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日本での公開を受け、ポケモンGOに関する記事を公開しました。
こちらもぜひ合わせてご覧ください。
ポケモンGOが消費者の行動を変える!

 

AR(Augmented Reality :拡張現実)は、新しい技術でもなんでもない。しかし『ポケモンGO』によって、新しい社会現象となったといえる。このゲームはあらゆる記録を塗り替えている。それは利用率やユーザー数、滞在時間等であり、発売元の任天堂の株価も押し上げることになったのである。このゲームをやることもすごく楽しい。このゲームをダウンロードしたことがない、あるいはその画面を見たことがない場合でもこのゲームが、「ARなんて興味ないし…」という人の心を「これは面白そうだ!」という気にさせる理由を考えてみよう。

『ポケモンGO』は、技術的には本当のARではない

このゲームを“拡張現実”と呼んでも全く問題はないのだろうが、ハイテクに精通した技術者達からは批判を浴びることになるかもしれない。『ポケモンGO』は本来の意味での“AR”ではない。これはFacebookのFacebook 360ビデオがVR(Virtual Reality:仮想現実)ではないのと同じことなのである。すなわち本来は“なんちゃってAR”というべきものであるが、これはあなたが技術者に「(あなたのブランド)GOを作ってくれ」と頼むために、『ポケモンGO』が実際にどのように動いているか調べない限りはあまり関係ないのである。

『ポケモンGO』のキャラクターは、「Magic Leap」やGoogleの「Tango」や、マイクロソフトの「HoloLens」のように、その環境や空間に対して反応するわけではない。単純に現在の位置情報をもとに、スマートフォンのカメラに写しだされた風景の上に、キャラクターを出現させているだけだからである。『ポケモンGO』は位置情報アプリとも言うべきもので、ARとは一線を画すものなのだ。とはいえ、『ポケモンGO』は、フルARの前身となりうるもので、フルARの可能性を一般の人に示すことができるものとなったのである。

ARとVRとMR

ARとは、あなたの見ている景色の上に、コンピュータにより生成されたイメージ(テキスト、グラフィック、動画など)を、仮想的に現実と融合するよう挿入するものである。現在では一般的にスマートフォンや、ゴーグル型、メガネ型のヘッドアップディスプレイを使用している。あなたのいる場所の情報を活用しているために、利用用途は多い。

VRは、あなたをシミュレーションや仮想空間へ導くものであり、実際の位置情報とは連動しない。この技術はゲームをプレイしたり、あるいはトレーニングなどの用途に大きな威力を発揮する。現時点では、ヘッドセットやヘッドホンを装着して、外界から自らを隔離しなければいけない。そのために、椅子や回転装置等に固定されて、安全を確保された部屋の中で実施されるのである。これらの制約により、VRはあまり普及しないのでは、という人々もいるが、私はまだそう断定するのには早すぎると感じており、いずれは映画の『マトリックス』のような世界が登場するのではないかと思っている。

MRは、Mixed Realityの意味であり、Magic Leap社などが、現実世界とVRをミックスするために作られた技術である。もし、『ポケモンGO』が、「Magic Leap」や「HoloLens」、「Tango」で用いられている技術で作られていたらどうなるであろうか? 今までにない体験に、大興奮することになるだろう。ゲーム内のキャラクターは場所と空間を察知して反応したり、物陰に隠れたりするようになるからである。MRでは古代遺跡が現代都市にすり替えられたり、あるいは自分の部屋が瞬時に模様替えされたりするだろう。MRによる体験に制限はないのである。

ただし、残念ながらMRはまだ実現されていない。その実現には数々の新たな技術の登場が必要なのだ。センサー、通信帯域、スマートフォンのCPU能力、クラウドでの高速計算や、膨大なデータの瞬時のやり取りなどが必要である。

ファーストパーティ・データが鍵に

『ポケモンGO』の中で最も重要なことの一つは、その開発背景である。このゲームはオリジナルで作成された訳ではない。基本的には『Ingress』というグーグルのゲームをポケモン仕様にしたものである。『Ingress』は既に多くのユーザーを抱えるマルチプレイヤー対応のスマホゲームで、『Ingress』を開発したNianticLabs社が『ポケモンGO』を開発している。CEOは元グーグルのジョン・ハンケ氏であり、グーグルアースの元になった「KeyHole(後にグーグルが買収)」の創立者でもある。『ポケモンGO』上に出てくる「ポケストップ」と呼ばれる重要スポットのデータベースは、『Ingress』のゲームの中で登録された世界中の有名な場所のデータを基にしている。

従って、『ポケモンGO』は『Ingress』で蓄積されたファーストパーティの大規模な地図情報がなければ成立しないのだ。『ポケモンGO』と張り合って、『(あなたのブランド)GO』を開発しようと企んでいるならよく考えてほしい。NianticLabs社のような大規模なランドスケープデータがなければ、単独では実現することはできないのだ。

次に来るものは?

『ポケモンGO』の出だしは好調だ。『ポケモンGO』のお陰でARについて語られるようになり、これはVRに繋がってゆくであろう。そして、それは前述のようにMR実現に向けての議論へと導かれていくだろう。あなたが単独で『(自分のブランド)GO』を開発できなくても、ARの活用に関してはすぐに考え始められる。消費者のあらゆるタッチポイント(製品、マーケティング、広告、コンテンツ、サポート等)を活用した企画が実現可能なのである。

最後に

どうして『ポケモンGO』がこんなに早く、大きな成功を収める事ができたのか?ということについて、みんながあれこれいろんな理由を考えている。まさにその通りで唯一の理由という物は存在しないであろうが、ARについて考える上で、以下の要素を覚えておいてほしい。

  1. NianticLabs社は5年以上の経験を『Ingress』によって得ていた。
  2. ユーザーの体験価値向上に必要なファーストパーティ・データが揃っていた。
  3. 『ポケモン』という世界有数のヒットキャラクターを活用した
  4. スマートフォンが十分普及しており、その活用方法や消費者を満足させる方法が確立されていた。

他にも次々と理由を挙げていくことは可能であるが、とにかく“楽しい”という事が一番であることは間違いないだろう。

ということは、『ポケモンGO』はARの成功例と捉えていいのだろうか? それともポケモンの十年ぶりのブーム復活が、たまたまスマホ世代と重なっただけなのであろうか? あなたはどう考えますか?

 

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