「すまのべ!」って何をやってるんですか?

加茂 「すまのべ!」は、最新のテクノロジーを利用してすこし先の未来で企業のマーケティングに使えそうなアイデアを日々模索している研究開発チームです。

 

田野 最新技術に常に予防線を張って、ビジネスに活用できそうなものがあったらすぐにプロトタイプを作り、他の事業部のメンバーやクライアントに体験してもらって、実際の案件に役立ててもらうという役割をしています。

   

部屋に入ると3台のPepperが目をひきますが、ロボット研究がメインなのですか?

田野 たしかにロボットが目立つと思うんですが、私たちは決して「ロボットが面白そうだからやりたい!」というような単純な動機で使っているわけではないのです。

IMJはオンライン上でのユーザーの行動把握や分析には強みを持っているのですが、今後のデジタルマーケティングにおいては、オンラインだけではなく、実生活(オフライン)も含めた人間の行動やコミュニケーションを把握することが重要になってくると思うんです。オフラインの生活者の行動をセンシングするひとつの手段がロボットなんですよね。

 

加茂 例えば、「ある人がこのサイトに入って、このリンクをクリックし、商品を購入した」というオンライン上のデータだけでなく、「同じ人がこの時間にこの店に行き、この商品を見て、スマホで検索をした」というオフラインのデータと組み合わせることができれば、カスタマージャーニーがより鮮明に見えるようになり、デジタルマーケティングも大きく変わりますよね。だから私たちは、オフラインのデータをとれる可能性のある最新技術を追っているんです。

 

田野 実は、ロボットはセンサーの塊なんですよ!この部屋に並んでいる最新デバイスは、バラバラに見えて実はすべてオフラインデータを取得できる可能性があるセンサーデバイスなのです。

実際に研究してみてわかった、ロボット活用のポイントはどこですか?

加茂 現在のロボットによるオフラインデータ取得技術は、正直まだ発展途上ではあるので、まずは、集客や販売促進を目的としたプロモーションでロボットを活用し、そのバックグラウンドでどんなデータが取得でき、活用できるのかを試して行くのが良いと思います。

ロボットがいることで興味が集まり、ユーザーも接触しやすくなります。しかも、それによって企業がデータをとるハードルも低くなるんです。つまりプロモーションをしながら、その裏でデータを取ることができるという事です。

 

田野 今年3月にジェイアール東日本企画さんと共同でPepperを使った実証実験を行ったのですが、交通系ICカードのデータと連動させて、Pepperが利用者の行動履歴に応じたリアクションをしてくれるアプリを研究したりしています。今後はデータとロボットを連携させ、マーケティングを最適化する可能性も考えられますね。

なるほど。交通系ICカードということは乗車履歴や時間から生活パターンが見えますよね。

加茂 そうなんです。かなりマーケティングに活かせるイメージがわきますよね。他にも、例えばロボットのセンシング技術で顔認識して、リピート顧客を把握するという活用の仕方もあります。文字通り、顧客の顔が見えるんです!(笑)これはすごいことですよね。ロボットというと、人間に代わって実務を行ってくれたり、人間の生活をサポートしてくれるイメージが強いかと思いますが、マーケティングをよりよいものにしていくツールでもあるのです。

少し先の未来で使えそうなアイデアを研究されているそうですが、今注目の最新技術はなんですか?

加茂 VR(Virtual Reality)の次はMR(Mixed Reality)がアツいです。MicrosoftのHoloLensがその例ですね。

今年はVR元年なんて言われているんですけど、私たちの研究の時間軸としてはもう次の技術を追わなければいけない段階なんです。ロボットにしてもVRにしても、いつも元年マイナス3年ぐらいにはキャッチアップできるようにアンテナを張っていまね(笑)

 

田野 VRは、ユーザーの現実世界の視界を遮断して、完全な仮想空間で行われるバーチャル体験で、そこから得られる没入感が売りなのですが、それゆえにマーケティングからはすこし距離があったんです。逆に、エンタメにはフィットしていますよね。

 

加茂 MRはリアルな空間とバーチャル映像が組み合わさるので、企業がビジネスに使いやすいと思います。例えば、欲しい家具を自分の部屋にバーチャルで配置して実際の大きさを確認できたり,観光地や美術館でバーチャルガイドを提供したり、整備士のトレーニングに活用したりなど、活用の仕方次第では、ビジネスに大きな効果をもたらす最新技術だと思います。

 

2020年ってどんな世界ですかね?

加茂 ロボットやVRもそうだったように、テクノロジーが実際に身近なサービスとして浸透するまでには少し時間がかかります。気がつかない間に、いままで使っていたあのサービスがなんだか使いやすくなっている、あるいは、生活者には見えない因果関係で、これまで実現しなかったサービスがポッと登場して生活を変える、なんてことがあらゆる場所で起きているんじゃないかと思います。

最近話題のポケモンGOも、突然登場して多くの人の生活を変えたようにも見えますが、実はGPSARなどの既に認知されている技術とコツコツ収集した膨大なロケーションデータをうまく使ってうまれたサービスですよね。

 

田野 自社の既存の資産と新しいテクノロジーを組み合わせて、新しい顧客体験を生み、新しいビジネスが作れるかどうかで企業の勝敗が大きく分かれはじめている時代ではないでしょうか。最新技術は手をつけにくいかもしれませんが、遠い世界の話と切り捨てずに、自社のサービスにどうやって生かすか,トライアンドエラーを繰り返していくことで、その後のマーケティングに大きな差が出ると思っています。

新しいテクノロジーが出てきた時、その活用のアイデアを企業のマーケティング担当者や、技術をもつ会社の方々、メディアの方々までいろいろなプレーヤーの皆さんと一緒に考えていければと思っています。

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