米国では主流の「NPS」、遅れる日本での活用…

顧客との関係性を測る指標、「NPS」をご存知でしょうか?
※NPS®=ネットプロモータースコア。推奨度を測る指標

実は、この「NPS」、米国企業では重要なビジネス指標としてかなり普及しています。米国の売上上位企業500社(Fortune 500)のうち35パーセントの企業が採用、うち5パーセントの企業では経営の根幹となる重要指標(KGI)として採用していると言われています。例えばアップルやアメリカンエクスプレス、P&G、スターバックスといった世界的な有名企業も、このNPSを活用し顧客との関係性を計測しながら、顧客視点でのサービス改善に務めているのです。

ところが、今回の日本の国内調査では、マーケティングを行う上で顧客との関係性を測る指標として顧客満足度(CS)指標を使っている企業が多く、 「NPS」についてはまだまだ少数派という結果でした。

 

グラフ①顧客とのエンゲージメント(関係性)強化を図るために採用している複数の顧客接点共通の指標

グラフ①顧客とのエンゲージメント(関係性)強化を図るために採用している複数の顧客接点共通の指標

さらに、指標採用の前段階として、マーケティング担当者のうち78パーセントは「NPS」について「全く知らない」または「詳細は知らない」と回答しており、日本での企業担当者の認知度、理解度の低さという実態が浮き彫りになりました。

 

グラフ②NPS認知、調査実績について

グラフ②NPS認知、調査実績について

NPSとはどんな指標か? 顧客満足度(CS)に比べ何がよいのか?

では、このNPSとは具体的にどのような指標なのでしょうか? 正式名称は「Net Promoter Score」、NPSはその略になります。

「企業やブランド」に対して顧客が持つ愛情の度合い(心理的な結びつきの強さ、顧客ロイヤルティ)を数値として把握できるようにした指標で、「あなたが○○(企業やブランド名)を周囲の人にすすめる可能性はどの程度ありますか?」という質問を投げかけ、その回答を0点~10点の11段階で答えてもらい点数化することで算出します。

 

NPSとは?の詳しくはこちら ➡https://www.imjp.co.jp/lab/column/2012/1001_2

NPSとは?の詳しくはこちら ➡https://www.imjp.co.jp/lab/column/2012/1001_2

 

顧客満足度(CS)との違いという点では、CSが現状の状態を測る指標であるのに対し、NPSは先行指標であり、これから先の未来の予測に役立つという点があります。現状、売り上げは上々にも関わらず、NPS数値が低い場合、未来に売り上げが下がっていってしまうリスクがあるのです。
実際にそんな事例がありました。某通販会社で、前述の状況になっており、詳しく分析すると、購入時の満足度は高くても、配送後の印象がよくなく、推奨度が下がっていたことが分かり、改善に着手しはじめることができたというケースがありました。つまり、CSのみで測っていると手遅れになるリスクがあるということです。
ちなみに、CSかNPSどちらかというわけでなく、今回調査でNPS導入をしていると答えた企業の7割は両方の指標を並行して計測していると回答しており、(【詳細は調査レポート(PDF)】)、併用することももちろん可能です。

どんな企業から導入が始まっている?

では、日本ではどんな業界で先行して導入されているのでしょうか?
今回の調査では、IT・サービス業、金融・保険などの業界が比較的多い結果でした。おそらくこれらの業界は外資系の企業が多く、グローバル本部からの指令で採用しているケースが多いという要因と、これらの業界が顧客関係性への課題意識が高いということが考えられると思います。
実際に、顧客との関係性強化への取り組み状況に関する質問への回答でみても、NPSを導入済みの企業の方が顧客との関係性において課題意識が非常に強いことがわかります。

 

グラフ③顧客エンゲージメント(関係性)強化に関する取り組みの現状

グラフ③顧客エンゲージメント(関係性)強化に関する取り組みの現状

課題感をもって取り組みはじめている企業ほどNPS導入に積極的で、課題感が低い場合は、元から採用されているCS調査を続けているという状況かもしれません。

先行企業は確実に成果を上げつつある。

今回の調査ではNPS導入企業のうち6割近くの企業が導入の成果・効果があったと回答しています。
具体的には

  • 一般的な評価基準を確立できたことで、社内の統一指標ができた
  • 数字で見えるので議論しやすくなった(効果を確認しやすくなった)
  • 顧客サービス向上について議論する風土が定着してきた

と、NPS導入をきっかけに“顧客の声を聴く姿勢”の社内浸透が進んだことを成果とするコメントが寄せられています。
特にBtoB企業では上記のような「顧客中心文化」が芽生え、根付いてきたという声が目立ちますが、一方BtoC企業では

  • 以前よりも顧客の数が増えて、少しずつ業績が上がっていった
  • 車両トラブルやネットワーク故障による輸送障害が8パーセント減少した

と、顧客からのフィードバックをもとにアクションをした結果が、より目に見える形でビジネス成果に繋がっている様子も見受けられました。

【詳細は調査レポート(PDF)】

まとめ:乗り遅れないために…

日本でも、課題感が強い企業からはじまり、一定の成果を出し始めているNPS指標の導入。米国でブームに終わらずに定着している背景には、①顧客課題に先手を打って臨むための先行指標として活用できる、②「で、どうすればいいのか?」という具体的打ち手への示唆まで抽出可能である、という「NPSのアクショナブルさ」が挙げられます。

NPSは日本においても顧客感度の高い企業から徐々に主流になってくることが予想され、顧客満足度(CS)の定点観測で現状把握を続けているだけでは、この先顧客との関係性形成において大きく乗り遅れてしまう可能性もあります。

2017年、さらに国内で進むであろうNPSを活用した顧客関係性の向上戦略。経年比較や長期的な視点での分析が重要になるNPSは、いざ必要性を感じて測ろうと思っても、手遅れになることもあります。早めにこの流れを把握して、取り組める企業から成果を出していくことになるのではないかと思います。

IMJでは2017年2月にNPSコンサルティングに関するセミナーを実施します。セミナー内では、NPSのアクショナブルさについてより深くご理解いただき、どうすれば取り組むべきアクションが見えてくるのかについても解説する内容になります。ご興味のある方はぜひエントリーください

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※申込〆切:2017年1月19日(木) 13:00まで

 


【調査の概要】
・調査方法 : インターネットリサーチ
・調査地域 : 全国
・調査対象 : [事前調査]20歳以上の顧客戦略/自社のマーケティングに携わる会社員 [本調査]CSまたはNPSを指標として導入している ※調査会社が保有する調査パネル
・有効回答数 : [事前調査]4218サンプル [本調査]310サンプル
・調査日時 : [事前調査]2016年11月18日~11月21日 [本調査] 2016年11月21日~11月22日

参考
・2015,2016 Net Promoter Conference 講演内容
フレッド・ライクヘルド 著/堀新太郎、鈴木泰雄 訳(2006)
顧客ロイヤリティを知る「究極の質問」ランダムハウス講談社
フレッド・ライクヘルド、ロブ・マーキー 著/森光威文、大越一樹、渡部典子 訳 (2013)
ネット・プロモーター経営プレジデント社