会員がアクティブな動員に直結する CLUB Panasonic

江端 中村さんはインターネットの世界にはどの分野から入られたのですか。

中村 最初はhi-hoのコンテンツ関連でした。2000年からです。早いですね。会社生活の大半がこの業界になりました。

江端 CLUB Panasonicに携わられてから、もう8年になりますか。

中村 おかげさまで会員数は毎年100万人ずつ順調に増え、810万人を超えました。重要なのは会員数だけでなく、アクセス数と、そこからいかにアクティブに動いていただくかということ。サイトを見てキャンペーン参加を申し込んだり、メルマガを購読したりという、リアルに動いた指標が高くなってきていて、本当にありがたいです。

江端 アクティブ層にはどういった方が多いのですか?

中村 CLUB Panasonicはとくに男性のシニア層が強いんですが、日経BPコンサルティング社のWebブランド調査では、男性の部に限定すると楽天、Yahoo!、Google、Amazonに次ぐ5位。Wikipedia、YouTube、価格comを抜くという信じられないほどのランクなんですよ。

江端 それはすごい。昨年10月には、東京ドーム・プリズムホールで会員限定のイベントがありました。私も家内と伺いましたが、人が多かったです。入り口では長い行列ができていましたね。

中村 あのイベントはパナソニックの「ふだんプレミアム」という、冷蔵庫・洗濯機・エアコンを中心とした家電商品や、4Kワールドなどを体感するもので、4,000名近くの会員に来ていただきました。参加された方がTwitterやFacebookで、「調理家電の試食は早く行かないと!」というような内容でつぶやかれたりして、入場前に400名の大行列ができてしまいました。

江端 お客様はイベント会場でどういった反応をされていましたか?

中村 商品の正しい説明を聞けてよかったという声が多かったです。商品の体感イベントでお客様が求めているのは、メーカーからの直接的な説明ということがよくわかりました。製品について聞きたいことを正しく教えてもらえるため、お客様のモチベーションがとても高い。実際に応対したうちの社員も驚いていました。社内的にも得るものがたくさんありましたよ。

江端 今はネットの情報が先にあり、そこからリアルに発展することが多いですよね。商品だけでなく人間でもリアルでは会ったことがなくても、SNSで話しているので知り合いのような感覚になったりしますし。

中村 毎日サイトに来ていただくことで、パナソニックの「ファンになる」というよりは「友達になる」ような感覚になるのでしょうね。友達だから、アンケートもイベントも参加して、コインも貯める。ネットプロモーションスコア(NPS)では、CLUB Panasonicの会員と非会員の年間のパナソニック商品の購買金額を測定したところ、会員は非会員の2.6倍、金額にするとかなりの額になるという驚きの結果が出ました。

江端 すごい数字ですね。ぜひ定点観測の結果を見たいですね。Webサイトを見るときは皆さん1人で楽しまれていると思うのですが、昨秋のイベントではご家族で参加されている方が多かったですよね。ファミリー単位で参加されているのはすごいなあと。

中村 あのイベントは「ふだんプレミアム」商品のターゲットである30~40代がターゲットで、サイトでの告知以外に、リアルなDMをロイヤリティの高いその層に絞って出しました。実際にその世代が入場者の73%を占め、狙いどおりの結果になりました。webやEメールなど伝える手段はリアルにいろいろありますし、それを駆使しながら、続けることが重要だと思います。顧客設定や管理も含めて、統合的にコミュニケーションをとることを目標としています。

導入1周年 好調なクラブ・パナソニック コイン

江端 去年の3月からCLUB Panasonic コイン(以下クラブPコイン)を展開されていますね。とても好調のようですが、導入されたきっかけやその狙いを教えてください。

中村 ネットからリアルへとたくさんのお客様の動きが広がるなか、そこに通貨という概念があれば関係がより強固になるのではないかという思いから、クラブPコインを導入しました。キャンペーンではプレゼントやキャッシュバックが発生します。従来は商品券などで対応していましたが、送料やその運営自体にコストがかかります。それをコインに置き換えることでコストがカットでき、その分をお客様に還元できます。あと、期間の短縮も大きいですね。

江端 最近の「DIME」にも「最強ポイント」「こんなにおトク!」とクラブPコインの記事が掲載されました。他社のポイントも交換できるのがいいですね。私もコインを利用させていただいています。昨年末にふるさと納税のサイトで佐賀牛を買わせていただきました。間違えて2回申し込んでしまいまして、まだ食べきれていません(笑)。クラブPコインのサイトがなかったら、私は申し込まなかったかもしれません。お得な情報が得られて、なおかつコインも貯まるなんて、本当にお得ですよね。

中村 この3月末まで、「CLUB Panasonic コイン1周年キャンペーン」を開催していますがYAHOO!ショッピング等に申し込むと1%→5%になるほか、継続中のポイント、コイン還元キャンペーンもたくさんあります。

江端 これは要チェックですね。

中村 また、いろいろな広告主さんから広告を載せたいという問い合わせが多数寄せられるようになりました。そういった要望にお応えしたいと「コインモール」の活用を提案しています。

江端 コインモール」は成果報酬型のシステムですね。

中村 アフィリエイト広告で出稿していただき、お客様が買い物をしたり、無料で会員登録などをしていただいたときに、広告主から原資を頂戴して、お客様にコインでお渡しするという流れです。コインの流通量が増やせますし、広告主さんにも非常に好評をいただいています。

江端 お客様が実際に動かれたときにだけ報酬が発生するので、広告主さんには失敗がないわけですね。

中村 クラブPコインはショートメッセージ認証を行っていて、複数のアカウントを持ちにくいようになっています。その点でも広告主の皆様に好評をいただいています。毎週、担当者が目視で比較して、還元率が高い広告主さんだけを掲載する「高還元率に自信あり」というページがありまして、今56サイトぐらい掲載しています。集客力で広告主さんに成果を返し、お客様にも返す。そこでまたお客様がリピートし、増えるという良い循環になっています。

江端 勝手に広告が表示されて、消費者が無理やり見せられるのでなく、報酬分を還元するという新しい仕組みだなと思います。

中村 そうですね。メーカーとしては初めてではないでしょうか。

江端 サイトの規模や存在が大きくなり、ユーザーの動きにコインがうまくはまったということでしょうね。始められた当初は内部でもいろいろあったと思いますが、ここに至るまでどうやってクリアされてきたのですか。

中村 CLUB Panasonicは、最初に事業目論見で、3年で会員数300万人という目標が立てられました。実際年ごとにそれに近づき、実証して数値化して理解してもらえたというのが大きいですね。

江端 いろいろな部署との連携なども成功につながったのでしょうか。

中村 商品部、流通営業部、コミュニケーション部と、つねに連携することが大切です。その連携が集客なども含めて、売りに貢献ができているということが大きいですね。

江端 なるほど。デジタルマーケティングとその連携、活用がすばらしい結果につながったわけですね。

中村 これだけの規模のサイトというのはなかなかないですから、それが活用されることは、パナソニックと他社の差別化につながると、社内でも理解されていますよ。

江端 パナソニックさんご自身も業績が堅調に推移されていますね。

中村 おかげさまで、国内の家電事業を始め好調です。

江端 それはひとえにCLUB Panasonicの…。

中村 成果です!と、私ははっきり言いたいですね(笑)。

リアルタイムでデータを活用し お客様に響く企画を

江端 まだまだ快進撃は続くと思いますが、来年や将来の目標などは。

中村 将来的な目標としては顧客接点をトータル的にまとめ、お客様にいろいろご提案できるようにして、社内的にも“見える化”を進めていければいいなと思っています。

江端 顧客設定の具体例としてはどのようなことを?

中村 商品サイト、コールセンター、修理などをトータルにシームレスに最適なご提案ができればいいなと思っています。

江端 CLUB Panasonicがそれらをつなぐツールになればいいですね。そういった情報をデータベース化することも今後解析するなど考えておられたりしますか。

中村 そうですね。コストとか運営とかいろいろな面がありますが、2020年東京オリンピックの年までには何か形にしたいですね。

江端 ネットからリアルへのつながりもデータにすればいろいろ役立てられそうですね。

中村 たとえば、エンジョイポイントが多い人がイベントに来るなど、会員とクラブのコミュニケーションが深まった人が、リアルでも動いてくれています。CLUB Panasonicでは、お客様1人1人の行動履歴を追うというよりは、どれぐらいサイトにロイヤリティがあるのか、そこに来た人がどういう行動をするのかという分析を行っています。仮説を立てて、実際に検証した結果、間違いないというデータを活用するようにしています。

江端 それは人手をかけてやったりしているのですか。

中村 各担当が気づいたらすぐに分析できるようにしています。お客様のIDで年代や性別、イベントにどうやって来たかなどがわかるようにしています。担当が自分からデータを見ないと得られない情報です。その大切さを徹底できればと思っています。

江端 昨年そういった部分でも弊社がパナソニックへ常駐してお手伝いさせていただきました。仮説を立て検証するときに、データをどう活用するか、いかに早く正確にできるかというのが重要なんです。

中村 人任せにするのでなく、担当がチェックをして、絶えず見ながらプランを立てて実行していくというのが大事ですね。

江端 終わってからでなく、リアルタイムで回していくことが大切ですね。

中村 そういった文化が根付かない企業は伸びません。あと、お客様のためになるかどうかという観点で企画を行うことも大切です。お客様に響かないのでは価値がまったくないですから。

江端 スマホの時代になっても、基本は昔から変わっていないということですね。

中村 お客様から支持されないメディアは生き残れないですね。

江端 CLUB Panasonicのさらなる進化を期待しております。本日はありがとうございました。