データドリブンセッション:「DMPなどでデータ活用法を仕組化し成長を実現。顧客に迫るデータドリブンマーケティング」

板澤一樹氏 株式会社リクルートジョブズIT戦略室デジタルマーケティング部部長(写真左)

山本崇博 株式会社アイ・エム・ジェイ MTL事業本部長(写真右)

キーワードは “武器”と“組織”

このセッションの導入として、最初に株式会社アイ・エム・ジェイ(以下IMJ)MTL事業本部長・山本崇博が壇上へ。

「デジタルマーケティング市場の現状から、データを活用することがいま、求められている」と山本は述べ、と、その必要性に触れました。

IMJ山本:「大切なのは、ビジネス貢献度の高い仕組みづくり。データの活用法が鍵となる」

“必要なデータ”と、それを分析し、活かすための“有効な活用法”を探るのが、このセッションの目的。ここで掲げられたキーワードは「“武器”と“組織”」。デジタルマーケティングにおける武器とは、いったい何を示唆するのでしょうか。

IMJ山本:「“武器”とは、どのようなソリューションと組み合わせるかということ。それをどこで誰がどのように活かすのかが“組織”」

ここで山本は株式会社リクルートジョブズ(以下リクルートジョブズ)の板澤一樹氏を紹介、マイクは板澤氏にバトンタッチされました。

求人事案におけるデジタルデータの活用法

板澤一樹氏:(株)リクルートジョブズIT戦略室デジタルマーケティング部部長

板澤氏は株式会社リクルートを経て、2012年同社事業部変革に伴い株式会社リクルートジョブズへ。現在の業務内容などを説明後、本題に入っていきます。資料画像とともに、板倉氏はその現象を解説。

リクルートジョブズ板澤氏:「アルバイトや派遣の求人情報も、紙媒体だけでなくWEBやモバイルで活用される事例が増えてきた。そのなかで、とくにスマートフォンの普及で従来の方法とは違った展開になっている」

また、リクルートジョブズでは、モバイルを中心とするデジタルデータは、宣伝・集客、データマネジメント、アプリ情報といった3つのグループに分けて展開しています。

ここでリクルートジョブズの運営する人材採用サービスの実績などを紹介。独自のアプリも取り上げて、ビジュアル的にも見やすく構築された活用事例を挙げました。

データ活用の流れとして、“収集→蓄積・統合→分析→活用”、というチャートが掲示され、それぞれの事例を紹介。

収集”のポイントは、自社データと他社データをどう相互に活用させるか。「自社データレイクと第三者データをDMPでマッチングさせるなど、その手法を考えることが大切」

蓄積・統合”については「まず、分析したデータが使いやすいものになっているかどうかを確認し、整備することが必要

分析”では専門のデータサイエンティストを9名採用したことに触れ、「専門の解析者を採用し、高度な分析を行う。セキュリティなど神経を遣う部分でもあり、解析者が作業しやすい環境を作る。そこから一般社員も分析し、活用できるように導く」

活用”の例では「人の手が入ったデータがどれかをはっきり示しておく。クライアントが使いやすいようデータを整理し、その活用法を一緒に考え構築していく」と、顧客のニーズに合わせるための方法を紹介するなど、それぞれについて板澤氏はていねいに説明していきました。

山本崇博:(株)アイ・エム・ジェイ MTL事業本部長

最後は質疑応答の時間。

IMJ山本:「新人の育成が難しい。よきデジタルマーケターを育てるポイントは?」

リクルートジョブズ板澤氏:「どうやっても2割ぐらいは拒否反応が起きたりします(笑)。最初から分析漬けにしないこと。ある程度コストをかけての教育が必要。苦手な人でも、やがて中ぐらいのレベルになれます」

ほかにも会場の参加者からいくつかの質問が。

参加者:「データサイエンティストを採用したことによる成果や、会社にもたらされたものは?」

リクルートジョブズ板澤氏:「すぐには倍の成果などは得られない。しかし、それを続けることで会社全体も意識が高まる」

参加者:「部門によってはデータ分析をやりたがらないところもある。そういう部署への社内研修への仕掛けはどうすればよいか」

リクルートジョブズ板澤氏:「少しずつ進めて、どこかでプラスの評判を得るなどが大事」

データ分析について悩まれているマーケターは少なくないようで、会場の皆さんの表情も真剣そのもの。セッションは熱い質疑応答で終了となりました。

セッションを終えて(山本崇博

「ビッグデータ」「DMP」など、バズワード化する中、それらを実際に事業施策の中に組み入れていくことは想像以上に泥臭いものです。大量データのクレンジング、地道な採用・教育活動。決して平坦な道のりではありません。 ただし、データ活用が重要さを増す中で、いち早くこれらを整備することは企業の重要課題といえるでしょう。 カンファレンス終了後、泥臭い部分への共感や、データ活用の重要性を感じたとの声を、多く伺うことも出来ました。 IMJでは、Data Driven Marketing®(データドリブンマーケティング)の実現を通じて、このような課題を解決するためにデータを有効活用いただけるプラットフォーム構築、教育・体制構築支援、意思決定のためのコンサルティングサービスを提供して参りたいと思います。

 

 

カスタマーエクスペリエンスセッション:「データ中心だからこそ人が創り上げるクリエイティブ。デジタル時代のクリエイティビティ」

ダン・イナモト氏 AKQA ビジネスディレクター(写真左)

久田祐通 株式会社アイ・エム・ジェイ 取締役兼上級執行役員(写真右)

“左脳”と“右脳”のバランス感で ビッグデータ時代を生き抜く

久田祐通:(株)アイ・エム・ジェイ 取締役兼上級執行役員

このセッションは、IMJグループが10月よりパートナーシップを組むことになった世界的なクリエイティブエージェンシーであるAKQAのダン・イナモト氏を迎え、その仕事を紹介するとともにデジタルクリエイティブの今を見据えるというもの。その導入として、弊社・久田祐通が壇上に。

IMJ久田:「今、さまざまなデータが我々の生活に入り込んでいるが、そのデータも実際に使える状態に加工しなければ意味のないものとなる。アメリカのデジタルマーケティング業界では“ビッグデータの幻影”という言葉もあるほどです」

久田は、クリエイティブを追求するときに必要なものがあると言います。

IMJ久田:「必要なのは“人間の不確実性”と“限定合理性”。そのキーワードは“左脳”と“右脳”にある」

一般的に“左脳”=デジタル思考、“右脳”=アナログ思考と言われますが、そのバランスが大切なのだ、と。さらに久田は「デジタル思考だけでは、思ったような成果は得られない」と続け、独自のコンテンツ回遊プラットフォームを提供するOutbrain社の事例を見ながら、現状を分析していきます。

モニターに挙がったキーワードは、“車と親和性の高いスポーツは?”。

IMJ久田:「車とスポーツの接点は何か。この問題をOutbrain社のデータ分析を見ながら紐解くと、おもしろい結果が見えてくる」

サッカー、サーフィンといろいろなスポーツとの関連性がグラフで示唆され、車のコンテンツの購読層が好むスポーツがわかります。そういったデータに着目することで強力なアプローチが期待できます。そして最後に、次なる段階として“KKDからの卒業”をアピール。

IMJ久田:「ビッグデータ時代の今、“KKD=勘、経験、度胸”だけに頼るのでなく、しっかりした分析と目的意識から物を創り上げていくことが大切」との言葉で、この場を締めました。

続いて、AKQAのダン・イナモト氏を紹介。マイクはイナモト氏に移りました。

AKQAが提案する新時代のデジタルコミュニケーション

ダン・イナモト氏:AKQA ビジネスディレクター

イナモト氏は、まずAKQAの5つの仕事の分野(BUSINESS TRANSFORMAION、BRAND MARKETING、DATA SCIENCE、DIGITAL MEETS PHYSICAL、PRODUCT & SERVICE DESIGN)を紹介。

AKQA イナモト氏:「世界各地を渡り歩いた自分の体験から、人とのオーセンティックなコミュニケーションが大切と学んだ。広告、宣伝の世界でもこのAUTHENTIC COMMUNICATIONが重要」

イナモト氏はいくつかの事例を挙げながら、AKQAの仕事を紹介していきます。

そのうち、印象的だったのはDIGITAL IMMERSIONというテーマ。JORDANブランドが30周年を記念して展開した「The Last Shot」は、伝説のプレイヤー、マイケル・ジョーダンを知らない若い世代にも、その素晴らしさをバーチャルで体感してもらい、ジョーダンのスピリットを理解してもらおうというもの。

AKQA イナモト氏:「1000万ピクセルのLEDディスプレイでバーチャルなバスケットコートを制作。参加者はジョーダンになりきり、歴史に残るシュートを自分で再現することができる。そして体験の様子を動画でユーザーにお届けする。DIGITALを駆使したPHYSICALな体験を提供した上で、パーソナライズドコンテンツを配信することで、真に分かち合えるコミュニケーションとなる」

この“分かち合うこと”が重要というイナモト氏。クリエイティブの力でコミュニケーションを実現する事例です。

ほかにスポーツ関連では、AUTHENTIC CONTENTの例として、NIKEの「JUST DO IT」キャンペーンにおけるクリエイティビティの実際を紹介。さまざまなスポーツに携わる10人の日本のアマチュアアスリートからナンバーワンを決めるというもの。

AKQA イナモト氏:「たくさんの候補者のなかから選ばれた10人のドキュメンタリームービーなどを制作。いつの時代でもぶれないNIKEの哲学を本人たちの視点から伝えてもらい、サポートする人たちも巻き込むことによってAUTHENTIC COMMUNICATIONとなった」

独自の視点からの説得力のあるクリエイティブ論が次々と展開され、どれもがイナモト氏が提唱するコミュニケーションのアイデアあふれるもの。最先端のビジュアル表現やソリューションをたっぷり見ながらのセッションでした。

セッションを終えて(久田祐通

デジタルでもアナログであっても、マーケティングの本来の目的は、「人の心を動かすコト」だと考えます。だからこそ、「人」にフォーカスしたセッションを行いました。世界トップレベルのクリエイティブエージェンシーであるAKQAさんとのパートナーシップをスタートできたのも、2社の中に流れるDNAが共鳴したものと思っています。ダンさんが壇上で熱く語っていた、「Digital Meets Physical」というキーワードは、「人の心を動かす 」ためにとっても重要なコトだと思います。IMJのアセットと、AKQAさんのクリエイティビティが有機的にコラボレーションする事で、これまでにない新しい価値を提供出来ると強く確信しています、今後も2社のパートナーシップにご期待ください!

 

昨年以上にたくさんの方にお越しいただいた、I・CON 2015。有意義なカンファレンスが続き、閉会後の懇親会も大いに盛り上がりました。この会が、デジタルマーケティングの未来へつながりますように! 今後ともI・CONをよろしくお願い申し上げます。

I・CON 2015 の総括レポートはこちらから。