2018年、チャットBOTが消費生活の中心になる…? 2017年、注目の2大実証実験。

JR東日本 Chat Bot

いくつかの企業がチャットBOTに目を付け、いち早く自社のサービスに導入したのが2016年でした。(2016年のチャットBOT事例記事はこちら
この1年でチャットBOTの技術が急激に進歩したというわけではないため、自社の一部のサービスにチャットBOTを試験的に導入する事例が多い中、チャットBOTを活用してサービスの在り方を大きく変えるような、大規模な実証実験も見受けられました。
2017年に行われた注目の実証実験を、いくつかご紹介します。

「UNIQLO IQ」

9月からユニクロが一部会員向けに行った、AIコンシェルジュ「UNIQLO IQ」の試験運用は、2017年に最も注目されたチャットBOTの実証実験だといえるでしょう。

「UNIQLO IQ」は、ユーザーが入力した任意のワードから複数のオススメ商品を表示してくれます。ユーザーはボタンでサイズやカラーを選ぶことができ、さらに、入力ワードにマッチする商品がなければ代替商品を提案してくれます。大変気の利くチャットBOTですよね。見つけた商品は、オンラインショップで購入したり、近隣の店舗での在庫状況をチェックすることができます。

「UNIQLO IQ」の注目すべき点は、チャットBOTを起点として、オンラインとオフライン、ヒトとモノがリアルタイムに連携され、今までにない新しいショッピング体験が提供される点です。(新しい顧客体験、ユニファイドコマースについての記事はこちら!
「UNIQLO IQ」で生まれたユーザーとの会話は、商品の発見、オンラインショップへの誘導、店舗への誘導に繋がるのです。また、店舗にチェックインすることで、その場で気になった商品の在庫状況を確認することもできます。

「UNIQLO IQ」が消費者の体験をより良くすることに成功すれば、チャットBOTが小売り業界における新しいユーザー体験のハブ的存在になっていくかもしれません。
2018年春には、ユニクロアプリを利用する全員が、「UNIQLO IQ」を利用できるようになる予定です。

「JR東日本 Chat Bot」

「JR東日本Chat Bot」は、電車の運行情報や駅のコインロッカーの空き情報などをLINE上で教えてくれるチャットBOTです。2018年1月末まで実証実験が行われています。

「My路線」を登録してメニューの「運行情報」をタップすれば、リアルタイムの運行情報を教えてくれたり、東京駅・池袋駅・新宿駅・上野駅・品川駅・仙台駅のコインロッカーの空き状況を教えてくれたりします。また、登録した路線で事故や遅延が発生すると、リアルタイムでプッシュ配信を送ってくれます。

JR東日本 Chat Bot

※LINEアカウント「JR東日本 Chat Bot」より

ポイントは、ウェブサイトや自社の専用アプリではなく、日常的に触れることの多いLINEというプラットフォームを選んでいることです。
毎日必ずと言っていいほどチェックするLINEなら、遅延情報を見逃す可能性も低くなるでしょう。生活に必要な情報を、いちはやくキャッチすることができることが魅力のチャットBOTです。
もし、乗り換え案内もBOTとの会話だけでで素早くできるような機能も追加されれば、さらに生活になくてはならない便利なサービスになるのではないでしょうか。

正式リリースの予定は発表されていませんが、これから他の鉄道会社が競って同様のサービスを提供すれば、電車とチャットBOTは当たり前の組み合わせになっていくかもしれません。

小規模な導入から、インパクトの大きいサービスへ向けて前進。

昨年までは、新しいUIとしてのチャットBOTが注目され、小規模にチャットBOT導入を始める企業がほとんどでした。しかし2017年は、UNIQLOやJRのように、チャットBOTと自社の基幹サービスを連携させた、消費者体験を大きく変えるような実証実験が行われました。実証実験のネクストステップへ入ったといえる2017年を経て、2018年以降、どんなチャットBOTサービスが生まれていくか注目です。

これからのチャットBOTは「ロイヤリティ」が重要? 会話を続けてもらえるチャットBOTとは。

※ポケモン公式LINEアカウントより

自社にキャラクターを持つ企業によるチャットBOT活用は、これまで多くの事例を生んできました。AI女子高生の「りんな」やフロムAの「パン田一郎」など、話題になったチャットBOTも記憶に新しいですね。
2017年も新たなキャラクターのチャットBOTが生まれましたが、注目したいのは、ユーザーとの「会話の継続」が視野に入れられていることです。

一つの例として、ポケモン公式LINEアカウントが導入した、ポケモン「ロトム」と会話ができるチャットBOTがあります。ユーザーは自由に「ロトム」と会話ができたり、ポケモンの名前でしりとりをして遊ぶこともできますが、このチャットBOTの注目すべき点は、ユーザーが「ロトム」との会話を進めていくと、プレゼントをくれたり、ユーザーの特徴を診断してくれたりと、ユーザーが会話を続けるモチベーションを維持するための設計がされていることです。

※LINEアカウント「AIカホコ」より

現在のチャットBOTの自然言語処理能力は発展途上であり、ユーザーが100%自然な会話を行うことができるレベルには達していません。だからこそ、企業としてはユーザーがチャットBOTとの会話を継続してくれるような工夫を施し、ユーザーの離脱を防がなくてはならないのです。

ドラマの宣伝のために期間限定で登場した「AIカホコ」もそのひとつで、ドラマのストーリーの中で主人公のカホコが成長していくにつれて、チャットBOTの「AIカホコ」も成長していくようになっていました。ユーザーは未熟なAIカホコの成長に期待して会話を続けていくようになり、同時に不器用な主人公が成長していくドラマの世界観も体感できるようになるのです。(AIカホコなどチャットBOT事例についての記事はこちら!
ポケモンのBOTにも言えることですが、BOTとのやりとりを続けていくことで、ユーザーはキャラクターにまつわる世界観をより体感しやすくなるのです。

このように、ユーザーの「ロイヤリティ」を意識したキャラクターのチャットBOTは、これからますます増えていくのではないでしょうか。

スマートスピーカー日本上陸!見え始めたチャットBOTの未来。

2017年は、スマートスピーカーのAmazon EchoとGoogle Homeが日本に上陸した記念すべき年でした。すでに、日本語版「Alexa」では、100社以上が計265種ものスキル(!)をリリースすることがわかっています。また、Google Assistant対応Action(アプリ)の開発環境も日本向けにリリースされています

スマートスピーカーが可能にするのは、チャットBOTとの音声による会話です。現在主流になっているLINEやFacebook Messenger等のチャットツールでの会話を、手を動かすことなく行えるようになります。
すでに、Amazon Echoですき家の牛丼を注文できたり、クックパッドが料理のレシピを教えてくれたりと、非常に便利なスキルが発表されています。

※画像引用元:記事末尾記載*1

しかし、音声だけでのチャットBOTとのやりとりに、現時点では限界があることも事実です。例えば、賃貸物件をスマートスピーカーに話かけて検索しても、実際に物件の写真を見ることはできません。音声のみでのやり取りに向いているチャットBOTもありますが、場合によっては、ディスプレイとの連携があって初めて満足のいく体験が生まれる可能性もあるのです。スマートスピーカーを活かすことのできるUIの設計は、チャットBOT開発の課題の一つであるように感じます。

それでも、スマートスピーカーの上陸によって、新しいチャットBOTの未来が見えてきたことも事実です。スマートスピーカーにマッチしたチャットBOTサービスが多く開発されて普及すれば、家庭はもちろん、車の中や職場でも、ユーザーの「声」が体験の中心になる未来がくるのかもしれません。スマートスピーカーは出てきたばかりで、音声だけでの会話にマッチしたチャットBOTサービスもまだまだ開発途上ですが、2018年は、スマートスピーカーとうまくマッチしたチャットBOTが開発され、「スマートスピーカー元年」になるのかもしれません。(Alexaを活用した海外事例はこちら!

まとめ

ユーザーの消費行動を大きく変える実証実験に、スマートスピーカーの上陸。2017年は、チャットBOTの勢いが増した1年となりました。2018年は企業によるチャットBOT活用がより活発になっていくのは間違いありません。
しかし、「トレンドである」ことと「役に立つ」ことはイコールではありません。過去の事例からチャットBOTの現状とメリットを理解し、自社のサービスのどの点に活かすことができるのかを深く検討することが重要といえるでしょう。
2018年、どんなチャットBOTが生まれるか期待です!