おい貴様。
貴様も年末年始は紅白を見るのか。
 

 

 

何だその宇宙人らしからぬ季節トーク。

 

 

 

サビデ星人をなめやがって。
この俺様がターゲットとタイミングを見誤ると思うか。

 

 

 

だったらトンマナも何とかしろよ。
主に口調と二人称。

 

 

 

地球人ごときにはこれくらいで十分だろう。
で? 紅白からのゆく年くる年コースか。

 

 

 

何? 宇宙もクールジャパンなの?
やたら詳しいじゃん。

 

 

 

当然だ。
NHKの紅白歌合戦といえば、日本で最もイケてるコンテンツの一つだからな。

 

 

 

え? そうなの?
 

 

 

 

もちろんだ。
「かつての勢いが無い」などと叩かれがちだが、60年以上の長きにわたって視聴率においてほぼTOPを走り続けていやがるんだぞ。
これがイケてなくて何をイケてると言うのだ貴様は。

 

 

ん~まぁ確かに。
2003年に4分間だけ裏番組が勝ったことが歴史に残るくらいだし。

 

 

 

もっとも、イケてるかどうかを視聴率で測るのが正しいのかどうか、
あるいは視聴率自体どの程度正しいのか、については議論の余地があるがな。

 

 

 

きわどい話題を放り込んでくるんじゃないよ。
ただでさえお前の口調だけで初回から早くも編集方針に抵触しまくってんだから。
俺の身にもなれ。

 

 

貴様の立場など知ったことか。
ともあれ各局とも視聴率を気にして番組を作っていやがる中で、伝統的な番組が数字を取り続けていやがることは特筆に価する。
サービスデザイン的にもな。

 

 

俺に対するお前のサービスデザインがなされる気配すら無いことがマジ気になる。

 

 

 

紅白がイケてる点は、大きく三つある。
まず一つは、ユーザーのお茶の間行動に基づいてデザインされていることだ。

 

 

 

相も変わらず華麗なスルーだな。
だが待て。茶の間なんて、もはやそうそう無いぞ。
某有名コミュニケーション関連書籍でも「お茶の間の崩壊」が語られているくらいでだな。
 

 

ほう。地球人にもマトモな奴がいるじゃないか。
だが紅白に関しては大晦日限定だ。
普段とは異なる特定の行動パターンを取っている地球人が多いだろう。
貴様は年末年始どう過ごしていやがる。

 

 

ん~まぁ、たいてい実家に帰ってるな。
 

 

 

 

そうだろう。
普段なかなか揃わない家族も、年末ぐらいは実家のリビングに集まるケースが多い。そんな中で紅白には、多くの出演者が性別・年代バラバラで出演している。
すると貴様らはどうしている。

 

 

「この人知ってる」とか「この曲知らない」とかって話してるかなぁ。

 

 

 

 

そういうことだ。
「最近の曲は何歌ってるか全く分からん」だの「この人いつまでこの曲で出てくんの」だのと上の世代からも下の世代からもお互い言いたい放題だ。

 

 

これはイチ宇宙人のタワゴトであり編集部の総意ではないことをココに明記しておきたい。

 

 

 

しかも今ではSNSが発達している。
帰省中は会えない友人たちの姿を、タイムライン上に流れる投稿で見ていると、
「やっとジャ○ーズの○○の番だ!」などとグループ内でのファン同士で話題化する。それが数時間、起こり続ける仕組みになっているというわけだ。
 

 

 

「男女別の対抗戦って今どきどうなの」とか「年代ごとにまとめてほしい」とか
いろいろ言われることもあるけど、だからこそ生まれるコミュニケーションもあるのか。

 

 

 

むしろ、そういった話題の作り方こそが二つ目のポイントだ。
どんなにコンテンツの中身が良くても、コンテンツに触れてもらわなければ意味がない。
特に司会者の発表、出演者発表などの使い方が地球人にしては巧みだな。

 

 

ははぁ……、「今年の司会、○○だって!」とか、「今年○○出ないんだって!」とか、そういうことだな?

 

 

 

そうだ。本番の視聴という一点に成否の全てを賭けるのではなく、
ユーザーが話題にできる、つまり関与できるポイントを複数用意していやがる。

結果、貴様らが見ようかなと思うキッカケが多くなるだろう。
前後も含めた体験全体がデザインされている訳だ。

 

 

紅白は生放送だし、大一番が毎年“バクチ”じゃ確かにやってけないわ。
 

 

 

 

さらに最近では、舞台裏も見せる「共創」の動きを始めやがった。
『サラメシ』という別番組で、紅白制作スタッフの食事を特集していやがったが、制作プロセスを視聴者と共有することで、視聴者の「参加感」を高めていやがる。
「共創」はサービスデザインの基本と言ってもいい。これが三つ目のポイントだ。

 

TVって基本的には一方通行だし、紅白って歴史があるぶん古いイメージだったけど、一つ一つ分解してみると、守るべきところは守りながら、変わるべきところは時代に合わせて変化してるんだな。
 

 

 

日本の「年末」をデザインしていると言っても過言ではない。
目下の問題は俺様の「真田丸ロス」をどうするかだ。

 

 

 

ただのNHKファンじゃねぇのかお前……。

 

 

 

(監修:太田 文明(オオタ ブンメイ) R&D室 マネージャー /リードストラテジスト HCD-Net認定 人間中心設計専門家 )