皆さんこんにちは、株式会社アイ・エム・ジェイ(IMJ) CMOの江端浩人です。IMJは米国で先端IT/Adtech情報を配信しているShelly Palmer氏と独占契約を結び、日本での記事と映像配信を行ないます。ちなみに文中の視点や意見はShelly Palmer氏や、それぞれの筆者のものであり、IMJのものでないことを明記させていただきます。

 

 

先日、私は『ロボットが最初に奪う5つの仕事リスト』を紹介した。今回は、ロボットが“最後”に奪う5つの仕事を紹介しよう。この記事では、“人間が実行する必要のあるタスクを、専用のコンピュータプラットフォーム上で実行するように訓練された、機械学習アルゴリズムなどの技術”として 「ロボット」という言葉を定義しておく。

人間の働き方を理解する

ほぼすべての人間の仕事は、次の4つの基本的なタスクの組み合わせで実行されている。

  • 手動的反復作業(予測可能)
  • 手動的非反復作業(予測不可能)
  • 認知的反復作業(予測可能)
  • 認知的非反復作業(予測不可能)

例えば、組立ラインの作業者は、主に「手動的反復作業」のタスクを行なっており、作業内容の複雑さとロボットへの変更のコストとベネフィットが見合えば、自動化することができるだろう。一方で、主だったグローバル企業のCEOたちは、自動化することがはるかに難しい「認知的非反復作業」のタスクを実行している。だから、トラック輸送やタクシーといった業界では、自動化に向けた大きな動きがあり、肩書きに“チーフ”が付いているような企業経営者層にはあまり影響はないのだ。

仕事の未来を考える

誤解をしないでもらいたいこと:あるレベルで言えば、全ての仕事は機械で行うことができるようになる。そのこと自体が問題なのではなく、それが“いつ”なのかという事が問題なのだ。もしかするとあなたは、人間と機械とがどれだけ違っているのか、それが実現するまでに、どれくらい時間が掛かるのか、説明しようと試みるかもしれない。

だが、それはあきらめたほうが良いだろう。まず「機械は本当に学べるのか?」という記事を読んで、機械学習について学習し、その後で、「アルファ碁vsあなた それは公平な勝負ではない」を読んで、なぜ機械学習を気にする必要があるのかを理解してほしい。それでもまだ納得していない場合には、「ホワイトカラー・ワークの後には、何があるのか?」という記事を読んでみてほしい。この記事で全てがまとまる事になるだろう。

しかしそれでも、主観的に見て、AIが人間よりも優れた結果を出すことが非常に難しい仕事の領域がいくつかある。もちろん、これから述べるリストがその全てではない。後述する仕事のそれぞれは、人間の直感、推論、共感、感情の複雑な組み合わせを必要とするために、AIシステムがそれらを訓練して習得(機械学習)することは難しいと思われるものだ。

一覧して分かるように、ロボットが最後に奪う仕事には共通項がある。それは“人間性”だ。

1-保育園や小学校の教師

自分たちの子どもを小さなコンピュータに変えようとしているのでなければ、子供の教育をコンピュータに任せることはしない方がよい(レイ・カーツワイル*の信奉者たちによると、“シンギュラリティ”、つまり機械と人間の統合は、2045年に始まるだろうと言われているが、それまでには対象者の最低年齢を定める法律が必要かもしれない)。私には、(母親がサンドイッチに、ボローニャソーセージではなくピーナッツバターとジャムを詰め込んだ事に落ち込んでいる)5歳の男の子の傍らでロボットがひざまずいて慰めて、悩みを聞いてくれる光景を想像できたとしても、ロボットが感情的に満足できる結果を与えてくれる可能性は低いだろう。私たちは、子どもたちに人間らしくあることを教えている。人間として成長することを望むなら、子どもたちには、私たち“人間”による訓練を受けさせなければならないだろう。

*アメリカの発明家、実業家、フューチャリスト。人工知能研究の世界的権威である。

2-プロのスポーツ選手

ロボットによってプレーされているフットボールの試合は面白いだろうか? もしかしたら……。人間の選手をロボットと戦わせることは公正だろうか? いや、たぶんフェアじゃない。今の規定のクラブとボールを使用するなら、ロボットのゴルファーは一貫して人間よりはるかに良いスコアの40~50台で回るだろう。だから何? 人間が運動能力を向上させようとする限り、人はスポーツをする必要があるのだ。外科的に強化されたり、遺伝子的に改変されたアスリートの場合はどうだろうか? それについては、また別の記事で書くことにしよう。

3-政治家

政治と人間性は密接に結びついている。成功した政治家になるために必要な、繊細さとニュアンスの複雑な組み合わせは、現在のAIが扱える範囲にはない。この実現には、近い将来に到達できる技術の範囲をはるかに超えた、普遍的なインテリジェンスのレベルが必要となるだろう。機械は政治を必要としてはいない。彼らは実力主義社会で“生きている”のだ。人間が生きていける場所ではない。公平と平等が重要な話題である限り、政治的な要素が必要な唯一の存在が、人間ということになるだろう。一方で、すべての政治家が「再選」という同じ目標を持っているのだということを、私に思い出させてくれる人もいるだろう。だから、政治家だって、非常に簡単にプログラムすることができるのではないかって? とんでもない。悲しいことに、政治家は、AIによって仕事を奪われる最後の専門職の一つになるだろう(彼らはまた、独自の雇用保障を立法する独特な立場でもあるのだ)。

4-裁判官や審判、審査員

裁判官、仲裁人、オリンピックスポーツの審判やコンテストの審査員、または客観的評価と主観的評価の両方を必要とするあらゆるタイプのコンテストをジャッジする人々は、ロボットが入って行けない領域の仕事をしている。主観的判断には広範な知識が必要とされる。また、意思決定の影響を徹底的に理解していて、最も重要なことは、直接関与している当事者だけではなく、広く一般の人々にも「私が知っていることを、あなたが知っているということを、私は知っている」と示す能力だ。あなたが料理コンテストの審査員として生計を立てているのであれば、(あなたがあまりにも多くのパイを食べ過ぎない限りは)生涯の雇用保障を得ていると考えてもいいだろう。

5-メンタルヘルスの専門職

心理学者、精神科医、その他のメンタルヘルスの専門職は、まさにロボットに最後に奪われる仕事になるだろう。確かに、私たちは自然言語の解析を行い、自動音声認識システムを有能なAIシステムに接続して、自殺予防のチャットBotを作りあげることができるだろう。しかし、メンタルヘルスの問題を理解し、治療することはかなり難しいことだ。ここでも、人間は他の人間を理解する能力に優れている事が分かる。これは、医療専門家がAIシステムを活用しても、より良い仕事はできない、と言っているのではない。ただ、信頼できる精神科医の仕事を引き受けるロボットを作成する能力は、『West World』というSF映画に出てくるようなロボットが実現しても、難しいのではないだろうか? まあ、そうはいっても、そのうち実現するのだろうが……。

次点-アーティスト(ダンサー、画家、ミュージシャン、歌手)

私は意図的に、このリストから上記のアーティストを外した。彼らについては、別の記事で議論すべき内容だと思う。テクノロジーはすでにさまざまな芸術の経済性に大きな影響を与えている。そして、残念なことに、これらの仕事のどれもが、ロボットに取って代わられることから安全だという場所にはないのだ。

次にくるもの

あなたの仕事が「命がけで逃げろ、ロボットがやってくるぞ!」というリストに載っているのかどうか疑問なら、あなたには単純なミッションが待っている。どうすればあなたの仕事が自動化できるのかを学ぶことだ。あなたの仕事が進化して、あなたが最高のマン・マシン・パートナーとなる方法について、できることを全て学ぶのだ。それがAIの出現に備える最善の方法だ。最後に言っておこう、待っていてはいけないと。これらのことは、そんなにすぐには起こらないという人もいるだろう。しかし、それは全くの間違いだ。たとえその仮説が正しかったとしても、未来のために準備しておいて損はしないだろう。

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