こんなに活用している! 2017年春のドラマ 公式アカウントまとめ

“ツイッターユーザーの9割が、ツイッターを使いながらTVを視聴したことがある。そのうち63%は、テレビ番組に関するツイートがしたことがある”*というデータにも示される通り、「TV視聴とSNSの相性のよさ」は、今ではよく語られるテーマになりました。

それでは、「TVを視聴していないとき」に、SNSはどのような役割を果たしているのでしょうか。まずは、各ドラマがどんなSNSをどう活用しているのか、2017年4月期のプライムタイム(19時—23時)ドラマのSNS活用状況を見ていきましょう。

※ 5/28時点。数字はフォロワー数。視聴率:ビデオリサーチ調べ(関東地区)期待度:オリコン・モニターリサーチ調べ

ピックアップした14ドラマ番組のうち、1番組を除く13番組がTwitterアカウントを開設しています。2017年1月期、2016年10月期は全番組でTwitterを開設していることからも、Twitterは今やドラマ番組にとって、マストの告知メディアとして活用されていることがわかります。

さらに、12番組が複数のSNSアカウントを開設。LINE(10番組)、Instagram(5番組)、Facebook(3番組)と続きますが、LINEの活用にはばらつきがあり、タイムラインには1投稿もされていないアカウントも見受けられます。一方、Instagramに力を入れる番組は近年増加傾向にあり、ビジュアルを中心にしたコミュニケーションは今後ますます重要度が増すことが予想されます。このように各ドラマ番組は複数のSNSアカウントを開設し、延べ約180万人がフォローしているのです。

ドラマ放送時だけじゃない。ドラマが公式SNSに力を入れる理由。

絶大なリーチ力を誇るテレビ番組が、なぜSNSにこんなに注力するのか。極論を言えば、目的が「告知」だけであれば、テレビCMを打つだけでよいとも言えますし、SNSを使う場合も、放送当日にLINEでPUSH配信をすれば済む話かもしれません。

しかし、それでも、各ドラマが各SNSに力を入れる理由。それは、「継続的なエンゲージメント」の創出、そして、そこから派生する「話題化」に尽きるでしょう。SNS登場以前は、番組放送日を頂点にジリジリと下がっていたエンゲージメントの曲線を、ドラマ放送日以外にも、公式SNSが発信することで、小さな山をいくつも作り、エンゲージメントを生み出し、さらにはそこから広がる拡散を作り出せるようになったのです。

『ドラマにハマると、週に一回一時間会うだけじゃ足りないんですよ!』
>>視聴者目線でこの現象を分析した記事はこちら
「TV離れはしていない? 視聴率には出てこない、ワカモノのTV番組の楽しみ方とは。」

フォロワー数と期待度・視聴率の相関性は?

それでは、公式SNSとドラマの人気に相関はあるのでしょうか。ドラマ放送前の「期待度調査」で1位だった『リバース』がTwitterで最多のフォロワー数を獲得しているものの、2位以降は必ずしも相関は見られません。また視聴率も、高視聴率をキープする『緊急取調室』がSNSではフォロワー数が最少など相関は見られません。

これは、ドラマのターゲットの年齢層や主要キャストのファンの属性にも左右されているのではないかと推測されます。一方、5月のフォロワー数の伸び数では、Twitter, Instagram共に『あなたのことはそれほど』が最も増えており、ドラマの盛り上がりと共にフォロワー数が増加しています。

また、視聴率については、プライムタイムの番組はタイムシフト視聴される割合が76.7%に昇り、特にドラマはタイムシフト視聴される傾向が高い**ことから、今後明らかになるタイムシフト視聴も含めた視聴率と比較すると、SNSとの相関性が見えてくる可能性もあるでしょう。

投稿カレンダーを分析! ドラマ公式SNSのコンテンツに迫る

ここからは、実際にドラマの公式アカウントがどんなコンテンツを展開しているのかについて、SNSに特に力を入れているドラマのひとつ『フランケンシュタインの恋』を中心に掘り下げていきます。

『フランケンシュタインの恋』公式Twitterの1週間の投稿状況

 

上の表は、5月8日週の『フランケンシュタインの恋』公式Twitterのコンテンツを簡単にまとめた投稿カレンダーです。5月8日週は、計34投稿(1日約4.8投稿)もの投稿がされています。週によって、変動はあるものの、投稿内容は大きく5つのカテゴリーに分けられます。

  1. カウントダウン:放送日までのカウントダウン
  2. ブログ情報:公式ブログでドラマの裏側をレポート
  3. オリジナルコンテンツ:公式SNSだけで見られるオリジナルコンテンツ
  4. 出演者情報:出演者が番宣のために出演する番組の情報
  5. 参加型企画:視聴者を巻き込んだ企画

1から4までは、他のドラマでもほぼ共通する投稿カテゴリーで、特に1のカウントダウンは、ドラマのSNSでは定番の告知です。シンプルな告知もありますが、『フランケンシュタインの恋』では、カウントダウン動画を撮影しているオフショットを投稿するなど、カウントダウンもひとつの楽しめるコンテンツとして提供しています。

 

続いて、3. オリジナルコンテンツについて見ていきましょう。『フランケンシュタインの恋』では、シンプルなオフショットに留まらないストーリー性のあるオリジナルコンテンツを投稿しています。例えば、5月8日週は、綾野剛さん扮する“怪物”がドラマ制作スタッフになりきる「なりきりシリーズ」が登場。Instagramでも計7投稿され、平均10,000越えの「いいね!」を獲得しています。

 

このような「オフショットマーケティング」とでも呼ぶべき新たな潮流は、裏側を覗きたい消費者心理を刺激し、番組や出演者への「親近感」を生み出し、番組へのエンゲージメントを高めます。また、普段見られないようなオフショットを投稿する公式アカウントに対し、「公式さんありがとう!」といった反応も生まれます。

このように、ドラマのSNSアカウントは、ただの番宣だけではない、ユーザーを楽しませるコンテンツを提供しているのです。

消費者をさらに積極的に巻き込む取り組み

さらに、一歩進んだ取り組みとして、より積極的に視聴者と関わる「参加型企画」も見受けられます。

同じく『フランケンシュタインの恋』では、1話の放送直後からTwitterでハッシュタグ「#フラ恋絵」と共に、ドラマの絵を投稿する視聴者発のムーブメントが発生しました。

その後、このムーブメントを公式アカウントが取り上げ、公式アカウント上で「#フラ恋絵」を募集。毎週優秀賞を主演の綾野剛さん本人がドラマの公式アカウントで発表するという取り組みを実施しており盛り上がりを見せています。参加ハードルは比較的高い企画ですが、絵が描けない人にとっても、応募者の絵を眺めているだけで、ドラマを愛するコミュニティが感じられる素敵な企画ではないでしょうか。

 

また、6月4日には、ラジオパーソナリティー“天草”役の新井浩文さんが、Twitterのハッシュタグ「#天草に訊け」で募集した視聴者からのお悩みに生配信で答える「天草に訊け! ライブ配信」が決定。Twitter、Instagramを始めとする各SNSアカウントから同時ライブ配信するとのことで、こちらにも注目です!

 

他にも、『CRISIS』では、番組終了直後に視聴者からTwitterで「#ドラマCRISISに質問」のハッシュタグを使って質問を募集し、当日中に出演者が質問に答える取り組みが実施されています。

 

視聴者発のムーブメントを公式に取り上げた「#フラ恋絵」も、出演者自らが視聴者の質問に答える「#ドラマCRISISに質問」も、視聴者とドラマの距離が非常に近い参加型企画です。このような、視聴者との距離を縮める視聴者参加型の取り組みは今後増えていくのではないでしょうか。

まとめ

ドラマの公式SNSまとめ、いかがだったでしょうか。

かつてドラマは放送の1時間だけがコンテンツでしたが、見逃し配信、オーディオコメンタリーと拡張を続け、公式SNSも告知ツールとしてだけでなく、拡張コンテンツとして進化を続けています。

視聴者に親近感を抱かせ、継続的なエンゲージメントを生み出す取り組みは、企業アカウントにも応用できる部分が多いのではないでしょうか。ぜひ、ドラマの公式アカウントを覗いて、体感していただければと思います。

 

参考文献・データ参照元
*崎谷実穂(2016)『Twitter カンバセーション・マーケティング ビジネスを成功に導く”会話”の正体』日本経済新聞出版社

**タイムシフト視聴からみえること
http://www.videor.co.jp/vr-digest/pdf/vrd556_20170304/vrd556_article1.pdf
**タイムシフト視聴動向 ~2017 年 1 月クール、多く見られた番組は?~
http://www.videor.co.jp/press/2017/170417.pdf