サービスデザインのプロが会議術の本を出版した理由とは?

どんな業種であっても社会人であれば業務の中で会議をする時間がある。それなのに、そのほとんどの人が会議に対してモヤモヤを抱いている
そう語るのはこの本の著者である杉田さん。
杉田さんは、IMJで「サービスデザイナー」として、デザイン思考をビジネスに取り入れたサービスデザイン・プロジェクトの設計と実施に従事しています。そんなサービスデザインのプロがなぜ会議術の本を出版したのか。お話を伺いました。

 

『書いて使う会議を変えるノート』

著者:株式会社グラグリッド三澤直加
   株式会社アイ・エム・ジェイ杉田麻耶

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_会議術の本を出版した理由とは?

私たちが主催するワークショップなどで企業の方々から話を聞いていると、プロジェクトを円滑にまわしていただくためにサービスデザインの手法を伝えることももちろん大切ですが、そもそも「会議」のやり方を見直すべきではないか、と考えました。
当初は、会議術を教えるセミナーを開くつもりだったのですが、セミナーで話を聞くだけだとその場限りの学びで終わってしまうことが多く、あとでその学びを実践しようとしてもうまくいかないことが多い。
それならば、会議のなかで実際に使ってもらえる“ノート型書籍”を作ることでだれでも会議を有意義な時間にできるのではないか?と考え、書籍づくりに踏み切りました。
 

_確かに、この本は読むより書き込むページが多いですね!
 

はい、この本は、ただ読んで学ぶのではなく、実際に会議で書き込んで使ってもらう「会議用シート」が盛り込まれている、ノート型の書籍になっています。
【事前の準備タスクの洗い出し→書く→振り返る】という一連のプロセスが一枚の「ミーティングノート」に盛り込まれていて、このシートに沿って会議を進めていくことで、効率的な会議が実践できるように工夫されています。

細部にちりばめられた“サービスデザイン”

_この会議術ならびに「会議用シート」は、サービスデザインの考え方を用いて開発されたとのことですが、サービスデザインはどのように活かされているのでしょうか?
 

“サービスデザイン”というのはそもそも、
「人間中心的である」
「共創的である」
「試作的である」

この3つの原則を守りながらお客様のサービスやブランド体験をデザインしていくための考え方です。簡単に言えば、「ユーザーの声をよく聞いて、活かすことでよりよいものができる!」ということですね。そして本書にもこの3原則を取り入れています。
具体的に本書を例に挙げると、ユーザーの話を聞いたうえで何をつくるか決め、試しては改良する、を繰り返したことは「人間中心的である」「試作的である」にあたり、とにかく書いて使う、メンバーの話を聞く、イベントにきてもらいノートを使った人たちにSNSシェアしてもらうことなどは「共創的である」にあたります。

ここにサービスデザイン!① 「とにかく“ユーザーの声をきく”開発プロセス」

このシートの開発は

・無意識インサイト調査™(IMJ開発)を使用したネットアンケートによる予備調査
・半構造化インタビュー
・実際の会議に同席し、その発言行動を観察

などの細かな調査を何度も実施した上で開発を行い、会議用シートのプロトタイプ(試作品)をもとにノートを改良していきました。
私たちが考えていた以上に開発側と使う側ではギャップがあり、ユーザーに使ってもらうたびに新たな課題が見つかっていきました。


_徹底してユーザーテストするところは、さすがサービスデザイン的な開発手法ですね。

ここにサービスデザイン!② 『使う人自身がサービスデザイン的な考え方を取り入れられるシート構成』

この会議用シートは、使っている人たちがチーム中心の思考回路になっていくように構成されています
会議でよくある「発言量に偏りがある」、「議題から軸がぶれてしまう」というような悩みって、大抵“自分中心”の考えに陥っているんですよね。そこで「一度メンバーの声を聞いてみよう」という“チーム中心”の思考にシフトすることで新たな気づきがあり改善策が見えてきます。

そこで重要となってくるのが「振り返り」の時間です。
例えば、「発言頻度の偏り」という問題。そういう時、このシートの振り返りパートでいろんな人の意見を聞き、「こういう理由があったんだ」ということに気づくことで、改善策が見えてきます。発言量の少ない人もやる気がないわけでなくて何か発言しない理由があると思うので、ただ話すように促してもダメですよね。

今、会議に対して「振り返り」の文化ってないですが、少しでもその時間を設けることで会議を俯瞰して見ることができてくるのでぜひ取り入れていただきたいです。

▲実際の会議シート(書き込み例)


_こうやってさまざまな人から話を聞いて改善につなげるというプロセスがサービスデザインの3つの原則に当てはまりますね!

実際に使ってみました!

やってみないと分からないことも多い!ということで、
我らBACKYARD編集部が毎週行う定例ミーティングで
実際に会議用シートを使ってみました!

○通常の会議に対する悩み○

  1. 議論が膨らみ、時間内に結論が出ないことがある。
  2. 予定したアジェンダが終わらないことがある。

改善された点として、「確認時間の短縮化」「メンバーの発言量が均一化」されました。会議シートに記載したアジェンダに従いながら、メモスペースにメンバー各人のタスク状況や決定事項を追記して進めていくことで、短時間でもれなく確認をすることができ、なによりも初めにタイムラインを立てておくことで割り振られた時間に対する意識が強くなりました。限られた会議の時間を以前より効率的に使うことができたことは大きな成果です。

また私たち独自の使い方として、シート部分をスキャンして会議中の議事録兼用としてPCで打ち込めるようにしたことにより、その日のアジェンダと決定事項が一覧で把握しやすくなりました。Wordテキストで取る議事録よりも欠席者への共有用としてもWordテキストの議事録に比べて見やすくぱっと会議全体をふりかえれるものであり、非常に役に立ちました。

一方、反省点として、「振り返り」の時間を省いてしまいました。
普段振り返りの文化がないぶん、時間が押してしまうとそこを省いてしまいがちですがチーム力をあげていくためにはここは注意すべき点です。

今回はお試しにとどまりましたが、これから使い慣れていくことで見えてくる違いもまだまだあるでしょう。
ぜひ、あなたもこのシートを使って会議を変えてみてはいかがでしょうか?