。(Analyticsの分析ワークスペース上で見ることができるようです。)
1訪問者あたりの売上金額、1訪問者あたりの滞在時間など、これまでデバイス単位だったものが人単位に変わることで分析の仕方も変わってくると思います。


※同じデータに対して右上にデバイスベースと人ベースでそれぞれ数値がでており、3M(300万)が人ベース、5M(500万)がデバイスベース(UU)でのボリューム

こちらは、Adobe Media Optimizer(日本ではAdobe Media Manager)でディスプレイ広告出稿をする際に対象オーディエンスを指定する画面です。こちらでも、UU(デバイス)とPeople(人)ベースで、それぞれどのくらいのボリュームがあるのかを見ることができるようです。
広告・集客戦略も人ベースになることで、分析方法やプランニングが変わってくるでしょう。

 

ここまで書いて、デジタルマーケティング周りで関わっている方ならば、ワクワクする一方、気になっていると思いますが、つきまとうのはプライバシーの問題です。どうしても企業や業態によっては、このような仕組みに対して社内のプライバシーポリシーの変更が必要だったり壁を超えられない可能性もあり、慎重にならざる会社も多いと思われます。

ただ、Facebookなどの広告は、出稿時の照合キーがメールアドレスそのままだったりしますし、各社利用しているようなリマーケティングなどディスプレイ広告媒体は結局同じようなことをやっているところも多いはずなので、私個人としてはクリアできない問題ではないかなと思ってますが。

Adobeとしてもこの点を非常に気にしており、ユーザー自身のオプトアウトの機能を用意するとアナウンスしていましたし、人を特定しデバイスを繋げる際に必要なキー(プライバシー情報にあたらない会員識別キー、もしくはそれをハッシュ化したものなど)はあくまで照合処理にしか使われないことを言っていましたし、この内容の詳細のBreakOut Session(この発表を受けて、立ち見をするほどの盛況!)に参加しましたが、その中でもUS/カナダを中心に半年後にまずスタート、その後APAC、EMEA地域で展開と慎重に進めているようです。(日本がAPACにあたるかわかりません。)

 

より具体的な仕組みについても説明が行われました。(より深いところは分からないことも多々ありますが。)利用する側は、申請の他にVisitor ID Service及び今後リリースされるAppmesurement.jsやアプリ用のMobileSDKの最新版の利用が必須のようです。
※セッション終了後に(かたことの英語)でプレゼンターに人を特定するキーはどうやって送るのかと聞いたところ、最近機能が追加されたCustomer Attributes(ユーザー属性のアップロード機能)で利用するキーを利用できるということでした。

 

今のところ、Device Co-opで連携するソリューションは、Analytics、Target、Optimizer、Audience Managerあたりのようですが、TargetによるABテストやターゲティングも人ベースで行うとなるとCVRの数値の見え方も随分変わってくるんではないかと思います。

 

※ABテストのパターンごとのCVRがデバイス毎と人ベース毎で表示されている。

Audience Managerは、元々Profile Linkという機能で自社内の会員IDベースでのクロスデバイスデータ連携はできましたが、Device Co-opによって、他社のデータを利用できるようになり、より信頼性の高いデータを得ることができるようになります。

 

AmazonやFacebook、Googleのように大量トラフィックがある巨大なプラットフォームを持ち、自社内でマルチデバイス/クロスチャネルの集計が完結できるようなことが、どこの会社でもできるわけではなく、施策格差が広がる一方な状況に対して、この方法はそれ以外の企業にとって有効な方法だというのは確かです。

 

次回も引き続き、製品まわりの発表のレポートです。