皆さんこんにちは、株式会社アイ・エム・ジェイ(IMJ) CMOの江端浩人です。IMJは米国で先端IT/Adtech情報を配信しているShelly Palmer氏と独占契約を結び、日本での記事と映像配信を行ないます。ちなみに文中の視点や意見はShelly Palmer氏や、それぞれの筆者のものであり、IMJのものでないことを明記させていただきます。

 

 

一見しただけではCES® 2016はCES 2015とほとんど変化がないように見えるだろう。3,600の展示社が20,000の新製品を発表すると言われているようだ。CES 2016は、今までで最大かつ最も多様なものになったという事だが、革新的な新製品は残念ながらあまり見かけられない。

 

テレビはより大きく、薄くなり、曲面を多用したデザインになり、画質も良くなり、表現も豊かになった。全ての展示物には、より速いプロセッサが搭載されて、容量も大きくなり、電池の持ちも良くなった。新しいアプリやクラウド要素、IoTやAIの機能も追加されるなど、何かしらスマートになり、接続性もよくなった。

 

“新しく進化した”機能というのはあまり大きなヘッドラインにはならないので、貴方のイノベーションの定義が新製品発表にあるのであれば、CES 2016はイノベーションではなく従来の技術の繰返しに見えるだろう。しかし、実はそうではないのである! CES 2016で見られる進化は、多くのイノベーションなしには達成できないのである。ちょっとした機能の改善や、価格の低下、操作性の向上、全ての地道な進化は、より創造性や生産性が高く、よりリッチな世界の実現に寄与するのである。

 

技術が進化していくペースは幾何学的に加速しているのだが、ただそれが目立たないだけなのである。私はこれを“目立たないイノベーション”と呼び、2016年のトレンドと位置付けたい。

ではそれ以外のマクロトレンドを見てゆこう。

モバイルな世界

スマートフォンは、ミレニアル世代の92%が持っているNo.1デバイスであり、その所有率はおそらくパソコンよりも高い。デジタルメディアと接触している時間の2/3以上はモバイルで利用されており、その90%はたった数個のアプリで独占されている。デジタル市場の分析会社であるコムスコア社によると我々は50%の時間をたった一つの(多くの場合ソーシャル)のお気に入りアプリで使っているということである。それにつられモバイルのブラウザーアプリでの利用時間は半分となった。モバイル端末は最も成長しているエンタメセンターとなり、ビデオ視聴とゲームは240%も伸びている。モバイル端末は、今やテレビと同じくらいの時間消費になっているのだ! そしてグーグルによると、モバイルからの検索は月間1,000億件を超え、パソコンからの検索数を超えたのである。このトレンドは明らかで毎日モバイルの進化が続いているのである。

タイムシフトと大量消費

T-モバイル社はNetflix, Hulu, SlingTV, WatchESPN, Crackle等の24ものビデオ供給者をまとめた (“Binge On”)サービスを開始した。これであなたのスマートホンの電池の消耗が早まることは間違いない。2015年のアメリカの消費者は一日3時間45分もモバイルを利用しており、これは2014年から35%も伸びているのである。

 

ビデオの視聴はリアルタイムからタイムシフトやオンデマンドへと変化しており、スポーツなどの生放送以外は、テレビでは見られなくなってきている傾向は明らかである。消費者はより多くのビデオを見ており、伝統的なテレビは減ってきているのである。

自動運転できる車への道

半自動運転は、新興の消費者向けハイテク分野である。人と機械の融合を手助けするような運転者サポート技術を向上させる自動車業界の戦略は、上手くゆくだろう。我々が自動運転やレーンアシスト、自動駐車等の機能に慣れれば慣れるほど、運転の多くを車に任せていくようになるだろう。人間と機械の融合は、コンシューマーエレクトロニクス業界ではトレンドになっており、特に自動車業界がその先陣を切っているといいだろう。

VRとARは現実ではない!

VR技術(仮想現実)とAR技術(拡張現実) はこの先大きく伸びると、みんなが言っている。しかし、みんなそう言っているだけで、それが現実的に起こっているわけではない。まだVRとARは始まったばかりなのだ。我々はこれからも新しいディスプレイ技術やヘッドセット、映像編集ツールや創造的なアイディアを生み出すだろう。しかしVRは、2016年時点で現在の3D技術程度にとどまるだろう。やがてはVR技術は消費者に受け入れられるだろうが、消費者はその視聴スタイルを、製作者は新しい製作方法を、原作者はより進化した著作方法を作らなければ成立しなく、経済的にも新しいポストプロダクション・エコシステムが必要となる。VRはすごく刺激的なテーマだが、まだトレンドではない。

 

VRとARでは、ARの方を期待するべきだろう。ARを取り巻く1,000億ビジネスは容易に想像できるからである。VRと違いARは、我々に多くの変化を必要としない。あるレベルに達するには、ネットワークの接続性とクラウドコンピューティングの進化が必要だが、その後は消費者に今までにない方法で世界を見ることを可能とするだろう。ARもトレンドとは言えないかもしれないが、注視すべき技術の一つであることは間違いない。

何を装着するべきか

ウェアラブル端末は伸び続けているが、まだその居場所を探している状態だ。フィットネス端末が市場を牽引しているが、ファッション性の高い腕時計型は市場性を試されるだろう。洋服型端末はファッショントレンドを仕掛けているがあまり注目を集めていない。本年のウェアラブル端末トレンドは、ヘルスケア分野にセンサーを活用する医療業界や保険業界が本命かもしれない。

その他の注目すべきもの

“目立たないイノベーション”はどの分野にも存在する:スマートフォン、IoTに接続されたデバイス、モバイルを使った決済、ドローン、3Dプリンター技術、デスクトップPCとタブレットの衰退、音楽ビジネスの驚くべき復活などは全て2016年のコンシューマーエレクトリック・トレンドレポートやShellyPalmerのCES® 2016現地ツアーで網羅されるだろう。では1月にラスベガスでお会いしましょう!

 

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