>>受賞データから見るカンヌライオンズ2016(前編)はこちら

 

出典:カンヌライオンズ公式サイト「RELEASE OF AWARDS」より

データ分析のもとになっている情報について(受賞データから見るカンヌライオンズ2016前編)

※以降の各グラフにおける受賞数は上軸、IMJ注目点は下軸

豆知識

カンヌライオンズでは、スペシャルアワードとしてエージェンシーの評価も行われています。以下5つのカテゴリで、それぞれ3つ(パルムドールのみ5つ)のエージェンシーおよびホールディングスカンパニー、ネットワークが評価されています。データと比較してみると、どうやら必ずしもライオンの実数とぴったりイコールの評価ではない模様。

スペシャルアワードの結果はこちら

 

スペシャルアワード名

概要

HOLDING COMPANY OF THE YEAR
ホールディングカンパニー・オブザイヤー

ライオン数をもっとも獲得したホールディングカンパニー

NETWORK OF THE YEAR
ネットワーク・オブザイヤー

メンバーカンパニーがライオンを勝ち取ったネットワークグループの親カンパニー

AGENCY OF THE YEAR
エージェンシー・オブザイヤー

ライオンを最もとったエージェンシー

INDEPENDENT AGENCY OF THE YEAR
インディペンデントエージェンシー・オブザイヤー

すべてのエントリーセクションでもっとも印象に残ったエージェンシー

PALME D’OR
パルムドール

フィルム部門、フィルムクラフト部門およびエンターテインメント部門のブランデットコンテンツおよびストーリーテリングカテゴリでポイントをあげたプロダクション

◆エージェンシー別に見るカンヌライオンズ2016

受賞作品のエントリーエージェンシー別の受賞総数で並べてみました。今年注目の世界のエージェンシーがわかります!

 

単体では「DROGA5 New York」「McCANN NEW YORK」が受賞総数23個で同率1位(IMJ注目点はそれぞれ2位、5位)。セミナーセッションでも、DROGA5のCreative chairman兼founderのDavid DrogaさんとUnder ArmourのCEO兼founderのKevin Plankさんのトークセッションがありましたが、Under Armourの受賞数は「フィルムクラフト部門」でのグランプリなど合計7つのライオンを獲得した「UNDER ARMOUR PHELPS」含め合計16個! クライアントとエージェンシーの密接な信頼関係から生み出される、生活者の心を動かす高いクオリティのクリエイティブが圧巻です。

「McCANN NEW YORK」は「THE FIELD TRIP TO MARS」の大量受賞のほか、赤ちゃんの育児アドバイスへの思いをおしりふきに込めた「ADVICE WIPES」も3つのライオンを受賞しています。

日本の「電通(DENTSU INC Tokyo)」はなんと世界で受賞総数5位! デザイン部門グランプリ含む7つのライオンを獲得した、パナソニックの「LIFE IS ELECTRIC」や、プロダクトデザイン部門受賞を含む、コクヨの「NAMELESS PAINTS」など、10作品で21個のライオンを獲得しています。

IMJ注目点1位は受賞総数3位の「Y&R NZ Auckland」。強い理由はやはり「MCWHOPPER」! このほか、アウトドア部門ゴールド他4つのライオンを獲得した「ACTUAL REALITY」。バーチャルリアリティに見せかけた実際の乗車体験のリアリティという面白さが話題を呼びました。データクリエイティブ部門でブロンズを獲得した「LIVING MEMORIES」は、幼くして交通事故の犠牲になった子供たちがもし生きていたら、という肖像画をデータ解析から作成するというプロジェクト。いずれの作品も、企画力もさることながら、難易度の高い企画を実現する力の原動力になっていると思われる、実際のアウトプットの訴求力の強さ=この企画でないと伝わらないメッセージの強さ、こだわりが感じられます。

 

<ネットワークグループ別>
「同じ企業ネットワークブランド名のエントリーエージェンシー」を企業ネットワークブランド別に分類しています。資本関係のグルーピングはデータ上ややこしくなってしまうので、グループ関係を確認の上、グループ名を名称に含むエージェンシーを抽出しています(例えば、「THE SWEDISH NUMBER」や「LE BON」で注目を集めた「INGO stockholm」は同じWPPグループ内ですがOGILVYネットワークとGREYネットワークの双方に属しているなど)。

 

ネットワークグループでは「BBDO」が受賞総数、IMJ注目点ともに1位。81か国に289のエージェンシーを抱えるニューヨーク発祥のエージェンシーグループです。
「COLENSO BBDO Auckland」の「BREWTROLEUM」や、「ALMAPBBDO Sao Paulo」の「ENDLESS POSSIBILITIES」、「BBDO New York」の「GE PODCAST THEATRE PRESENTS THE MESSAGE」など、授賞式では「またBBDOが受賞…!」と印象に残る作品が多かったです。
受賞総数2位は「DDB」グループ。「SHOPLIFTERS」や「MONTY'S CHRISTMAS」など、施策における映像の役割が大きい作品が多いなと感じました。
IMJ注目点2位は「OGILVY」グループ。ファーマ部門とラジオ部門でグランプリを受賞し、多くの部門でゴールドを受賞しています。3部門でゴールドを受賞した衝撃的な「BEHIND THE LEATHER」もOGILVYです!

 

ちなみに・・・前編では、「エントリー国別」の順位をご紹介しましたが、エージェンシー別にみると、エージェンシーの名称についている都市名が気になりませんか? どの都市のエージェンシーが最も賞を取っているのか、都市別に順位付けしてみました。

 

1位:ニューヨーク(USA)

2位:ロンドン(イギリス)

3位:サンパウロ(ブラジル)

ニューヨークの圧倒的な数もさることながら、USAは7位シカゴや10位ロサンゼルス、13位サンフランシスコなど複数の大都市のエージェンシーが多数の賞を取っていることが分かります。

◆クライアント別に見るカンヌライオンズ2016

続いて、クライアント別に受賞総数を並べてみました。日本でもおなじみの企業もあれば、ローカル色の強いクライアントもリストアップされています。

 

受賞総数1位:BURGER KING (IMJ注目点1位)

「MCWHOPPER」以外にも、それぞれ3部門授賞の「遠くても食べたい」というメッセージが秀逸な「#WHOISTHEKING」、バーガーキングのハンドサイン(手話で単語を表すためのもの)を作る企画の「WHOPPER SIGN」なども入賞。国が違っても、BURGER KINGらしいユーモアある展開はブレません!

受賞総数2位:MICROSOFT(IMJ注目点3位)

17部門入賞の「SURVIVAL BILLBOARD」のほか、キネクトのインタラクティブミュージックインスタレーションの「DELQA」がデザイン部門で3部門受賞など、計5作品が入賞。デジタルに閉じない、フィジカルな施策を取り入れているところがデジタル製品を生活者に届きやすくしていると感じました。

受賞総数3位:LOCKHEED MARTIN(IMJ注目点5位)

THE FIELD TRIP TO MARS」の1本で19部門受賞。

IMJ注目点2位は「BREWTROLEUM」の「HEINEKEN」、IMJ注目点4位は「THE NEXT REMBRANDT」の「ING」。1作品のみで複数部門受賞のクライアントが目立ちますが、複数作品が上位受賞している「BURGER KING」「HEINEKEN」は、どの作品も「らしさ」がにじみ出るさすがのブランド力。

 

広告の一部にソーシャルを使うことはもはや当たり前の時代を反映するように、ハッシュタグをそのままタイトルに使った作品が21作品受賞。ハッシュタグタイトルで、もっとも受賞総数が多かったのが「プロモ&アクティベーション部門」と「チタニウム部門」でグランプリを受賞した「#OPTOUTSIDE」。

受賞総数2位:「#COMEONIN

シドニーオペラハウスの外観を撮影した人に、「中にも入ってきて!」と誘いかける仕組みが秀逸。

受賞総数3位:「#DADDO

ヘアケアの「PANTENE」がクライアントで、父親が娘の髪を結ぶ動画を「#DADDO」のハッシュタグで拡散!新しい親子ふれあいのスタイルを作りました。

 

 

いかがでしたか?

前後編に分けてお届けした「データから見るカンヌライオンズ2016」ですが、データから見ると、

・分類ごとの傾向が把握しやすい

・全体感を理解しやすい

・注目施策を把握しやすい

といった傾向がある一方で、ブロンズやショートリストなどの「お気に入り作品」に出会うのはやはり現地で情報の洪水を浴びるという体験が欠かせないかと思います。

データをうまく活用すると、「深掘り分析」を重ねることで、より自分の求める情報にスピーディーにたどり着くことができます。また、これには「ハッシュタグで分類する」「VRで分類する」などの分類軸をデータに付加する必要があります。今回のデータ分析は、公表データのみの深掘り分析でデータをつけていますが、各作品の特徴にタグ付けをしながら分析をすることも効果的です。こちらはまたの機会に!

ご感想などお寄せいただけると嬉しいです!→backyard_info@imjp.co.jp