アプリを中心としてサービスを展開している企業は数多くありますが、最近は、購買のサポートツールとして展開したり、製品を宣伝する「メディア」として使うなど、様々な用途でアプリを活用する企業が増えてきています。

この記事では、「企業が提供するアプリ」について、2月に行われたApp Apeが主催している、アプリオブザイヤーというアワードで「ブランドアプリ賞」を受賞した、4つのアプリを中心に分析します。それらのアプリの優れている点や、生活者に好まれている点を分析し、どの様なアプリが生活者にとって良いのかを考えてみたいと思います。

アプリの役割と企業アプリに求められることは何か

そもそもなぜ、企業がアプリを活用するのでしょうか。その理由の一つに、生活者の行動に合わせたプロモーションができることが挙げられます。アプリがあれば、スマートフォンの位置情報や時間帯に合わせてPUSH配信を送ることが可能になります。また、ウェブサイトよりも見てもらう機会が高まったり、写真や音声などの活用で、ウェブサイト以上にインタラクティブな演出が可能になったりもします。もちろん、アプリを運用することは簡単なことではありません。ウェブサイトと比較して、運用コストが高い上、ユーザーにアプリをダウンロードさせるハードルが高く、そうさせるための労力やコストがバカになりません。今や大量のアプリが世の中には存在しますし、同じ様な機能を持ったアプリもたくさんあります。App Storeには、1日に約1800のアプリがリリースされているというデータも存在します。このように、どうしても運用のハードルは高くなりますが、ユーザーに使ってもらえばもらうほど、ユーザーのリアルなデータを収集できる様になり、より効果的なマーケティングに繋げられます。アプリにはデメリットもありますが、大きなメリットもあるのです。

ブランドアプリ賞を受賞したアプリ

アプリオブザイヤーとは、2016年の1年間における月間利用者数の成長率をもとに、2016年を代表するアプリを決めるアワードです。カテゴリやジャンルごとにMAU(Monthly Active User)の成長率が高い順に100アプリが選出され、その中でも際立った功績を残したアプリが受賞します。アプリ部門の大賞には、Abema TVが選出されました。そのほかにも、メルカリや、実況パワフルサッカー、Pokémon GO、Uber Eatsなど、2016年を象徴するアプリが受賞しています。

そんな中、ブランドアプリ部門優秀賞に選ばれたのは、「ラウンドワン」、「スシロー」と「Coke ON」、そして大賞は、「GU」が受賞しています。それでは、一つ一つのアプリを見てみましょう。

① ラウンドワン:圧倒的お得感の提供

ラウンドワンアプリは、クーポンの配信やレーン予約機能やスコア管理機能など、ラウンドワンの活用を便利にさせてくれるアプリです。大きな特徴は、ユーザーに多くのおトク感を与えていることが挙げられます。アプリを開けば一目瞭然ですが、アプリ会員限定の様々なクーポンが配信されています。また、「土曜日限定クーポン」「誕生日限定クーポン」など、使うタイミングに合わせた配信を行うことで、よりユーザーが使ってもらえる様に設計されています。

また、他のゲームアプリとの連動や来場したお客様にし、「アプリゲーム大会」を行なっていることも使ってもらうきっかけを促していると言えます。ユーザーにエンターテインメントを提供することで、アプリインストールのきっかけや、起動してもらうきっかけをうまく作り出すことに成功しています。

② スシロー:便利で無駄のない機能によるUXの向上

スシローアプリは、逆にクーポンを出さずにアプリを活用し、顧客の体験価値向上に貢献しています。アプリを使えばお店を探し、席を予約することができ、店での待ち時間を減らせられるようになります。また、チェックイン機能が付いており、お店についたらチェックインする事ができるようになっています。

2016年には、チェックインするとポイントを貯めることが出来る、「まいどポイント」も導入され、アプリを使うメリットを高めています。この機能は、実際のデータ分析の結果、予約したけどお店に来ない人が多く存在することがわかり、その対応策として搭載した機能なのだそうです。便利な機能搭載によって、店舗で待つストレスを無くしたり、空の予約の無駄を省いたりすることで、スシローに行くという外食行為の体験価値の向上につながっていることが特徴といえます。

1月時点で300万ダウンロードの実績を誇り、今や30%がアプリを経由して来店しているそうです。これだけの人が利用するようになれば、例えば、使った金額や来客人数などのデータに基づいて効果的な機能を搭載するといったさらなる展開の可能性があるでしょう。

③ Coke ON:購買体験、サンプリング体験のエンタメ化

Coke ONは、コカ・コーラ社が提供するアプリで、自動販売機での購入に変革をもたらしました。アプリを、スマホ自販機と呼ばれる自動販売機と接続して購入するとポイントがたまり、15ポイント貯まると飲料1本と無料交換できるドリンクチケットがもらえます。また、無料で飲料と交換できるチケットがもらえる、サンプリングキャンペーンなどを開催していることも特徴です。

Coke ONの優れている点は、スマートフォンを通じて飲料を購入するという斬新な体験や、ポイント付与によるお得感を提供しているだけではありません。リアルタイムでのサンプリングなど エンタテイメント性の高い施策が特徴的でした。例えば、リオオリンピックで金メダルを取った後、ツイッターでRTされた数だけ、コカ・コーラのサンプリングを行っていました。また夏には、天気予報で猛暑日と発表された日にアクエリアスのサンプリングを行っています。

旬なネタを共有できる環境を用意し、ユーザーが楽しめるサンプリングを行うことで、飲料を飲む行為をさらに楽しんでもらうことに成功した事例といえるでしょう。

④ GU:お得&ファッションをサポートしてくれる多機能性

大賞を受賞したGUアプリは、ファッションブランドGUが提供するファッションアプリです。オススメのスタイリングや最新ニュースを掲載しており、ファッションに関心のある層の参考になる情報を発信しています。2016年には、動画を使ったキャンペーンも展開しており、若い人を中心にユーザー獲得に成功しています。その最大の魅力は、お得さを提供していること、そして非常に充実したファッションサポートの機能でしょう。

 アプリ上には、アプリ会員限定で値引きした商品が多く掲載されています。実際に店舗へ足を運んでみると、会員限定価格の商品が分かるようになっています。アプリを普段使っていなくても、お店に行けば、アプリを立ち上げるきっかけとなるような仕組み作りが出来ています。さらに、おすすめのスタイリングやアイテム、スタッフブログ、トレンド情報はもちろん、着こなしを投稿できる「GU-SHARE」も搭載されています。この機能では、人気商品に紐づいて投稿写真を見られるようになっていたり、人気のコーディネーションもチェックできたりと、一つのソーシャルメディアの様な役割を果たしています。

お得感と充実したファッション情報の提供によって、店舗に足を運ぶ機会以外にもアプリからGUの情報に触れてもらったり、購買のきっかけを与えることに成功していると言えるでしょう。

 

 

表彰されたアプリでは、ユーザーへメリットを生み出すような仕掛けが多く盛り込まれていました。「ハマるしかけ!」という本によると、「トリガー(きっかけ)」、「アクション(行動)」、「リワード(報酬)」、「インベストメント(投資)」、が使ってもらうサービスには欠かせない要素なのだそうです。例えばGUアプリの場合、

トリガー:店舗で「アプリ会員限定価格」を表示

アクション:アプリを使って購入する

リワード:割安で買う

インベストメント:購入時にポイントが貯まることでさらに使う

といった流れになります。GUアプリだけでなく、3つのアプリでもこれらのポイントが上手く盛り込まれているので、ユーザーに使われているのでしょう。今後アプリを作ろうと考えている方は、参考にしてはいかがでしょうか。

 

これから、企業のアプリはさらに増えていくことが予想されます。使われるアプリにさせるためには、上記のモデルだけでなく、「インストールしたい!」と思ってもらうことが必要です。そのためには、ユーザーにメリットが伝わるように、発信する情報を設計していくことが求められます。また、効果的に使ってもらうためには、データを活用しユーザーを分析し、ユーザーにあった適切なPUSH配信やキャンペーン訴求を行っていく必要があります。

様々なアプリが私達生活者の生活を便利にしてくれています。今年はどんなアプリがアワードを受賞するのでしょうか。ますます盛り上がるアプリ市場に、目が離せません!