ヤングライオンズ2016のサイバー部門日本代表として本選に出場してきた二人に、カンヌでの経験についてお話を伺いました。

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「ヤングライオンズ・ビギナーの僕らがGOLDで予選突破できたポイントとは?」

玉井由美子IMJ 第一事業本部(2015年入社)

郡司典人

玉井由美子IMJ 第一事業本部(2016年入社)

武市美穂

 

おつかれさまでした!カンヌを経験されてどうでしたか?

郡司 本選では入賞できず、悔しい気持ちもありますが、全体を通して沢山の刺激を得ることができました。

武市 初めて世界の人と戦って、国内選考とは違う難しさを感じました。
本選はもちろん、他にも沢山得られたものがあり良かったです。講演や作品の展示を見て勉強になったし、様々な人との繋がりができました。

 

さっそく本選について聞いていきたいと思います!初めに、課題の内容は?

郡司 課題は「セクシュアルバイオレンスの被害を受けているが公に訴えられていない女性たちに対して、その女性たち自身がSNSを通して声をあげることができるような施策を考える」というものでした。毎年、国連が掲げている国際問題が本選課題とされる傾向にあり、今年もそうでした。世界中の人が出場するコンペなので、誰しもが取り組める世界普遍的な課題でないといけないからだと思います。課題内容について想像はしていましたが、いざ発表されると難しいなと感じました。

武市 セクシャルバイオレンスについては、被害女性がなかなか声をあげられず、その悩みをどのくらいの女性が抱えているのかもよく分かっていないという現状があります。

 

ずっと会場内で作業していたのですか?

武市 いえ、内容自体は、泊まっていたアパートのリビングで練り、会場に移動してから作業ブースで提出シートの作成に取りかかりました。現地時間6月20日の16時に会場で課題が発表されてから翌日の20時までの28時間、作業時間が与えられます。提出後は、翌日朝に会場で結果が発表されるという流れだったので、最後まで落ち着く間もなかったです。

郡司 朝方3時頃の、ソリューションが見つからなかった時間帯はきつかったですね。

 

泊まっていたアパートにて。企画内容を考案中。

どんな企画が出来上がったのですか?

武市 私たちが提出した企画は、「私は暴力を乗り越えました」 ということをSNSのプロフィール上に載せるというものでした。
SNSのプロフィール画像って笑顔の写真などが使われていることが多いので、その活き活きした顔と、過去に被害を受けていたというプロフィールとのギャップにより暴力を乗り越えて強く生きている女性の存在を、今被害を受けている女性に知ってもらい、SNSメッセンジャー上でコミュニケーションを取ってもらうというゴールを目指し企画しました。

郡司 方向性やコンセプトなどコアアイデアの部分はよかったのですが、行動するきっかけなどの細かい仕掛けが考えきれませんでした。言う勇気がない女性の気持ちをどうポジティブ変換して行動につなげるかを上手く考えられていたら、インサイトとソリューションが結びついた企画ができていたのかなと。

 

国内選考と比べて、課題に取り組む上で違いはありましたか?

武市 はい。本選では「女性の気持ちを変えて行動につなげる」「世界の人が理解し、共感できる」という点が、考えていく上でネックとなりました。例えば出会い系サイトで注目を集めたりだとか、男性に働きかけるほうが意外性を出しつつ、効果の見込めるアイデアは考えやすいと思います。

郡司 国内選考課題であった「胃がん撲滅」は原因が分かっていたし、自分ごとにしやすいものでした。今回は、僕自身男性なので女性の気持ちを考えること自体が難しかったです。また、対象が世界となるので、日本人目線で考えてしまっていないかという点にも悩みました。その2点がひっかかり、ブレスト段階で上手く発言できなかったことが僕の個人的な反省点でもあります。

武市 国内選考では、郡司君のインサイトを捉える役割、私のソリューションで意外性を発揮する役割が上手くはまっていたのですが、本選では女性がターゲットだったため、郡司君がインサイトを捉えることが難しく、それぞれの得意な部分を活かせませんでした。まず始めに、女性の感覚を共有する時間を作るべきだったと思います。本選の最中は、企画に集中しすぎて、役割を意識してお互いの力を発揮できるように助け合うということを意識できていませんでした。

郡司 本来なら会場へ行く前にアイデアの内容をもっと詰め、提出ボードのイメージについても話しておく流れがベストなのですが、それができませんでした。アパートから会場への移動中にやっと納得できるアイデアに固まり、会場ではボードデザインのすり合わせをしてから、ほぼ個人作業で提出ボード作りと文章の英訳作業に分かれて作業を進めていました。

 

会場内作業場への扉。この先は撮影禁止。

GOLDを受賞した作品に対してどう思いましたか?

武市 課題に対するソリューションが凄くシンプルだなと思いました。GOLDを受賞したチームはシンガポールの女性2人組で、企画内容は、サイトの中に設置されたソーシャルボタンを被害を受けた女性が押すと、画面上に出ている数字の数がどんどん増加していき被害女性の数が画面上に可視化されていくというものでした。まだ読み解いていないのですが、誰もが一目で理解できる企画内容のシンプルさと、ソーシャルボタンが女性の顔の口の上にあることで「女性が声をあげる」ことを想起させるという画面構成が特徴的な作品だと感じました。

郡司 課題に対して忠実に企画に落とし込んだ企画だと思います。 世界共通のテーマに対して「声をあげる=ボタンを押すだけ」っていう簡単で分かりやすい仕組みがいいなと。人に言いにくい事をあえてシェアして公にするっていう逆説的な考えとかも面白いのかもしれないです。

 

結果発表時の様子。

改めて、受賞作品に選ばれるにはどのようなポイントが必要だと思いますか?

武市 「一目で見てみてわかる」ものであることと「減点ポイントを作らない」ことですかね。
例年、課題に対してシンプルに解決策を提案している作品の受賞が多いです。審査員も1時間ぐらいしかないなかで、50ヵ国のチームの中から選ばないといけないので、まずは審査員に理解してもらえるかが第一のハードルだと思います。そもそもボード一枚でアイデアを伝えることになかなかの難しさがあるので。審査員25人中、母国語が英語じゃない審査員もいるので、ビジュアルで理解してもらわないといけないですね。

郡司 今回の受賞作品も見ただけでなんとなく理解できるくらい、ビジュアルも企画内容もシンプルなものだったので、そのぶん減点ポイントも少ないなと思いました。

 

来年もヤングライオンズに挑戦したいですか?

武市 はい!もちろん、また挑戦したいと思います。
本選の他にも、講演や作品の展示、企業が開催するパーティーなど、興味深いものが多かったです。初めはどこでどんなイベントが開催されているかも分からず、私たちの細―いコネクションのなかでなんとか情報収集し参加していました…。途中でFacebookグループがあることを知ったので、来年いかれる方にはその存在をしっかり伝えたいですね。

郡司 講演のほかにも、会場内には受賞を逃した世界中の作品が何千と張り出されており、それらを見ているだけでも楽しく、勉強になりました。本選ではキツいこともありましたが、カンヌ自体が面白い祭典だったのでまた挑戦したいです!

 

会場内の展示。世界中の作品の数々。

 

 

来年はどうSNSが進化して、どんな戦いとなるのか楽しみですね!

国内選考での感想と照らし合わせて面白いかもしれませんね。
気になる方はぜひこちらをチェックしてみてください。
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