皆さんこんにちは、株式会社アイ・エム・ジェイ(IMJ) CMOの江端浩人です。IMJは米国で先端IT/Adtech情報を配信しているShelly Palmer氏と独占契約を結び、日本での記事と映像配信を行ないます。ちなみに文中の視点や意見はShelly Palmer氏や、それぞれの筆者のものであり、IMJのものでないことを明記させていただきます。

 

 

“メディアマゲドン”:ESPNが死ねばみんな死ぬ

先週、S&Pメディアのインデックス(株価指数)がたった3日間で8.3%(おおよそ537億ドルの価値)消失するということが起きた。その時にはViacom ($VIA.B)は20%、21世紀FOX($FOX)とDiscovery Networks ($DISCA)は9%下落し、CBS ($CBS)さえも6%下落した。
多くの専門家がその理由を解説したが、中でももっとも多かったのがディズニーのCEOボブ・アイガーがESPNの配信が苦境に立っているとして投資家を心配させたことによる説である。


アイガー氏は「我々はビジネスを現実的に捉えており、テクノロジーの進化により商品が配信され、マーケティングされ、消費される方法に大きな変化がもたらされている」と語り、それ自体は特に驚きを持たれた訳ではないが続けて「特に若者に関しては以前の世代と全く違う方法でテレビという媒体を消費している」と話したことを投資家や専門家がESPNが従来のケーブルテレビ局経由でなく直接消費者に届けられる方式に変更されるのではと考えたのである。
メディア学科の生徒であればあなたの毎月のケーブルテレビ代の内6ドルがEPSN(ちなみにセットの中で一番高いチャンネルだが)に支払われることを知っているだろう。そしてケーブルテレビが従来のセット販売ではなくアラカルト方式に変更になるということは一番強いコンテンツであるESPNは生き残るかもしれないが、それ以外のケーブルビジネスにはチャンスが残っていないということになるからである。

二つの議論:どちらになっても結果は変わらない

個別販売派は「ESPNはとても魅力的なコンテンツではあるが、スポーツに興味が無い人間には価値が無い」と話し、ケーブル局の幹部は「個別販売派はケーブルテレビ局のビジネスモデルを理解していない」と反論する。

確かに不要なチャンネルの費用を払っているように見えるのだろうが、それにより人気は少ないが貴重なコンテンツが製作されているというものである。

まだチャリティ番組は不要?

私はメディア企業救済のためのチャリティ番組を作る必要性はまだないと考えているが、メディアマゲドンの時間軸を考えるに当たってはNFLを参考にするとよいのではと考えている。

2020年12月

2020年12月あたりにテレビ局とNFLの契約が更新されるはずである。というのも現在の2013年から2022年までの契約が270億ドルで締結されたのは2011年12月であるからだ。
次回の契約は一体いくらになるのであろうか?400億ドルに達するのではないか。テレビの視聴率が低迷する中このようなこのようなライセンス料を支払うことができるケーブル局があるのだろうか?

アップルとNFLが契約か?

アップルがアップルTV事業を盤石にすれば、現金を大量に保有しているために契約は可能だろう。2022年に我々はNFLをアップルTV経由で見ることになるのであろうか?

NFLが直接消費者に?

例えば1ゲームあたりの放映料が2.99ドルとしてNFLが直接消費者にコンテンツを提供するとNFLにとっては大きな増収になると考えられるのである。総視聴者層は少なくなるが収入は増加し、直接消費者とつながることにより別次元のマーケティングが可能になるだろう。ニールセンの視聴率調査に惑わされることなくキャンペーンの効果を直接各種データで検証できることとなるからだ。

NFLの取る道とは?

米テレビ業界には良いことも悪いこともあるだろう、向かい風や各種変更もあると思うし画期的な技術に脅かされたりするかもしれないがそれらは大きなことではない。一つ言えることは米テレビ業界は次のNFL契約までは今の形態で行くと思う。そしてもし2022年以降も契約を継続することが可能であれば同じようにその期間は続くのである。

もしNFLと米テレビ業界が合意に達しなければ、メディアマゲドンが到来し今の形の業界は終焉を迎えるかもしれない。メディアの巨人はいなくなり、全国をカバーするネットワークは存在しなくなり、巨額の予算を獲得できる巨大イベントもなくなるであろう。

NFLのネット配信、それがAppleだろうがNetflixだろうがComcast XfinityだろうがVerizon/AOLだろうがはたまたNFL自身の配信だろうが、視聴率競争やリーチ・フリークエンシー曲線をベースとしてビジネスモデルを破壊し、ネットのデータに基づく精緻なマーケティングへと変貌するだろう。その変化は非常に大きいのでNFLは2020に決断する可能性が高いのではないかと考える。

巨大メディアは復活するのか?

短期的にはYesである。先週はつらかったが“メディアマゲドン”ではない、それにはあと5年待たねば。

 

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