※本記事は2018年7月20日にIMJにて開催されたSalesforce Marketing Cloud×Google アナリティクス 360セミナーの講演内容を編集した記事となります。
担当者必見!Marketing Cloud×Google アナリティクス 360の連携で何ができるようになる?
業界をリードするデジタルアナリティクスソリューション群であるGoogle アナリティクス 360と、世界No.1のマーケティングプラットフォームであるMarketing Cloudの連携ソリューションの内容が明らかになりました。今回の連携により、顧客のインサイトを実際の成果につなげることが可能になるそうです。2018年7月、IMJで開催されたセミナー「Google アナリティクス 360連携でSalesforce Marketing Cloudは何が変わるのか?」の様子を振り返りながら、詳しく見ていきましょう。
Google アナリティクス 360・Marketing Cloudとは?
Google アナリティクス 360とMarketing Cloud、両プラットフォームを日々使っている担当者も多いと思います。簡単に両プラットフォームを解説すると、Google アナリティクス 360は、顧客のさまざまなタッチポイント、各種デバイスのデータを収集し、ビッグデータを活用した効果的な分析、改善を行うことができるプラットフォームのこと。一方、Marketing Cloudは顧客データを一元管理し、メールやソーシャルメディア、LINEなど、あらゆるチャネルから最適なタイミングで最適なコンテンツを配信することでOne to Oneマーケティングを実現するマーケティングオートプラットフォームのことです。
担当者のお悩みあるある
Marketing Cloudを導入している企業の場合、配信したメールの到達率や開封率、クリック数を確認するには、Marketing Cloudのレポートから対象のメールごとに計測を行い、その数値をエクセルなどにまとめて集計するというように、手間のかかる集計作業を行っていました。しかし、そのメール配信がサイト利用・目標・売上にどれだけ貢献したかをMarketing Cloudのレポートで計測することは難しく、担当者の頭を悩ませていました。そこで、ユーザーがサイトを訪問した際に「どこから来たのか(参照元)」「どうやって来たのか(メディア)」を記録するGoogle アナリティクス 360の機能を活かし、Marketing Cloud経由の配信メールに手動でUTMパラメータを付け、Google アナリティクス 360の参照元などから計測していたという方も多いのではないでしょうか。ただ、会社・担当者によってパラメータの付与ルールが異なると、計測できなくなってしまい、ふたを開けてみれば「キャンペーンの成果を把握するのが困難」ということが頻繁に起こっていました。
また、担当者の間でよく課題として挙がっていたのは「効果測定」についてです。走らせたキャンペーンの効果を測るには、キャンペーン終了まで待たなくてはなりませんでした。途中で「このシナリオでは効果が出ない…」とわかっても、Marketing Cloudからメールを送り続けているという担当者も多くいます。キャンペーンの途中でシナリオを変えることもできますが、シナリオ変更がどれだけ効果に結びついたのか、その効果を厳密な数値で判断することができず、頭を悩ませていたマーケターも多いのではないでしょうか。
Marketing Cloud×Google アナリティクス 360の連携でできること
今回の連携により、これまで行っていたパラメータの付与は、Marketing Cloud上で正確に付与されることになり、付与ルールで悩むことはありません。また、これまで難しかった各チャネルの費用対効果をGoogle アナリティクス 360上で確認できるようになりました。つまり、担当者はチャネルやコンテンツごとにコンバージョンへの貢献度を把握し、マーケティング活動の弱点を可視化したり、離脱ポイントを特定したりすることも可能になりました。
また、キャンペーン途中で効果が出ない場合には、Marketing Cloud上ですぐにシナリオを変更し、新たな施策を打つこともできるようになりました。つまり、両プラットフォーム間の連携により、担当者の手間が大幅に省けるだけでなく、正確にキャンペーンの評価を測定した上で、リアルタイムに施策の変更ができるようになったのです。Marketing CloudとGoogle アナリティクス 360の連携を語る上で、担当者にこれだけは知ってほしいことを、3つのキーワードでまとめました。合わせてご確認ください。
●Web、メール、モバイル分析
担当者は、メールやモバイル、Webサイトなど散在している複数のトラッキングデータを、Marketing Cloudの「Journey Builder」で把握することが可能になりました。必要なデータを容易に収集でき、なおかつ、消費者とのエンゲージメントの全容を一つのダッシュボード上で、リアルタイムに確認できるのは大きい!
●包括的なアトリビューション分析
両プラットフォーム間の連携により、直接コンバージョンに貢献したチャネル・コンテンツだけでなく、コンバージョンに至るまでのすべてのコンタクトポイントによる貢献度を計測できるようになりました。その結果、予算やリソースの最適な配分はもちろん、新たなコンタクトポイント・インサイトの発見につなげることもできます!
●オーディエンスに合わせた最適なアプローチ
Google アナリティクス 360で「購入者」「ロイヤリティ顧客」「サイト閲覧のみの訪問者」など訪問者の状態にあわせてセグメントしたオーディエンスを作成し、Marketing Cloud上で作成したターゲットリストをもとに、追加情報の提供やプッシュ通知などのシナリオを用意することで、エンゲージメントを図ることが可能になりました。
※セミナー資料より抜粋
重要なのは正しいGoogle アナリティクス 360の設定!? e-Agencyが語る導入のポイント
これまで紹介してきたように、Marketing CloudとGoogle アナリティクス 360が連携したことで、これまでデータ収集、分析にかけていた時間が短縮され、マーケティング効果の最大化に向けた高速PDCAを回すことが可能になりました。ここからは、これからMarketing CloudとGoogle アナリティクス 360の連携を始める方のために、Google アナリティクス 360の導入・運用サポートおよびデータ活用において国内トップクラスの実績を誇るe-Agencyに、Google アナリティクス 360のセットアップの仕方を紹介していただきました。
簡単セットアップ! Google アナリティクス 360とMarketing Cloudの連携手順
※セミナー資料より抜粋
STEP1:メール配信用パラメータ作成
まず、Google アナリティクス 360で集客レポートを作成するために、Marketing Cloud上でパラメータの設定を行いますが、「参照元(source)」「メディア(medium)」「キャンペーン(Campaign Name)」の3つを設定するだけで、UTMパラメータが自動で生成されます。つまり、GA側での設定はまったく不要で、Marketing Cloudで設定した「参照元(source)」「メディア(medium)」「キャンペーン(Campaign Name)」「広告のコンテンツ」のパラメータを取得します。また、コンバージョンやトランザクションのレポートについては、これまでGoogle アナリティクス 360で見ていたものと変わりませんが、Marketing Cloudのキャンペーンに紐づいたレポートを出力することができます。
STEP2:目標・収益・行動データの連携
Marketing Cloud経由で配信したメールの「配信数」「開封率」「クリック数」は、Marketing Cloud上で把握することができますが、配信したメール経由の売上貢献度や目標到達度を把握するには、Google アナリティクス 360上の「目標」「収益」「PV数」「セッション数」との連携が欠かせません。順を追って設定の仕方を紹介します。
すでにご存知の方も多いかもしれませんが、Google アナリティクス 360の「目標レポート」は、行動到達ページ(コンバージョン)のURLを登録しておくことで、訪問者のコンバージョン情報を確認することができます。サイトの内容に合わせて、滞在時間や動画再生などのイベントを設定することができるため、忘れずに設定しておきましょう。
Google アナリティクス 360の「eコマースレポート」は、商品ごとの注文回数(トランザクション数)や販売分析ができるレポートです。「目標レポート」と比べると、サイトの実装が必要であるため、事前の設定に手間がかかります。導入の際には、技術部門の方と相談して設定してください。
STEP3:Google アナリティクス 360のオーディエンスリストと連携
商品をカートに入れたけど離脱してしまった顧客、キャンペーンのパラメータを踏んだけれどコンバージョンしなかった顧客など、コンバージョンさせたい顧客をセグメントして、Marketing Cloudの「Journey Builder」のシナリオからメール配信をするという機能です。こちらの連携は2018年8?10月リリース予定のため、詳しい機能が発表され次第、新しい情報を提供していきたいと考えております。
これだけは知っておきたいMarketing Cloudの新機能・連携のモデルケース
Google アナリティクス 360との連携により、対象となる機能はMarketing CloudのJourney Builder。新たに「ジャーニー分析」というダッシュボードが追加され、これまでMarketing Cloud側で確認していた「シナリオメールの配信結果」、Google アナリティクス 360側で確認していた「サイトアクセス状況」を、1つのダッシュボードで可視化できるのが特徴です。会社や組織によっては、それぞれの数値を別の部署で管理している場合がありますが、1つのダッシュボードになったことで、他部署の作業を待ったりする必要もありません。ここからは、Journey Builderに追加された新しい機能について、画面を見ながら解説していきます。
1. 「ジャーニー分析」という新しいダッシュボードが追加
このダッシュボードでは、Marketing Cloudから配信されたメール経由のサイトアクセス状況(目標・eコマース・サイトの使用状況・メールパフォーマンス)を把握することができます。実際に何通かメールを配信し検証してみたところ、15分ごとに結果が反映されました。
(ジャーニー分析)
(ジャーニー分析 日付範囲)
また、新たに「日付範囲」が加わったことも大きな特徴です。Marketing Cloudのシナリオから常にメールを配信している場合、配信結果を前の週と比較して見たいということが容易ではありませんでした。日付範囲が加わったことで、期間ごとの目標・売上などをソートすることも可能です。また、キャンペーンの成果が出ずに、途中でシナリオを変えたい場合も、日付範囲を指定することで新しいシナリオの効果検証を行うことができるようになりました。複数のシナリオを動かす場合、似たようなシナリオが増えてしまうという課題がありましたが、より効果の高いシナリオを選ぶことができます。
2. コンテンツブロックごとの分析
複数のコンテンツで1つのメールを構成する「テンプレート型メール」を配信している場合、コンテンツごとの効果を分析するのが難しいという課題がありました。配信時間や配信本数の影響を受けやすく、コンテンツ自体の評価がしづらいという担当者も多かったのですが、今回の連携によりメール内のコンテンツ(ブロック)ごとに評価できるようになりました。
3. ジャーニー単位でシナリオを通しての分析
今回の連携で、シナリオからメールを自動配信する際に、Marketing Cloud側でUTMパラメータを付与できるようになったため、メールごとにパラメータを設定する必要はありません。反対に、「キャンペーンソース」「キャンペーンメディア」は組織ごとに、「キャンペーン名」はメールごとに任意のパラメータを設定することが可能です。「キャンペーンコンテンツ」「キャンペーンID(ジャーニーID)」にはシナリオごとに個別のパラメータが設定され、シナリオを通しての分析が可能になりました。
4. オーディエンスの活性化
顧客への一貫したアプローチをするためにカスタマージャーニーマップを作成し、顧客に対してオンライン広告を表示させた後に、メールを配信するという施策を考えている担当者も多いと思います。ただ、データを持っている部署が異なることやツールから取り出せるデータの制限などが原因で、施策ごとに対象者が分かれてしまったり、反対に、顧客ごとに別の施策を打ちたいにもかかわらず、施策が重複してしまったりして、顧客の行動に合わないという問題がありました。
今回の連携のポイントは、Google アナリティクス 360で把握していた訪問者数や訪問者の行動に、Marketing Cloudで把握していた人の情報を掛け合わせて、アプローチができるようになったこと。施策ごとにオーディエンスを分けるのではなく、GAでわかる訪問者の一連の行動・状態、オーディエンスを作成し、そのオーディエンスに一致したリストをMarketing Cloudで作成し、最適なシナリオでアプローチできるようになったことです
<訪問者の状態・行動で作成したオーディエンスの例>
・まだ一度も商品を買っていないが閲覧はしている「未購入者」
・○カ月以内に1度だけ商品を購入したことがある「購入者」
・○カ月以内に何度も商品を購入したことがある「ロイヤリティ顧客」
また、シナリオの反応をもとに、Marketing CloudからGoogle アナリティクス 360にデータを渡して、より精度の高いオーディエンスを作成することも可能です。
2018年7月に行われたSalesforce B2C CRM Conferenceでも紹介された、Marketing CloudとGoogle アナリティクス 360との連携ソリューション。今後もさまざまな機能が実装され、両プラットフォーム間の連携に向けた取り組みが強化される予定です。IMJでも継続的にその取り組みを紹介していきます。ぜひご期待ください。