再生回数790万回超え!ミュージックビデオあるあるを歌った曲が大ヒット

岡崎体育は、京都在住の男性ソロプロジェクト。ミュージックビデオの「あるある」を集めた楽曲『MUSIC VIDEO』がバズり、無名の新人アーティストながら、わずか1週間で100万回再生、8月12日現在800万回に迫る再生回数を記録。

百聞は一見にしかず。まずはその『MUSIC VIDEO』をどうぞ!

単なるバズコンテンツではない。岡崎体育に注目すべき理由

無名の新人、ノータイアップながら、この『MUSIC VIDEO』を含むファーストアルバムは、オリコンウィークリーアルバムランキング初登場9位、iTunes J-POPランキング1位を獲得。話題獲得だけでなく、売上という結果を残した彼の秘密はこのツイートに隠されています。

 

    

 

『家族構成』『FRIENDS』は、『MUSIC VIDEO』同様のいわゆるネタ曲なのですが、彼はこれらを「入り口」の曲と捉えているのです。

 

つまり、『MUSIC VIDEO』をバズらせることがゴールなのではなく、本当に届けたい「製品」を届けるきっかけを作る「入り口」として、バズを狙ったコンテンツを作っているのです。

 

これはまさしく「コンテンツ・マーケティング」

 

ものが売れない時代に効く「コンテンツ・マーケティング」とは?

コンテンツ・マーケティングとは、一方的に企業が言いたいことを伝達するのではなく、

消費者にとって「適切なコンテンツ」を提供することにより、ターゲットを引き寄せ、エンゲージさせていくマーケティング手法です。

    

これを、岡崎体育のケースに当てはめると…

 

「CDが売れない時代」と言われる現代。無名の新人アーティストがいい曲を作ったとしても、新しい音楽を積極的に求めていない人は通り過ぎてしまう。また、求めていても、数多くの競合相手の中に埋もれて、見つけてもらえない可能性が高い。そこで、振り向かせるための強力な「きっかけコンテンツ」として、バズを狙った『MUSIC VIDEO』を用意し、まずは振り向いてもらい、そこから購入までを段階的につなげていく、というわけです。

岡崎体育の場合は音楽ですが、「これまでと同じやり方ではものが売れない」という状況は、あらゆる製品のマーケティングに共通する課題ではないでしょうか。各フェーズを実際に購入までいたった筆者自身のファン化ストーリーと重ねながら、分析していきましょう。

①きっかけコンテンツ:バズ狙いコンテンツで入口を開け!

【ファン目線:出会いは突然に】

ある日、友人がSNSにシェアしていた怪しいパーカーの男が目に留まる。何気なくクリックした数分後には、そのコンテンツのおもしろさとクオリティの高さに驚愕し、同僚にシェアしている自分がいた。そして、その数分後には、同僚もリツイート!

 

音楽は探していなくても、誰かと共有できるおもしろい情報は常に探している私たち。『MUSIC VIDEO』は、誰もが知っている題材をネタとすることで、入り口の間口を拡げ、多くの人に存在を知ってもらう「きっかけ」を作り出しました。

 

そして、見つけた人から「あるある!」「見て見て!」「あるある!」のループでどんどん拡散されていったわけですが、SEKAI NO OWARIのFukase(156万フォロワー)やきゃりーぱみゅぱみゅ(440万フォロワー)などが絶賛ツイートし、インフルエンサーがメディア化したこと、また、さまざまな歌手のバージョンのコラ動画を作るユーザーが現れ、それぞれのファンコミュニティにリーチしたことで、爆発的な拡散に繋がりました。

②ひきこみコンテンツ:バズで終わらない豊富なコンテンツを用意せよ!

【ファン目線:やばい、気になってきた】

Youtubeで「MUSIC VIDEO」を何回かリピートした後、ふと再生リストに掲載されている他の楽曲が気になり視聴してみると、これがまたおもしろい。へーと思いながら聴いていると、何曲か目でまじめな曲に遭遇。え、何この振り幅…と戸惑いつつ、どんどんはまっていく私…。

 

バズコンテンツでありがちなのは、そのコンテンツだけがバズっていて、製品に落ちていないものや、一過性のもの。企業発信のコンテンツの場合、おもしろい部分だけ楽しんで、どこのブランドだったっけ?なんていうことも正直ありますよね。

 

しかし、岡崎体育の場合は、「きっかけコンテンツ」から流入したターゲットに対し、

  • 期待を裏切らない「MUSIC VIDEO」と同系統のおもしろい「ネタ曲」
  • いい意味で裏切られる「直球の勝負曲」
  • 「盆地テクノ」「今でもスーパーでバイト」などの深掘りしたくなるキーワード

など、バズった時点ですでに豊富な「ひきこみコンテンツ」がネット上に揃っていました

その結果、入口から入ってきた人を引き留め「なにそれ?なにそれ?」と能動的に情報を集め始め、気が付くとどんどんファン化させていったのです。

③あと押しコンテンツ:SNSを最大活用!チーム一丸でゴールへ突き進め!

【ファン目線:あなたに投資します!】

ああ、知れば知るほど岡崎体育が気になって仕方がないということでいうことでTwitterアカウントをフォロー。なになに?「オリコン週間アルバムランキング10位内にランクインすることが目標」おもしろいだけでなく、意外と熱い人なんだな…いやはや、絶対その夢叶うはず!amazon予約したよ!タワレコ行ったよ!もう1枚買っちゃうよ!(あれ?)

 

岡崎体育というブランドを、時におもしろく、時に熱くツイートする彼。その中でも、特筆すべきが、デビュー・アルバム発売前後の彼のTwitter運営です。

 

    

 

普段のネタツイートとは打って変わって、かなり熱く夢を語っています。

 

これを見たフォロワーは「オリコンTOP10にランクインする」という困難な目標を共に「共有」し、「クラウドファンディング」さながらその夢を支える投資家のような気持ちで、アルバム発売から熱狂的な1週間を共創していきました。

 

この、ムチャな夢を一緒に目指すという体験こそが「あと押しコンテンツ」になり、がっつりファンの心を掴み、売上にも直結しているのです。

 

熱いツイートの他にも、彼自身「購買促進サイバー攻撃」と呼んでいる、アルバムを買おうか迷っている人などをエゴサーチしてひたすら「いいね♡」していく後押し活動もしていて、こういう地道な努力の効果も大きいのではないかと思います。

 

結果、私は人生初のCD複数枚買い(限定版と通常版)までして応援してしまいました!

    

コンテンツをバズらせるのがゴールではない

「2016年上半期最もバズった男」が教えてくれた、コンテンツ・マーケティングの本質をまとめてみましょう。

  • バズらせるのがゴールではない。本当のゴールを明確にすべし。
  • バズコンテンツから流入した全コンテンツのユーザーエクスペリエンスを設計すべし。 
  • 本当に利益につながるデジタルマーケティングは一朝一夕ではいかない。日頃のSNS運営など、爆発力はなくてもベースを築くコンテンツも重要。

彼の『MUSIC VIDEO』のサビに「作り手」と「受け取り手」についての想いが込められているように、目先の「話題化」や「拡散」に惑わされず、今こそコンテンツ・マーケティングの本質に立ち戻り、「受け取り手」の心を本当に動かすマーケティングを目指してみませんか。