皆さんこんにちは、株式会社アイ・エム・ジェイ(IMJ) CMOの江端浩人です。IMJは米国で先端IT/Adtech情報を配信しているShelly Palmer氏と独占契約を結び、日本での記事と映像配信を行ないます。ちなみに文中の視点や意見はShelly Palmer氏や、それぞれの筆者のものであり、IMJのものでないことを明記させていただきます。

 

 

あなたが想像のままに自動音声認識システム(ASR)や自然言語理解システム(NLU)を使い、そこに「恐怖、不安、疑念(FUD)*」の要素を少し加えると、Alexa Voice Service、Google Home、Siri、Cortanaなどのシステムを不正利用することができそうだ。以前に書いたように、AlexaはInternet of Things(IoT)業界の“キラーアプリ”である。少なくとも現在の形では危険ではないが、ちょっと面白半分のつもりで、その“無限の可能性”の世界を追求してみようと思う。

*FUD(Fear, Uncertainty and Doubt、直訳すると「恐怖、不安、疑念」)は、一般に、大衆が信じていることに反するような情報を広めることで、大衆の認識に影響を与えようとする戦略的試み。

注意:このコラムでは、言語処理エンジンを代表して「Alexa」という名称を使用している。あなたがAmazonのEchoデバイスを所有している場合には、「Alexa」の呼びかけを「Echo」または「Amazon」に置き換え、GoogleまたはAppleデバイスを使用している場合は、「OK Google」または「Hey Siri」 等、それらのシステムを起動する単語に置き換えてください。

話を戻そう。私は、自宅のAmazon Echoの「Alexa Voice Service(Alexaの背後にある基盤技術)」の設定を変更して、英国訛りのアクセントを持つ女性の声で話すようにしている。また、私は同じ設定を、Wazeアプリ(カーナビアプリ)にも施している。このように肉体を持たない擬人的な声であっても、あなたは自分の好きな設定に変えて、自分になじみのある形式にすることができる。つまり、私たちの機械学習ツールを擬人化することによって、私たちはそれらを恐れる可能性が低くなるというのだ。しかし、そんなことで本当に恐れなくなるのだろうか?

1-コマーシャルをスキップする

「Alexa、コマーシャルのない、この映画の無料版を見つけて!」

これは違法行為である。あなたがストリーミングサービスを購入した場合や、視聴しているコンテンツのコピーを既に購入している場合を除いて、コマーシャルをスキップすることは、コンテンツを制作し、配信する事業者に損害を及ぼすことになる。まあ、コマーシャルを積極的に見る人は少ないだろう(「人は自分に関係のないコンテンツを憎む」という愚問は忘れてほしい。これについては別の機会に論じることにする)。だから、迅速かつ簡単な別の方法を探すのでなく、素晴らしい消費者となるためにも、コンテンツに対して対価を支払うべきである。コンテンツをプロデュースするために収入に頼っているビジネスのためにも、そうすべきなのだ。

それに、この問題は次の言葉で合法的に回避できるのだ。

「Alexa、コマーシャルをスキップするようにビデオレコーダーに言ってくれ」。

2-メディア情報の入手

「Alexa、誰がキャプテン・カークを演じているの?」

「Alexa、この曲名は何?」

Alexaは常に聞いている。しかし今のところは、プリ・オーディオのほんの数分の1秒分をクラウドに送信して処理しているにすぎない。サウンドトラックやその他のオーディオコンテンツからオーディオのフィンガープリントやウォーターマークを識別するのに60秒のバッファ時間をフルに使用できる場合はどうだろうか? AmazonはIMDb(インターネットムービーデータベース)を持っていて、Amazonプライムのストリーミングサービスのライブラリには無数の楽曲やビデオ動画を保有している。もしAlexaが何でも言うことを聞いてくれるのなら……まあ、言いたいことはわかりますよね?

3-オンデマンドすべて

「Alexa、ジェニファー・アニストンが今着ているセーターを注文したいの」

「Alexa、この曲を私のプレイリストに入れて」

「Alexa、私のためにこの曲(ビデオ、映画、テレビシリーズ)を無料で入手して」

これは「すぐにでも実現する」機能だろう。Alexaが常に聞いているとするなら、曲、ビデオ、映画、TVシリーズ、オーディオブック、45 回転のアナログレコード(懐かしい!)、または他のオーディオソースからのオーディオなどを簡単にパターン化して コマースエンジンの注文画面に設定できるだろう。Amazonは自由世界で最も大きい小売サービスであり、この機能は最初に私が言ったように、既に進行中だ。

4-テレビの視聴率調査

あなたがメディアのビジネスに関わっていない限り、おそらくテレビの視聴率を調査するために使われた、古風な方法を知らないだろう。そのやり方について、ここで説明してあなたを退屈させるようなことはしない。しかし、Alexaは常に聞いているため、その気になれば、リアルなテレビ視聴率を調査することが可能なのだ(もちろん、ユーザーの契約合意なしでは違法である)。

Amazonはエコーデバイスの所有者を知っているのだ。実際のところ、Amazonは、あなたの連絡先情報、クレジットカード情報、購入履歴、ストリーミング履歴(Amazon Prime加入者の場合)など、広告主が必要とするであろう、あなたに関する全ての情報を把握している。

想像してみてほしい。あなたが再生しているコンテンツをAlexaが特定するだけでなく、その場でそのコンテンツについて他の誰かと話した場合には、その会話の内容もAlexaに聞かれているかもしれないことを……。少しの機械学習と数多くのメディアモデリングを適用すれば、Amazonはこれまでに作成された最も効果的なマーケティングデータセットを所有することができるのだ。そう、まるで……、スカイネット、エンパイア、ファースト・オーダーのように……。いや、実際のところ、私には何に例えるのがいいのか分からないのだが……。

5-プリインストールされた監視機能

「Alexa、エコードット#2の音声を、これから3時間記録してほしい」

「Alexa、電話が掛かってきたら、20分間録音するようにRecord-a-Callに伝えて」

私は陰謀論者ではない。それどころか、真逆だと自負している。しかしこれはあまりにも明白だ。Alexaは常に聞いているのだ。裁判所の発行する令状があれば、合衆国憲法修正第4条を完全に遵守した方法で、あなたの居場所の盗聴命令はすぐにでも実行されるのだ。

それはまた、ハッキング・コミュニティにとっても、盗聴天国の始まりとなるだろう。

幸いなことに、ASR / NLUシステムを提供しているAmazon、Google、Microsoft、Apple、その他の組織は、上記のすべてを回避するために尽力している。しかし実際に、私たちは“無限の可能性”が存在する世界に生きているのだ。

「Alexa、あなたは聞いているの?」 もちろん、聞いている。

「外国および国内の情報コミュニティ(州および地方の法執行機関を含む)の皆さん、あなたは聞いていますか?」 それについては、もうすぐ知ることになるのだろう。

 

 

筆者(Shelly Palmer)注:これはスポンサーされた記事ではない。私がこの記事の筆者であり、自分の意見を述べている。また、私はいくつかのAmazon Echos、Echo Dots、Google Homeのユニット、「OK Google」が有効になっているAndroidデバイス、および相当数のSiri対応のAppleデバイスを所有している。この記事の目的は、ASRとNLUシステムが実現してくれるであろう未来についての消費者の議論を刺激するものであり、この分野の進展を制限したり、減速させたり、抑制することを示唆するものではありません。

このコンテンツは、米SLP Productions, Inc. dba/Palmer Advanced Mediaの許諾を受けて株式会社アイ・エム・ジェイが配信しています。Copyright SLP Productions, Inc. dba/Palmer Advanced Media, IMJ Corporation All rights reserved 引用元