皆さんこんにちは、株式会社アイ・エム・ジェイ(IMJ) CMOの江端浩人です。IMJは米国で先端IT/Adtech情報を配信しているShelly Palmer氏と独占契約を結び、日本での記事と映像配信を行ないます。ちなみに文中の視点や意見はShelly Palmer氏や、それぞれの筆者のものであり、IMJのものでないことを明記させていただきます。

 

 

あなたはこの記事のタイトルを、2通りに解釈することができるだろう。大統領選挙でトランプ氏に投票していた場合は、質問とそれに続く答え、「なんでこうなったかって? 神様がついていたからだよ」として読むことができる。クリントン氏に投票していた場合は、希望的観測を含んだ疑問形の、「なんてこった! でも神様は我々の側にいるさ」と読むことができる。双方ともに「道徳的な優位」を主張し、米国の問題に対する「答え」を主張し、最も重要なことに、どちらの陣営もアメリカの可能性に関する彼らのビジョンを深く愛していた。

選挙がどのような過程を経て、なぜこのような結果になったかを議論する時間は十分にあるだろう。しかし、来年の1月20日、アメリカは、現大統領から次期大統領に権力をきちんと平和的に移すことで、世界中に他に類を見ない存在感を示すだろう。ジョージ・ワシントンが3期目に大統領に就任することを拒否して以来、この奇妙な制度は立憲民主主義の基盤となっているのだ。

「名誉毀損防止同盟(ADL)」

大統領選挙の数日後に、私はニューヨーク市で毎年行われている「名誉毀損防止同盟(ADL)」が主催する資金調達イベントでホスト役を務めることになった。この部屋には、青と赤(民主党支持と共和党支持)の州の、あらゆる経済層からの人々が集まっていた。そして、その会話のほとんどは政治に関することであった。

このイベントでは、あらゆる政治イデオロギーが混在していた。一般的に言えば、クリントン氏の支持者たちは、落胆し、怒りっぽく、怖がっていた。一方、トランプ氏の支持者たちは、ワシントンを揺るがし、潜在的な景気上昇の可能性を引き出したことに満足していた。

どうして大統領選挙でトランプ氏と敵対した団体の資金集めのためのイベントに、トランプ氏の支持者が参加しているのか疑問に思うかもしれない。しかし答えは簡単だ。ほとんどの人が、合衆国憲法は新大統領が憎悪を制度化することを妨げてくれると(正しいか間違っているか別として)信じているからである。

制度化された憎悪とは?

トランプ氏の大統領選挙期間中の約束に基づいて考えると、大統領就任と同時に、憎悪が制度化されることを懸念している。あなたがこのことを信じているかどうかにかかわらず、多くの人々が怖がっていることを理解することが重要だ。

選挙中と選挙後には、憎悪メッセージの量とスピードが劇的に増加し、憎悪メッセージが周縁からメインストリームへと移動し、ヘイトクライムも劇的に増えたために、一部の人々は恐怖を感じている。

ADLは言う。「この選挙キャンペーンが社会の最悪の要素を数多く引き出したという事実を無視することはできません。ソーシャル・メディア上の行き過ぎたレベルの反ユダヤ主義を含め、私たちの多くを驚かせた寛容できないほどの表現も多く見ました(レポート参照:http://www.adl.org/assets/pdf/press-center/CR_4862_Journalism-Task-Force_v2.pdf)」。

自分がメキシコ人やイスラム教徒、女性や移民であるという理由で怖がっている人もいる。彼らは自らの安全と家族の安全を、あるいはアメリカが今まで守ってくれてきた市民権が失われることを怖がっているのだ。そして、心配は現実のモノとなりつつある今、人々はさらに怖がっている。

癒しと寛容

今回の選挙で、有権者のほぼ半数がトランプ氏に投票したので、アメリカ人の半分は、愚かで、人種差別主義者で、女性蔑視者で、憎悪で満たされているのだ、と多くの人が考えているという意見を耳にした。だがそれは真実ではないと思っている。

私たちは神の名の下に割り切って、アメリカを“自由”と“正義”の2つの国に分割することなどできないのだ。この世界を、平和で繁栄した21世紀に導くことができるアメリカを築いていくためには、互いに慎重かつ敬意をもって耳を傾け、協力し合う必要があるのだ。やるべきことがたくさんある。たとえお互いの立場が異なっていようと、それを実現することが許されている国に住んでいることはとても幸運なことだ!

憲法と法律

誰でもいい、好きな弁護士をつかまえて、三権分立や(中央政府に委任しない)州政府の権利の分離について聞いてみてほしい。関心があれば1959年の「ビブ対ナバホ貨物運送会社裁判」の判例(一般にマッドフラップ(泥除け)訴訟と呼ばれている)を見てほしい。あなたは、合衆国憲法や連邦制の重要性、州政府の権利、行政・立法・司法の三権の分立、そしてアメリカの有権者たちの結びつきがどれほど複雑かを知って驚くだろう。

想像することは不可能ではないが、憎悪を制度化することは非常に難しいだろう。しかし、過去18カ月間の証拠の事実は、憎悪が一般化への道を歩み出したことを示している。アメリカのすべての人が立ち止まり、深呼吸し、合衆国憲法が以下の文章で始まっていることを今一度思い出してほしい。

「われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の静穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫の上に自由の祝福のつづくことを確保する目的をもって、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定する」。

あなたは、あなたの側はこの前文を念頭に置いていると思うかもしれないし、他の側はそれを読んだこともないのではと思っているかもしれない。だが、それも真実ではない。誰もが自分を正しいと信じているので、反対側の者は間違っていると考えているだけだ。

真実を知る、いい考えが一つある。

これは前にも起こったこと

両者の違いを説明したり、私が答えを持っているかのように振る舞ったり、それともどういうわけか、私の世界観があなたのもの(または他の誰か)よりも優れていると思わせたりするよりも、「ギルダー・レーマンアメリカ史研究所」のウェブサイトにある、ジョージ・ワシントンがジョナサン・ターンブルJr.に宛てて書いた1799年頃の手紙を紹介したい。そこには、なぜ、ワシントンが米国の大統領として3期目を務めようとしなかったのかが書かれている。

ワシントンは、「党派間の違い」が「明確になるにつれて」、政治家たちが「真実と礼儀を尊重しなくなり、あらゆる反対勢力の人に対して、公私の区別なく、人権を尊重せずに攻撃するようになっている」と述べた。そして、連邦主義者として再び大統領に立候補しても「私は反連邦側からは一票も得られないと確信している」と書いている。ワシントンにとって、政党は党派的対立を生んで憎悪を増幅させる雰囲気を作り出すものであり、1796年の大統領辞任の挨拶でも予言していた。「道徳心のない者が国民の力を覆し、国民の手からその手綱を奪うことになるだろう」と。そして民主共和党*を引き合いに出して、次のように述べている。「我々は人々を自由に操ることができる魔法の杖を、政治家に与えてはいけないのだ」と。

*1790年代にトーマス・ジェファーソンとジェームズ・マディソンが結成した政党。ちなみにワシントンは、ジェファーソンよりも、連邦党のアレクサンダー・ハミルトンに肩入れしていた。

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