小売業のデジタル推進を支援するチームでビジネスプランニングをしている中條です。2016年11月12日に福岡で行われたクリエイティブとテクノロジーの祭典「明星和楽」イベントで、IMJが開発したレコメンド型デジタルスタンプラリーを提供しました。実際の計測数値とともに、レコメンド型デジタルスタンプラリーのメリットと、有効な活用方法をご紹介します!

 

レコメンド型デジタルスタンプラリーってなに?

レコメンド型デジタルスタンプラリーは、ユーザーのスマートフォンのブラウザに表示させた台紙にデジタルスタンプを押すことで、参加者属性・スタンプ押印履歴をもとにレコメンドした情報を出し分けることができる、新しい形のデジタルスタンプラリーです。

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「業界初?! レコメンド型デジタルスタンプラリーって一体何?」

従来の紙のスタンプラリーではできなかったユーザーの属性に基づく行動データ取得・分析が可能です。さらにアプリ型のデジタルスタンプと比較すると、スマートフォンのブラウザでスタンプラリーが完結するので専用アプリをダウンロードしたり、Wi-Fi、Bluetoothなどの近距離無線技術をオンにする手間がないため、参加のハードルを大幅に下げることができます。

「明星和楽」でのレコメンド型デジタルスタンプラリー開催概要

まずは、こちらの動画をご覧ください。

「明星和楽」でのスタンプラリーイベントは11月12日の約半日、12〜18時(抽選会場は19時半)まで開催しました。スタンプラリーについてほとんど事前の告知はしておらず、当日に道行く人に声をかけて集客したにも関わらず、お子さんからご年配の方まで、たくさんの幅広い年代の方にご参加いただくことができました。

今回のスタンプラリーは、「明星和楽」5箇所の会場のうち3箇所にあるスタンプポイントでスタンプを集めると、PlayStation® VRや札幌への航空券が当たる抽選会に参加できるというもの。

最初に任意の2箇所でスタンプを押すと、3箇所目のレコメンドミッションのスタンプポイントが表示されます。レコメンドミッションは決められた場所に行く必要があり、抽選会に参加するためには、このレコメンドミッションを達成しなければなりません

 

 

3箇所目のレコメンドミッションは、ラリー開始時に入力された参加者の年齢と性別のデータと前の2箇所のスタンプ押印履歴をもとに、参加者の属性に合ったイベントが行われる会場をマッチングして表示させています。また、ミッションが発生した時間と近い時間に行われるおすすめイベントも一緒に表示することで、離れた会場でも参加者のモチベーションをあげて誘導することができます

 

それでは、実際に計測された数値を分析してみましょう。

データ①:年齢と性別からみる参加者の属性傾向

 

スタンプラリーページに入力された参加者の属性を集計しました。

  • 参加者年齢は幅広いが30代が最も多かった。
  • 男女比はおおよそ6:4で、男性が多かった。
  • 男性の大人の参加が多く、子供や女性は比較的少なめだった。

ただ実際のイベントでの様子を見ていると、小さな子供もわりと参加していました。親子参加の場合、親のスマホを使って一緒に参加しているために、データ上では親世代の参加数が多くなり、子供の参加数が実際より少ないように見えているのではないかと思われます。

男性比率が高いのは、テック系が中心のコンテンツになっているイベントであったことと、ポスターやチラシでの景品訴求でPSVRを大きく写真付きで目立たせたことで、PSVRが欲しいから参加したという男性が多くなったためと推測されます。訴求する賞品やアピール方法によって参加者の分布にも変化がありそうです。

参加者の男女比や、年齢分布を集計し、リアルタイムでスタンプラリーの内容を変えることができるのは、デジタルスタンプならではのメリットです。今後は親子参加の場合にも正確なデータを取得できるように、最初の属性入力の項目を工夫することが精度向上につながると思われます。

データ②:時間ごとのスタンプ押印数からみる時間帯別の行動傾向

つぎに時間ごとのスタンプ押印数をみてみましょう。デジタルなスタンプラリーだと、押印時間が正確に分かるので後で分析に活かしやすい、というのもメリットです。

  • 14-15時台:スタンプラリーでイベント会場間を回遊する参加者が最も多かった。
  • 15-16時台:抽選会場が最も混雑した。
  • 17-19時台:抽選会場は混まなかった。

イベント前の想定では、企画終了時間間際に駆け込みでスタンプを押す人が増え、抽選会場の混雑のピークは17時から18時に掛けてと考えていましたが、実際にはそれよりも2時間早くピークが来ていました。

次回の開催では抽選のピーク時間を15-16時台と想定して、あらかじめスタッフの増員をしておくと運営がスムーズかと考えられます。

また、デジタルスタンプでは管理画面からリアルタイムで押印データを見ることもできるので、「◯分に1回のペースでスタンプが押され始めたらスタンプを増員する」となどと、あらかじめアラートを設定しておけば、ラリー拠点のスタッフが自分でアラートを直接あげなくても、サポートスタッフを適切に配置することができそうです。

データ③:抽選会参加までのラリー参加時間からみる行動傾向

スタンプラリー参加者がラリー完成までどのぐらい時間が掛かっているかデータを集計しました。

  • 平均ラリー時間(加重平均で算出)は1時間9分。
  • 平均より早く終わった参加者は、抽選会参加の総人数のうちの65パーセント。

拠点ごとの距離で計算すると、スタンプラリーそのものに掛かる時間は長い場合でも10分程度。10分以内にラリーを完成させた人は、抽選会参加者のうちの15パーセントなので、およそ85パーセントの人が、「明星和楽」のイベントを見たり体験したりしながらスタンプラリーに参加したと考えられます。

「明星和楽」のように、複数の会場でイベントが行われる場合、スタンプラリーは鉄板の企画と言っても良いかと思いますが、スタンプラリー目的で回遊している人に、いかに目についたパフォーマンスを鑑賞してもらったり、やろうと思っていなかった企画に参加してもらうのか。

レコメンドでのイベント情報のマッチング精度を向上させることで、従来型のスタンプラリーではできなかった、イベント参加・鑑賞率のさらなる向上を目指すことができそうです。

データ④:会場ごとのレコメンドミッション達成率からみるラリーポイント設置のコツ

レコメンドミッションのうち、どのラリーポイントが一番達成率が悪かったかをグラフにしてみました。

  • 他のラリーポイントから一番離れた⑤旧大名小学校は90パーセント近いミッション達成率だった。
  • ④市役所は60パーセントとミッション達成率は低かった。

 

 

上記の地図でわかる通り⑤大名小学校は徒歩6~7分と一番距離が離れています。遠いといってあきらめてしまう参加者に備えて「レコメンド型デジタルスタンプラリー」という企画を実施しましたが、結果を見ると⑤旧大名小学校への送客は実現できたといえそうです。

一方、近いはずの④市役所のラリーポイントの達成率が低くくなったというデータが取得できました。原因としてはスタンプ台が分かりにくい場所にあったため、ラリーポイントを見つけられなかった参加者がいたのではないかと推測されます。
この結果から、距離の遠さよりも近くても場所が分かりにくいことのほうが、参加者のテンションを下げる、ということが分かります。

ラリーポイントが分かりにくい場所にしか設置できない場合、GPSの現在地情報を使ってラリーポイントへ道案内する機能をつけるなどで解決できるかもしれません。紙のスタンプラリーではできないデジタルスタンプラリーならではのメリットですね。

まとめ

いかがでしたか? デジタルスタンプで取得したデータから、どこの導線に問題があるか、どういうことは障害になりづらいかが、分析できたかと思います。

 

【レコメンド型デジタルスタンプラリーのメリット】

  • ユーザー属性と紐付いた詳細な行動データを取得できる。​
  • 属性にあったレコメンド情報を表示し、狙った会場へ誘導できる。
  • スタンプ拠点のリアルタイムなカスタマイズ、周辺情報レコメンドなど、デジタルならではの施策を取り入れられる。


データを取得し分析することで、「男性の参加者が多かったようだ」といった印象ベースでのレポートから、「想定では◯時頃が一番混むと予想したが、実際は○時頃が一番混んでいた」「今年はここの数値が◯◯パーセントだから、来年は◯◯パーセントを目指そう」などと数値で示すことができ、次回への行動指針が明確になり、より効果的にPDCAを回すことができるようになります。

 


【イベント主催者からのコメント】
「明星和楽」Organizer 村上 純志 様

毎年イベントを開催するなかで、「離れた会場を参加者にどう回遊してもらうか?」「参加者の属性をどう取得するか?」について以前より課題を感じていました。

今回IMJさんに相談し、デジタルスタンプラリーを導入することに。結果は、参加者の属性を取得することで、今まで見えなかった参加者層が可視化できて、次回開催への分析、改善へと繋げることができました。

さらに、このことはイベントそのものだけではなく、スポンサーへのアピールにも繋がっており、デジタルスタンプラリーはとても大きな効果を生む結果となりました。次回もぜひ活用させていただきたいと思います。


 

あなたもデジタルなスタンプラリーでデータを計測して、定量データに基づいたPDCAを回してみませんか?