R&Dとして実験的に始めた 「進研ゼミ高校講座」のチャットBOT

大世渡 最初にこのお話をいただいたのは昨年の秋でした。会員サポートの新しい方法としてチャットBOTを使ってみたい、というご相談をいただいて。

塩見 ここ数年メールマガジン(以下メルマガ)のクリック率が落ち込んでいて、メルマガに代わるコミュニケーション手段として2年前からLINE@ アカウントの運用を始めていました。しかしその配信もやはり一方的で、会員が個々に持っている課題に柔軟に対応するのが難しい。そこで、今回新たにチャットBOTを取り入れてみようということになったんです。

大世渡 チャットBOTなら一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取るのは最も得意とするところなので、ぴったりでしたね。今の高校生は学校ごとにカリキュラムもかなり異なり、部活や宿題の量などによって日々自由に使える時間も学生によって全く違うといったことをベネッセさんに教えてもらって。一斉送信するメッセージだけではどうしてもケアできない部分がありますね。

塩見 一番の狙いは、会員が個々に持っている課題の解決です。入学したばかりの頃と、1ヶ月ほど経って慣れた頃では高校生の状況は変化し、彼らが求める課題解決法も変わっていきます。過去の属性状況にこだわらず、その時々の状況に対して的確にアプローチしていくことが必要。BOTならそれができるだろうと思ったんです。

大世渡 実際にこのR&Dプロジェクトを始めたのは今年の2月で、4月の入学・新学期から夏休みに入るまでの4ヶ月間のあいだに4種類のチャットBOTを公開して、BOTの活用方法や効果をいろいろ実験しながら試してきたところです。

中城 最初はかなり濃いワークショップなどもしましたね、懐かしいです。

大世渡 2月に企画を始めたときは、新年度に公開を間に合わせるためにバタバタでしたね……。週1回の定例会議を設けて、まずは今の高校生がどういう生活をしているか、何を考えているか……という細かいヒアリングから始めさせていただいて。課題やコツが見えてきたら、あとはどういうコミュニケーションをしていくべきか、企画から制作まで一気に進みました。

高山 最初の打ち合わせのときにIMJさんが、壁に付箋を貼りながら高校生の生活や気持ちについてかなり綿密に書き出すというワークショップをされたんですよね。「ここから始めるのか!」と最初はびっくりしたのですが、本当にイチから一緒に企画を考えてくださって。怒涛の日々でしたが、楽しかったです。

大世渡 盛り上がりすぎてワークショップも長時間になったりして……本当にありがとうございました。初期段階から密にコミュニケーションが取れたことで、ベネッセさんの知見と弊社の知見をうまく融合しながら、一緒に企画していけたのは本当に良かったです。ベネッセさんに教えていただいてびっくりした高校生へのコミュニケーションポイントがたくさんありました。

高山 やはり私たちだけで考えると従来のやり方に偏ってしまうところもあるのですが、ワークショップで状況や考えをお伝えして、それを元にIMJさんが斬新な発想で企画にしてくださって。普段我々がつくっているものとは根本的に違う部分もあるので、こういうやり方もあるのか、と参考になることも。実質の準備期間は2カ月あまりしかなく、時間がなくて「本当にできるのかな?」とドキドキしていたのですが、すごい勢いで完成していきましたね。

高校生のレスポンスは上々! 1 to 1の配信に手ごたえアリ

大世渡 今まで3種類(※記事公開時点では計4つ)のBOTを公開しましたが、最初に予想していたよりもかなり多くの学生さんがBOTを使ってくれているのでとても嬉しく思っています。毎日話しかけてくれる方もいたりして。

中城 BOTとの対話のテンポ感が高校生にちょうどよかったみたいで、アンケートも好意的な意見がたくさんありました。

高山 いつもBOTの配信直後に、弊社のLINE@ 高校生モニターたちに「今のBOTどうだった?」とアンケートを投げかけて、使った感想を聞いているんです。

みんなレスポンスが早くて、公開したサービスの先にいる高校生の生の声が聞けたことはすごく良い経験になりました。普段は、施策を行って日数が経ってからアンケートで反応を見ることが多いので。

中城 リアルタイムにアンケートがどんどん上がってきて、おもしろかったですね。使い方についての質問が入ったりすると、こちらもその場で返信したりもしていました。

大世渡 反応の早さと可視化できるところは、LINE×BOTのとても良いところですよね。「勉強法を教えてもらえて助かりました」「参考にしてこれからも頑張ります!」など、高校生から熱いコメントをたくさんいただいて、我々もとても嬉しかったです。反面、「ここが使いづらかった」というような声は大切なフィードバックとして、次の施策で改善したりしています。

塩見 4月、5月と内容を変えて2回配信したわけですが、高校生たちはみんな楽しみながら、勉強で不安に思っていることや具体的なやり方を学べたのではないでしょうか。

中城 BOTとの会話で取れたデータをもとに学生をグループ分けして、BOT公開後にセグメント配信(*特定のグループへの特定の内容の配信)をおこなったのですが、そのクリック率が、普段全員に同じ内容を送っているALL PUSH配信よりかなりよかったんですよ。特に勉強系の記事は、All配信よりも遷移率が高かったです。時期とニーズにフィットした内容をどのように送るかというのが長年の課題だったんですが、それが実現できたのではと思います。

大世渡 会話中の離脱率もすごく低いですね。最初のBOTを公開したときは、「みんなどれくらい会話してくれるんだろう」と不安だったので短めの会話設計にしたのですが、公開してみると皆さんしっかり参加してくださるので比較的長い会話もいけるな!と手応えを感じました。

中城 他には、お遊びコンテンツもみんな好きですね。「犬くじ」が大人気。アンケートでも「楽しい!かわいい!」という声があがっています。

大世渡 「犬くじ」は「進研ゼミ」さんのキャラクター「たま丸」が毎日の運勢を占ってくれるというお遊びBOTなのですが、本当に毎日使ってくださる学生さんもいて人気です。こうやって、日常的に進研ゼミのLINE@に触れてもらえる機会を作れたのは良い効果でしたね!

そこに人がいるかいないか―― PDCAで見えてきた、チャットBOTの可能性

大世渡 1学期最後のBOTは、夏休みの学習をサポートする内容で、高校生のインタビュー内容を元にしたアドバイスを紹介しています。会話しながらその場でアドバイスを見せることももちろんですが、後から個別にもサポートができるよう、個々の学生が苦手な部分や今後知りたい情報なども取ってセグメント配信に役立てています。

高山 夏休み企画は、先輩の失敗ストーリーから学ぼうという内容でした。高校生は失敗談を元に、自分はどうするか考えることが多いようです。これは今までの「進研ゼミ」で見えてきたことで、失敗談のチャットBOTはかなり受けるんじゃないかと。

大世渡 今回は夏休みということもあってお遊び要素が強めですね。ストーリー仕立てで、今までより少し長めのコミュニケーションにトライしています。

中城 過去の配信から、簡単な質問から会話を始める方が最後までレスポンスがよいことがわかったので、細かいアドバイスは一番最後に見せるような作りにしています。BOTを作る前は、つい定型通りというか、時系列や言いたいこと順にストーリーを進めがちだったのですが、それだけではダメなんですよね。

高山 そうそう、聞きたいことがありすぎて、学生との対話もこちらの都合で質問を進めてしまったりして。

大世渡 アドバイスする内容のベースは高山さんがいつも書いてくださっていたのですが、回を追うごとにどんどんBOT的な語り口が上手になっていかれましたよね!毎回企画や結果のレビューをしながら、工夫をしてくださって。

高山 最初は社内資料を元にテキストを作っていたんです。でも、それではこれまで提供してきたアドバイスと同じになってしまうし、スマホの小さな画面に入れるには長すぎて。今回のチャットBOTでは、犬のたま丸が話している設定なので、たま丸になりきって言葉をいろいろ考えました。

中城 軽いかなと思ってしまうぐらいのところから会話に引き寄せたほうが、じつはレスポンスがよかったりする。それが新しい発見でした。

塩見 最初は弊社になかなかないコミュニケーションなので驚くことも多かったですが、途中からみんな慣れてきて、企画がどんどん進んでいくようになりましたね。

大世渡 今回のBOT企画は4回のチャンスがあったので、いろいろな手法を試すことができました。毎回発見がありますし、もっといろいろ挑戦していきたいですね!

塩見 今回の企画でいろいろコミュニケーションの取り方を試すうちに、気軽なコミュニケーションとしてのBOTの可能性を感じました。

大世渡 今回、いつでも簡単に使えるBOTの存在が、学生にとって進研ゼミに接するきっかけをより気軽にしてくれたんじゃないかと思っています。毎日何回も犬くじを遊びに来てくれるうちに、進研ゼミに触れることが日常化するというか。

高山 LINE@での会員サポートは、緩やかにつながれることが特徴だと思うんです。日頃ちょっと心が離れてしまっている「進研ゼミ」の会員も、BOTに触れることで思い出してくれるだけでも、このつながりには大きな意味があります。そこが今のLINE@の一番の強みかもしれません。

大世渡 今後は今まで蓄積したデータを活用して、よりコミュニケーションの質を上げつつ、もっともっと気軽に楽しく進研ゼミに接していただける企画を進めていきたいですね。

今後もよろしくお願いいたします!本日はありがとうございました。

株式会社ベネッセコーポレーション
塩見 琢生 様 チャネル開発部 Web企画課 課長
高山 三智子 様 高校生進路情報部 情報編集課 課長
中城友美 様 高校生進路情報部 情報編集課
 
株式会社アイ・エム・ジェイ
大世渡 麻子 クリエイティブ事業部プランナー