1. サントリー「わっしょいジャパン」(ペプシJコーラ)

昨年までの「いざ鬼ヶ島」プロモーションに一区切りをつけ、2018年ペプシコーラが新たに打ち出したのは「和」と「祭り」というテーマ。
石川さゆりさんや激しいドラムソロで話題のゆるキャラ「にゃんごすたー」などの異色のメンバーで演奏される、ミクスチャーライクな「ソーラン節」のCMが4月から公開されました。

ポイントは、CMの楽曲と10代に人気の動画アプリ「TikTok」を国内のどの企業よりもいち早く連動させたこと。

人気Youtuberのフィッシャーズ、声優の上坂すみれさん、プロレスラーの棚橋弘至さんなどが参加した15秒ほどの「お手本動画」はすべてTikTokを使って撮影されたもので、公式のものだけでも総再生回数は1500万回以上、TikTok上では1万人以上のユーザーがこの楽曲を使った動画をアップするなど、大きな広がりをみせています。
ユーザー参加型のプロモーションはどの企業も「どう参加させるか」に苦労することが多いのですが、新しいメディアやアプリを使うことでの目新しさはインパクトが強く、参加を呼び込むのかもしれません。

2. 西武・そごう「今年こそ、ちゃんと母の日」(母の日ギフト)

西武・そごうは「東大生が挑戦。簡単そうで意外と解けないテストって何!?」のタイトルの動画をリリース。「感動する!」「広告なのに飛ばせない!」など話題となりました。

動画内で本物の東大生が挑戦するテストの設問は「母親の年齢は?」「母親の星座は?」など母親にちなんだもの。解けなかった彼らは、実際に答え合わせを自分でやる(直接母親に尋ねる)ことになります。ドキュメンタリータッチで描かれており、「意外と母親のことを知らない」や「最近母親と会話していない」といった隠れたインサイトをうまく刺激される動画です。

続編の「あの『テスト』を父の日でもやってみた。」では、今度はさまざまな年代の方がテストに参加し、語り口を別の視点にしています。家族に関する動画は「泣き」や「感動」といった要素との相性が良いのは確かですが、ただの感動ドラマで終わらせるのではなく、「親孝行しているか」というきわどい問いを投げかけ、自分ゴト化している点が白眉な点でしょう。

3. 東亞合成株式会社「胸キュン接着ラブストーリー『君に、くっつけ!』」(アロンアルフア)

少女漫画風の甘酸っぱい恋愛ストーリーをベースに、

・Twitterで話題になりやすい、やりすぎるくらいの「笑い」に振り切った
・「109」ビル⇒「929(くっつく)」、部屋の壁に貼ってある過去のCMのポスターなど、細部にツッコミどころを用意
・広告で配信することを前提に作られており、最初の6秒で「俺と接着(キス)しようか」という強烈な引きを持ってくる
・「胸キュンアロンアルフア波」「仮止め女」などのネーミング
・秀逸なオチ

などなど、一つ一つ拾っていくときりのないバズ要素を詰め込んだ動画で、大きな話題になりました。

製品のアピールも過剰なまでに取り入れられており、「アロンアルフアの「ァ」って小文字じゃないの?」「アロンアルフアの会社、東亞合成っていうんだ!」などのコメントも生まれるなど、企業としての知名度にも大きく貢献したのではないでしょうか。

4. 日清食品「あくまのキムラー」(チキンラーメン)

キャベバンバン」「カップヌードル舞踏審議編」など次々と話題の広告を送り続ける日清食品。その中でも今年、特に話題となったのがチキンラーメンの新製品「あくまのキムラー」の動画です。

ポイントはTwitter、サイト上などでの「ティザー(情報公開前)」を非常に効果的に使ったこと。
チキンラーメンの公式アカウント「ひよこちゃん」ではまず、新製品の告知などは行わずに「やってられっか!」「ひよこにチキンラーメンの宣伝させるなんてどうにかしてる」などの過激なツイートが連続投稿され、ブランドサイトのファーストビューにはひよこちゃんからの抗議文が踊りました。

これらのツイートはすぐにネットニュースとなり、話題化。何かが起こりそう…?と衆目を集めた数日後、締めとして動画を公開しています。
動画の内容は、当時広くプロモーションを行っていたNetflixの「デビルマン クライベイビー」を思わせる劇画調のアニメーションになっており、そのことに関するユーザーの言及が多数みられました。

5. キリンビバレッジ「キリンレモンのうた」(キリンレモン)

発売90周年を迎えたキリンレモンは、長年親しまれている「キリンレモンのうた」をアレンジすることで、リニューアルと「透明感」を強く意識させる、一連のトリビュートキャンペーンを展開中です。

第一弾として公開された動画では、ターゲットであるティーン~20代の人気を集める女性グループBiSHが「透明なままでゆけ。(キリンレモンのうたのアレンジ)」を歌い、そのエッジの利いたキャスティングと歌声が話題に。
その後はロックバンド・フレデリックの手がける第二弾「シントウメイ」、人気声優の水瀬いのりさんが歌う第三弾「まっすぐに、トウメイに」、お笑い芸人3人のスペシャルユニットが歌う第四弾「透明キッスをするんだもんっ!」を次々と公開。
わっしょいジャパンと同様、短い期間で連続して動画を公開し、次に誰が起用されるのかを期待させることで話題を継続させています

さらにワールドカップ開催前にはサッカー選手とコラボレーション水瀬いのりさんが声を当てるアニメーション動画、ユーザーにも楽譜を提供し参加型のアレンジコンテストを行うなど、非常に幅広い展開を行っているキャンペーンです。

6. ワイモバイル「#恋チャ(恋のはじまりは放課後のチャイムから)」(ワイモバイル)

複数の動画といえば、連続ドラマ。ワイモバイルの「#恋チャ」は、高校卒業までの3ヶ月が描かれる青春ストーリードラマですが、動画とSNSの連動が「新しい!」と話題になりました。

登場する5人の主人公はそれぞれSNSアカウントを所持しており、動画が公開されるまでの合間にも次々と日常が投稿され、その内容がドラマの中でも話題に挙げられるため、登場人物たちのSNSをフォローすることでよりドラマに感情移入してしまうという仕組みです。さらに、フォロワーの返信によって登場人物の行動も左右されるため、ドラマに参加した感覚を味わえると多くのユーザーが追いかけることに

今後もSNSを使うことでドラマと現実の境界を限りなく薄くし、ユーザーを巻き込んでいくプロモーション手法はどんどん取り入れられていきそうです。

7. コカ・コーラ「綾瀬はるかとカンパイ」(コカ・コーラ)

同様に、「リアルタイム」感によって大きく話題となったのが、平昌冬季オリンピックの競技後に流れたコカ・コーラのCMとTwitter動画でした。
これは日本選手の競技の結果によって、出演者である綾瀬はるかさんが視聴者に向かって話しかける内容が変わっていくというもので、生放送ともまた異なる演出に「綾瀬はるかが今1500メートルって言った!」「何パターンも作っているの?」などの口コミが広がっていきました。一度リアルタイムで目にした多くのユーザーが、日本選手の活躍と一緒に動画を期待し、綾瀬はるかさんとカンパイするためにコカ・コーラを用意する、という行動をとっています。

オリンピックという注目が集まる舞台を活かしたマーケティングと言えるでしょう。

まとめ

従来のコラボレーション、ユーザーが好む「笑い」や「感動」といった手法を取った動画が人気を博す一方で、TikTokやSNS連動ドラマなどユーザーを「巻き込んでいく」新しい動きの一端がうかがえる上半期でした。

下半期は、これらの手法をそのまま取り入れるだけではなく、各社のブランドカラーとどううまくミックスさせていくかに期待がかかります。

TikTokなど新たに流行しつつあるアプリやサービスを取り入れた、新しいコミュニケーション手法にも要注目ですね!