ひと口にユニコーン企業といっても、業種はさまざま。
好調&今後注目の市場を中心にピックアップしました。

1.AI・ディープラーニング

既に中国の日常生活では顔認識システムの利用が当たり前になりつつある!?
日本でも導入が続くAI技術ですが、中国の人工知能を活用した画像認証テクノロジーの進化・普及のスピードには特に目を見張るものがあり、国民の生活に大きな変化をもたらしています。

■Megvii

Megvii

参照元:https://megvii.com/

創業:2011年

顔認証プラットフォーム「Face++」を手掛ける巨大ユニコーン企業。2012年8月からサービスを展開。日本でも数年前に顔写真から「自分に似た有名人を探してくれる」サービスが話題になりましたが、Face++の顔認証技術は今や決済やライドシェア、防犯システムなど生活する上で欠かせないものに。 超大手企業アリババグループもモバイル決済「アリペイ」にこの技術を導入。中国のみならず、世界の顔認証技術の進化は今やこの企業抜きには語れなくなっています。

<参考記事>
急速普及する顔認証技術、トップは中国メグビー
中国のスタートアップ企業が、実用化で世界をリード

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文中に「音声認識は識別の精度が100%まであと数%というところまで進化した時に、一気に普及した。」とあることから、日本でも今後数年で音声認識に加えて画像認識の普及が急速に進んでいくのではないでしょうか。

■センスタイム(Sensetime)

センスタイム(Sensetime)

参照元:https://www.sensetime.com/

創業:2014年

Megviiより後発にはなりますが、こちらも注目の企業。
顔認識、車・歩行者認識、危険物識別などの監視システムを得意とする「センスタイム」は、数々の大手企業からの需要が高まり急成長を遂げました。
2017年12月には、本田技術研究所が自動運転のAI技術に関する5年間の共同研究開発契約を締結し日本でも話題に。優秀な研究者を多く抱え、膨大なデータで精度を高めたセンスタイム社のAI技術が、日本のクルマのあり方を変えるかも。

<参考記事>
中国のAI企業が世界進出、ホンダと自律自動車を共同開発

2.ライドシェアリング

自動車・自転車など、乗り物系のシェアリングエコノミーは中国ではもはや日常化。
ただし自転車シェアは急速に発展した反面、乗り捨てなどの問題点も浮き彫りになり、倒産する企業も相次ぎました。今後は質と顧客満足度を高めるための工夫が必要な業界でもありますが、その中で「生き残った」企業から学べることもありそうです。

■Didi Chuxing(滴滴出行)

Didi Chuxing(滴滴出行)

参照元:http://www.didichuxing.com/en/

創業:2012年

中国版Uberとして不動の地位を確立した滴滴出行(ディディチューシン)。サービス利用者はなんと4億5000万人以上! 地方都市でも利用は拡大し、こちらも生活に「あって当たり前」のものになっています。
また先ほどご紹介した「Face++」の顔認証技術が導入されており、サービス利用時に登録ドライバーと実際のドライバーを顔認証で照合できることも特長。セキュリティ面でもより安心して利用できるような仕組みを整えています。
決済方法は現金の受け渡しが発生しない「完全オンライン決済」。中国ではスマホ決済が浸透しているため、抵抗なくサービスを利用できるユーザーが多いのも急速な普及の背景にありそうです。

2月にはソフトバンクとタクシー配車で連携したことも発表。年内にも日本の各地で実証実験を実施予定とのことで、今後の動向に注目です。

<参考記事>
滴滴出行、40億ドルを調達 AI研究を加速

■ofo

Ofo

参照元: https://www.ofo.com/jp/ja

創業:2014年

創業わずか3年でユニコーン企業になり、現在は世界21カ国・250都市で2億人以上のユーザーに利用されるシェアサイクルプラットフォーム。飽和状態のシェアサイクル業界の生き残りは「Mobike」とこの「ofo」だけと言っても過言ではありません。
自転車にはGPSが搭載され、利用者は専用のスマートフォンアプリから検索が可能。支払いも全てアプリで完結する手軽さも人気の理由。成功に至るまでにはさまざまな失敗もあったようですが、創業時24歳だったCEOを中心に「若さと勢いのある企業」ならではのユニークな発想力で他社との差別化をはかっています。

<参考記事>
中国のユニコーン企業(2):ofo(「中華IT最新事情」より)

3月末からは和歌山市で日本初のサービスを開始。ライバルの「Mobike」も既に国内の一部地域でサービスを展開していますが、実際はなかなか苦戦しているよう……。ofoは日本で受け入れられるのでしょうか。

3.オンライン学習市場

英語教育の早期化が年々進む中で盛り上がりを見せているのがオンライン教育。
中国の子どもたちの数に対して圧倒的に英会話教師が足りないことや、地域によって教育環境に差が発生する背景もあり、自宅で好きなときに学べるオンライン学習との相性は抜群のよう。投資家の予測すら遥かに上回る勢いで成長を続けています。

■VIPKID

VIPKID

参照元:http://www.vipkid.com.cn/

創業:2013年

創業から数年で、中国でのオンライン英語教育市場においてなんとシェア50パーセント(iResearch社調べ)以上を獲得! 世界規模の成功を収めているユニコーン企業がこちらのVIPKID。北米の英語教師と1対1でやり取りができる授業などが人気を博し、登録会員数は2017年時点で20万人以上に。同年には中国語学習サービス「Lingo Bus」も開始されました。

創業者・CEOのシンディ・ミー氏は、叔父と共に英語学校を経営した経歴の持ち主。また「cafeglobe」のインタビュー記事では学習だけを目的とするのではなく「知識や文化を子どもたちとシェアしたい」と語っており、従来の英語教育の枠を超えた視点で子どもたちの未来と向き合っているよう。世の中を惹きつけるサービスを生み出すヒントは、こんな姿勢にあるのかも!?

<参考記事>
中国次のユニコーンはEdTech。子ども向け北米オンライン英語学習が爆速成長中

日本でも2020年には小学3年生から英語(外国語活動)が必修化、さらにはプログラミング教育も必修化することが決定しており、オンライン学習の需要が高まるのは確実。その流れを受け、市場がどのような進化を遂げるのか注目したいですね。

4.ニュースメディア

日本でもすっかり定着したスマートフォン向けのニュースアプリですが、中国での浸透率はケタ違い。人工知能を駆使したニュースアプリが毎日1億人以上(!)の国民に利用されており、自分の欲しい・興味のある情報を手軽に入手することが可能になっています。

■Bytedance

Bytedance

参照元:https://www.bytedance.com/

創業:2012年

AIでユーザーの好みや滞在地域に合わせてニュースや動画などの情報を提供する、中国最大規模のニュースアプリ「Toutiao(今日頭条)」などのコンテンツプラットフォームを運営(日本のティーンにも流行中のリップシンク(口パク)アプリ「Tik Tok」もこのBytedanceが運営!)。「今日頭条」の利用者数はなんと6億人以上、1日当たりのアクティブユーザー数も1億2,000万人以上とのこと! 分母の違いはあるといえ、普及率も普及スピードも日本とはケタ違いな印象を受けます。

昨年は不適切なコンテンツの配信を指摘されるなどのトラブルもありましたが、こちらの記事によると現在は不快なコンテンツを除く取り組みやAIトレーニングを実施している模様。信頼度や学習精度をより高め、ユーザーが快適にサービスを利用できる取り組みに力を入れていく姿勢を見せています。

<参考記事>
中国最大のメディア企業『Bytedance』の超アグレッシブな拡大戦略
中国で急成長するニュースアプリ「今日頭条」――アクティブユーザー1億5000万人のアプリとは?

5.無人コンビニ

最後に、まだユニコーン企業ではないものの世界的に注目を集める「無人化ビジネス」に力を注ぐ企業をご紹介します。

Amazon GOの一歩先を目指す!? 中国の無人コンビニ事情

中国はAmazon GOよりも早く無人コンビニを実用化している、いわば「無人化の先駆け」。早期実用化ができた背景には、電子タグであるRFIDタグを使用した先進技術を駆使しない手法を取っている企業が多いこともあるようですが、そこはITの進化が著しい中国。よりハイテクな無人コンビニが誕生する日もそう遠くはなさそうです。

■Deepblue Tech(深蘭科技)

Deepblue Tech(深蘭科技)

参照元:https://www.deepblueai.com/

創業:2014年

手のひら認証で買い物ができる、夢の!?ハイエンド無人コンビニ「Take GO」の運営企業。現在実用化に向けて開発が進められているようです。

詳しくは「GloTech Trends」の記事で動画つきでまとめられているのでぜひご一読を。

「Amazon GO」を超えるのか? 9/24無人コンビニ「Take Go」運営企業「Deepblue Tech」が資金調達に成功、手のひら認証だけで買い物が完結

動画を見ると万引きにしか見えないのですが、これがハイテク無人コンビニで実現させようとしている世界。こんな買い物の光景が当たり前になる日も近いのかもしれません。

さらに、3月下旬にはこんな情報も飛び込んできました! 日本に上陸した際にはぜひ体験してみたいものです。
イオン、中国の深蘭科技と共同で無人店業務を開始

■中山市賓哥網絡科技(「ビンゴ・ボックス」運営企業)

中山市賓哥網絡科技(「ビンゴ・ボックス」運営企業)

参照元:http://www.bingobox.com/

創業:2016年

中国で現在勢いのあるコンテナ式の無人コンビニ。2016年に1店舗目をオープンし、1年後には約200店舗にまで拡大しています。
中国版LINEとも言われるメッセンジャーアプリ 「WeChat(微信)」のIDを使い店舗に入店。電子タグの付いた商品をレジで読み取り、支払いはモバイル決済で完了するシステムを取っています。

2018年1月には、従来のコンビニを改装せずにレジの無人化を実現可能な「BingoBox Mini(ビンゴボックスミニ)」の導入を進める計画を発表しました。

<参考記事>
中国の無人コンビニ「Bingo Box」に行ってみた!

中国の無人コンビニの第一線を走るBingo Boxが5.1億元の資金調達を達成。
こちらの記事では「Bingo Boxの目標は一つのユニコーン企業になること」とも語っており、今後無事に(?)ユニコーン企業の仲間入りを果たせるか注目です。

 

日本でも2025年を目標に大手コンビニエンスストアがレジの無人化を目指す取り組みが報じられています。今のうちに動向に注目しておくと良いかもしれませんね。

【まとめ】

改めて「中国でこれほどユニコーン企業や最先端技術を駆使したサービスが生まれ・浸透するのはなぜか」考えてみると、たとえば「モバイル決済×Face++の人工知能」の技術を融合させて国民に便利さを提供する「滴滴出行」のように
「他サービスの発展でさらに優れたサービスが生まれる好循環」があることがまず一つ。

加えて、ニュースアプリ「今日頭条」のケタ違いの普及度やオンライン教育市場がたった数年で爆発的に成長したことなどから
「国民自体が新しい体験を積極的に楽しむ傾向が多い」こと。
この二点が背景にあることが大きいような気がしました。

記事をまとめるにあたり数々の企業の失敗例(!?)にも出会いましたが、
企業も国民も「失敗を恐れずにまずチャレンジしてみる」姿勢とそのスピード感が、移り変わりの激しい現代のデジタル文化と相性が良いと言えるかもしれませんね。

来たる2020年に向けて、日本でも最新のテクノロジーを取り入れたサービスがどんどん実用化に向けて動き出すはず。その波に乗り遅れないよう、世界トップクラスの発展を遂げた中国のさまざまな事例を参考に、今後の日本企業の動向にも注目していきたいですね!