村上洋希 エグゼキューションサービス事業本部 プロデューサー

皆銭祐哉 エグゼキューションサービス事業本部 ディレクター

佐藤卓也 クリエイティブ本部 テクニカルディレクター

後藤耕司 クリエイティブ本部 アートディレクター(インタビューは欠席)

NHKスペシャル『大アマゾン最後の秘境

これまで撮影されたことのない未知のアマゾンを描くドキュメンタリーシリーズ。2016年4〜8月に4回シリーズとして放映され話題になった。 IMJは番組宣伝用のサイトと、メインビュジュアル、サイネージ、ポスターなどを担当。

 

今までにない斬新さをどのように伝えるか

<質問> 番組だけでなくウェブサイトのほうも独自のコンテンツが面白いと話題になっていますね。制作にあたってのNHKからの要望はどのようなものだったのですか?

村上 NHKの担当者の方からは、視聴率向上についての要望もありましたが、それよりもこの番組の世界観をサイト上で表現してほしいという要望が強くありました。NHKスペシャルのドキュメンタリーは、今まで誰も見たことがない映像や真実を伝えるという番組コンセプトで取材・制作されています。担当の方とお話をしていく中で、番組に対する熱い情熱とプライドを持って制作していることを感じ、私たち自身も「これはその辺のドキュメンタリーとは一線を画する素晴らしい番組であり、ぜひ多くの方に番組の魅力を伝えたい」と思いました。それらの要望から、番組の世界観を表現するクリエイティブ、かつ普段あまりNHKを見ない層にもアプローチできるようなサイトにしたいと考えました。

 

「雑誌」というキーワードで広がったクリエイティブイメージ

<質問> 企画から制作に至るまで、具体的にどのように進めていったのか教えてください。

村上 はじめは結構ブレストをしましたね。

皆銭 番組の混沌としたイメージを具体化するためにブレストする中で、「雑誌」というキーワードがあがり、そこからクリエイティブと企画のアイデアが固まっていきました。

佐藤 アマゾンは未知のモノ、見たことないものが沢山詰まった「情報の森」だと思うんですよ。その「情報の森」を同じく情報が沢山詰まっているウェブサイトに例え、そのサイトの中にどんどん入っていくと見ごたえのある情報としての記事が沢山潜んでおり、その記事一つ一つに制作の裏話などの情報がぎゅっと詰まっている週刊誌のような「パッケージングされたUI」がいいのではないかという考えに至りました。
「昔のflashが流行った時代の、見た目でぐっと魅かれる内容の詰まったものを、改めて今のflashという技術がない中で、csvやcssを使ってリバイバルできればいいね。」と話をしていましたね。

皆銭 時間がないなかで制作していったのですが、初めに「雑誌」というクリエイティブコンセプトをみんなでしっかり共有できたことで、コンテンツ制作とそれに対するデザインを共通させつつ同時進行していくことができたのだと思います。

 

TVを見ない世代へつなぐ、コンテンツマーケティング

<質問> 単なる番組紹介だけでなく、取材班へのインタビューやTVで放映してない情報などを記事コンテンツとして出しているのも特徴的ですね。これらには、どういった考えがあったのでしょうか?

皆銭 NHKドキュメンタリーのメイン視聴者は高年齢層なので、テレビの視聴行為率の低い若年〜中年層へのアピールが必要だと考えました。

その層にリーチするには、ただ番組紹介サイトをつくるだけでは届かない。彼らがよく使うSNSを使った分散型デジタル戦略、コンテンツマーケティング施策をとるとよいだろうと考えました。

村上 今までの番組紹介サイトって、単なる告知でしかなかったけど、今回はWEBコンテンツ単体で見ても完結して面白くて、さらに番組に興味を持ってもらえるように、というのを意識して設計しました。その方が、デジタルネイティブな若い層や、SNS層の興味を引けるんじゃないかと考えたんです。

 

<質問> 番組視聴の呼び水として、コンテンツマーケティングを取り入れたのですね。具体的に、記事コンテンツとSNSの関係について教えて下さい。

村上 この番組ならではの面白い記事コンテンツをサイト内に設け、メディアサイトのように記事単体をシェアしてもらうことによって、SNSユーザーの興味をひき、記事からサイト全体に流入してもらうということを考えました。

皆銭 その考えから記事コンテンツのUIは、メディアサイトがよく使っているシンプルなものによせたり、サクサクと読んでもらえるようなライトなボリューム感にまとめました。テレビという映像表現用に作られているものを、ウェブ用のテキスト情報に変換したときにどう面白く伝えられるかという表現面には、結構こだわりましたね。

 

 

「サイトがすごいことになってる」とツイート

<質問> 実際、クライアントやユーザーの反応はどうでしたか?

村上 Twitterでの反応も高く、クライアントも自分たちの番組のコンセプトが表現されたサイトだと、とてもよい評価をいただきました。

皆銭 NHK内の若手の製作者たちの間でもサイトについて話題になったと聞きました。また、担当者の方からは最終放送の前に、私たち個々のメンバーに宛ててメールをいただきました。サイト公開から数週間経っても嬉しいお言葉をいただけるのは、本当にありがたいことです。

村上 Twitterからも、記事コンテンツへの満足度や番組の世界観を汲み取っている、こちらが望んだ通りの反応が得られました。やはり、SNSで記事を読んでサイトに流入してくれた人が多かったと思います。実際、記事コンテンツのPV数は他の番組より高かったです。

▲サイト内記事コンテンツ

 

・記事コンテンツに対するツイート

NHKの取材班が、アマゾンの奥地に住むガリンペイロと共同生活をした壮絶な50日|NHKスペシャル- #大アマゾン http://www.nhk.or.jp/special/amazon/series2/column/03.html …放送後記的なやつ。これを読んでるだけでも面白い

— まね™(@mane247) 2016年5月8日

普通に読み物として面白い NHKの取材班が、アマゾンの奥地に住むガリンペイロと共同生活をした壮絶な50日|NHKスペシャル-大アマゾン最後の秘境 ブラジル人すら足を踏み入れない場所での50日間に渡る滞在の記録。

— 人見 (@hi_to_mi) 2016年5月8日

                                                           

・サイトのクリエイティブに対するツイート

大アマゾンのHPがまた、凝りに凝ってる……! http://www.nhk.or.jp/special/amazon/ 格好いい。凄い。それしか言えない……。

— らくだ(@camelinae) 2016年5月8日

NHKの特集番組、サイトの特設ページの力の入れ具合を見れば大体観るべきか分かるな。 NHKスペシャル| 大アマゾン 最後の秘境

— とまと(20) (@TOMATO_NDR) 2016年5月9日

 

Twitterの声からも、視聴者がサイトと番組の両方に対して面白みを感じていることが分かりますね。

 

独創的な番組の世界観をウェブ上でも再現することに加え、記事コンテンツとSNSを組み合わせて普段見ない視聴者層にもアプローチした結果、番組とサイト双方を通して幅広い世代に番組の世界観を届けることに成功した。その結果として、視聴者、クライアントからも望んだ通りの反応を得ることができたのですね!

皆さん、ありがとうございました。