Blog - Shelly Palmer の記事をIMJのオウンドメディアであるBACKYARD で翻訳・配信していきます。ぜひよろしくお願いします。ちなみに文中の視点や意見はShelly Palmer氏や、それぞれの筆者のものであり、IMJのものでないことを明記させていただきます。

 

 

イーロン・マスクは最近テスラ「モデル3」というプラグイン電気自動車(PEV)を発表した。それは5人乗車ができ、320キロの航続距離があって、価格が40,000ドル以下という画期的なものである。発売時期は2017年後半のようだが、テスラは今まで予定通りに発売したことがないのであてにしない方が良いだろう。ただしその売れ行きは凄まじく、この記事を書いた4月9日時点で、既に32万5千台分の前払金(一台あたり1,000ドル)が払い込まれている。受付開始時にはファンが行列をなして、まるでiPhoneの新機種発売のような様相を呈していた。

そして2016年の後半、つまりテスラの「モデル3」が発売される1年ほど前にGMはシボレーから「ボルト」という、同じく40,000ドル以下で5人乗り、320キロ航続できる車を発売する予定である。しかしこちらは現時点で1つも予約を取れていないのである。いったいどういうことだろうか?

もしテスラ=アップルなら、GM=???

スマートフォンに例えるなら、GMはサムソンやHTCに相当するアンドロイドフォンのメーカーなのかもしれない。しかしその答えは重要ではなく、むしろ「シボレーボルトは、テスラキラーなのか?」という質問が出ることをみても、テスラが前近代的な企業の対抗馬のポジションとなっていることを示しているからである。テスラが現在仕掛けている競争は、従来の自動車業界のそれを越えて、テクノロジー(Google、アップル、LeEcoなどの)からスタートした会社の未来を明るくするものである。

テスラは自動車業界に参入しようとするハイテク会社、GMはハイテク業界に参入しようとする自動車会社

数字は物語を伝える。GMは1908年に創業された老舗の自動車会社で、市場価値は4,450億ドルである。テスラは2003年に創業したハイテク会社で市場価値は3,200億ドルある。これはアメリカの証券市場が自動車会社とハイテク会社を違う物差しで測っていることを示したものだろう。テスラ社は一度も納品期日を守った事も、利益を上げたこともないのである。一方GMはその108年の歴史の中で5億台以上のクルマを生産し、現在も1億5千万台以上が世界中で走っているのである。

したがって自動車業界の人にとってみれば、テスラがなぜこんなに高い評価を受けているのか理解できないであろう。この違いがまさに二者の違いを示している。テスラはそのビジネスモデル、企業文化やリーダーシップ、そして未来に向けた約束に対して高く評価されている。GMにもそれらはあるが、米国の証券市場はテスラよりもGMのことを知り尽くしているのである。

あなたの未来にPEVはあるか?

もしあなたがアメリカ人の75パーセントと同じように、1日40マイル(56キロメートル)以下しか運転しないのであればPEVの航続距離は気にならないだろう。実際のところ、「ボルト」や「モデル3」を1台目の車として持つこともなんら問題はないだろうし、ましてやセカンドカー、チョイ乗り車としては申し分ない。政府の補助金を考慮に入れると、両方の車両とも42,000ドルから45,000ドルの間の値段ということになり、この価格帯は現在のガソリンあるいはハイブリッド車と競合する価格であるといえるだろう。専門家の中には、40,000ドルを切らないとライフスタイルを変更してまで、PEVを次に買うクルマの選択肢として考えないだろうという人もいるが。

「モデル3」vs「ボルト」

「モデル3」はセクシーで斬新な形をしている。見た瞬間に欲しくなるような要素を持っている。とってもクールだ! 「モデル3」は全くPEVらしくなく、昔のアップル製品がそうであったように、ファッションアイテムと見ることもできるだろう。デトロイトで生産される車とは一線を画している。イーロン・マスクは、私たちの時代の“トニー・スターク”なのだ。あなたはテスラを運転するのでなく、ドレスのように、あるいは宝石のように、洒落たカクテルのように、テスラを身に纏うのである。テスラを持っていることにより、あなたの人間性がワンランクアップするのである。

シボレー「ボルト」はとても実用的である。室内はとても広々としていて、時速60マイルに達するまでは「モデル3」より2秒ほど遅いが、それでもその加速はかなりのものである。「ボルト」は前輪駆動なので、悪天候では「ボルト」の方が安定して運転できるかもしれない。そしてそのハッチバックのスタイルは、シボレーらしくとても実用的に作られている。価格も少し安いし、技術的にもGMの持てる力の粋を集めたといえるものである。とても“セクシー”で“クール”とはいえないかもしれないが、何か伝わるものがあるかもしれない。素晴らしいクルマになるかもしれない……だがそれは「テスラ」ではない。

さぁ、あなたはどちらを買いますか? 結局その問題に帰結するのである。

実際のところPEV車を購入しようと考えるとワクワクしてくる。私は初めてのPEVは2020年モデルにしようと決めた。そして今契約している駐車場に充電設備をつけて欲しいとお願いもしてきた。まあ、駐車場に電気を引くにはいくつかの問題はあるが、車輪は動き出している。

あなたの車輪はどうだろうか? 2017年はアメリカにとって大きな変革の年になるだろう。「モデル3」? 「ボルト」? どちらが市場を制するのか? あなたはどちらを注文しますか? 私はどうするのかって? それは……。

 

重要な補足:何人かの信頼に値する人物たちが、私がPEVに関する非常に重要な問題に言及していなかったことについて忠告してくれた。それは、以下のようなものである。

  • もし車両用の電気を作りだすために化石燃料が使用されているとしたら、PEVのカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)は、小さくて効率のよい内燃エンジンを持つクルマよりも多くなるかもしれない。
  • バッテリーの廃棄は環境破壊につながるかもしれない。
  • テスラが専用のプラグを使っていて、他社のEVプラグとは互換性がないという事実に触れていなかった。また、実際にこの世の莫大な数の自動車を充電する際のインフラの問題についても言及していなかった。

最後にひとこと。ロバート・C・アトキンソン( Director of Policy Research, Columbia Institute for Tele-Information (CITI), Columbia Business School)は、私にこう言った。

「見た目のよさや、特徴を理由にテスラやボルトを買いなさい。環境に良さそうという理由で買ってはならない」。

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