皆さんこんにちは、株式会社アイ・エム・ジェイ(IMJ) CMOの江端浩人です。IMJは米国で先端IT/Adtech情報を配信しているShelly Palmer氏と独占契約を結び、日本での記事と映像配信を行ないます。ちなみに文中の視点や意見はShelly Palmer氏や、それぞれの筆者のものであり、IMJのものでないことを明記させていただきます。

 

 

Facebookがクリックを稼ぐための“釣りタイトル”を撲滅するためにどのような対策をしており、それがマーケターや代理店、メディアにどのような影響を与えるかについては数多く書かれてきた。しかし、この新しく採用された“釣りタイトル”撲滅アルゴリズムのインパクトを正しく理解するためには、最近行われたFacebookのいくつかのポリシー変更を理解しなければならないだろう。それらを合わせて考えると、代理店(パブリッシャー)がネイティブコンテンツを通じてクリックを稼いで目標を達成することが難しくなることがわかるはずだ。

“釣りタイトル”に宣戦布告

Facebookは「この変更は私のFacebookページに影響があるのですか?」という質問に関して、「私たちは、多くのページはニュースフィードの配信に関する影響は受けないと考えています」と言っている。しかし、これは逆に考えると「もちろんその可能性はあります」と言っているのに等しい。

 

もちろん、“釣りタイトル”をなくすという事は崇高な目標であるが、この記事のタイトル(原題“Facebook Is Killing Clickbait and the Results Will Surprise You!”)自体が、新しいポリシーではFacebookには“釣りタイトル”と認定されてしまうというのだ。Facebookの“釣りタイトル”の定義では、「意図的に重要な情報を出さず、あるいは誤解させ、答えを探すためにクリックさせるもの」とされている。“釣りタイトル”自身は多くの場合には善意に基づき使われてきたが、中には不純な動機で利用されているものもあり、それらは取り締まる必要があるだろう。しかし、ここでは別のことに焦点を合わせよう。ゲームをするようにFacebookのシステムを利用しようとしている組織に対しての副次的ダメージである。

友達や家族に対するニュースフィードに集中

6月29日にFacebookのニュースフィード責任者であるアダム・モセリ氏がブログに、「あなたにより良いニュースフィードを提供するために」という記事を書いている。「ニュースフィードの目的は、その人に近しい人々の情報を見せるためであると考えました。そして私たちはその目的を達成するために、アップデートをリリースして、友人や家族のフィードが優先的に出てくるようにしました。この変更について、私たちは詳しい情報も用意して説明してきました」。

それから数週間が経ち、小さなニュースのパブリッシャーからは以下のような悲鳴が入ってきた。この変更で平均50パーセントのトラフィックが減り、場合によっては従来の10パーセントほどに落ちたところもあるという。この場合、お金でトラフィックを買うことも可能だが、そうしたところで採算が取れるものではないという。

ブランデッドコンテンツに対するタグ規制強化

また、6月の初旬にFacebookのネイティブアドチームは、ブランデッドコンテンツ(Facebookの言う“ネイティブ広告”)に新たな規制を設けた。その内容は「青いチェックの入ったFacebook認証済みページは、新しいタグ規制を守ればブランデッドコンテンツをシェアしても良い」ということだ。これは実はなにげないように見えて非常に大きい問題である。

今までパブリッシャーはブランデッドコンテンツをFacebookで広める事を許されていなかったのだ。それを回避するために専用の別ページを設けてそこからブランデッドコンテンツを広げてきた。あるいは、“ダークポスト(暗黒の投稿)”と呼ばれる、ページ内ではなくて、ニュースフィード上に広告として現れるモノを作っていたのであるが、もうそうした苦労は必要なくなったのである。

現在、パブリッシャーは従来“ネイティブ広告”だったものを“実際は広告でした”と明示し、ブランデッドコンテンツ内の広告主を明確にタグ付けしなければならなくなっています。これのさらにすごいところは、Facebookが広告主ごとの成果を管理でき、広告主が希望すれば従来はネイティブ広告だったものをFacebookに頼んで、直接スポンサード投稿に変更できるのだ。(すなわちFacebookは今まで分からなかった“ネイティブ広告”の広告主から直接収入を得ることができるようになったのである。)

 

さらに、この変更は消費者のユーザー体験向上にも寄与するのである。消費者から見た場合の透明性はいつも歓迎され、広告主も歓迎のはずだ。広告主は効果的な広告が取得できて、Facebookの分析も入手できるのである。しかしパブリッシャーに関してはタグを付加することにより今までは明らかにしてこなかった各種のデータが明らかになってしまうのである。広告を出しているサイトへの誘因の何割がFacebook経由でパブリッシャーのサイトからどれくらい誘引されているのか、パブリッシャーのサイトの真の価値と持っている顧客は、などである。

このようにデータをあからさまにするとパブリッシャーにとっては広告のセット販売が難しくなるだろう。広告の仕入れ値と売値が明らかになりバラバラに買った方が安いケースが出てくるからである。多くのパブリッシャーにとって、これはいい話ではない

お金で解決できる一面も

現実には、このようなアルゴリズムやポリシー変更の問題をお金で解決するパブリッシャーも出てくるだろう。しかし、多くの小さなパブリッシャーにとってはその問題を解決するために、コンテンツの質を高めるための原資は無いと思われる。彼らにとって“釣りタイトル”を撲滅することは、ケーキの上のサクランボを取られたような痛手となるだろう。だが、多くの人はそれに従うしかないのである。

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