■再発明チャレンジとは?

ACCENTURE INTERACTIVE STUDIOS TOKYO ロゴ

IMJの新しいスローガン<REINVENTING THE EXPERIENCE=体験の再発明>
<最高のエクスペリエンスを生み出す共創スタジオ>というコンセプトを持つACCENTURE INTERACTIVE STUDIOS TOKYOで、アクセンチュア インタラクティブと共に日々、体験の再発明に取り組んでいます。
……が、実際のクライアントとの共創プロジェクトはなかなかご紹介できないので、トレーニング的にさまざまな体験の再発明にチャレンジしてみて、その過程を公開していこうという企画です。

■今回のテーマは「ベビーオムツの利用・購入体験」!

共働き世帯の増加、核家族化などが進み育児環境が変化しているのであれば、オムツの利用・購入体験も進化していくべきではないか?と考え、チャレンジすることにしました!

【1】インタビュー調査&分析、【2】ユーザー分析、【3】ペルソナ、【4】アイディエーションというサービスデザイン過程&アイデアA『オムグラフ』については前編をチェック!
前編はこちら

前編では、スマホアプリで撮影するだけで、赤ちゃんにぴったりのオムツサイズをレコメンドしてくれる「オムグラフ」というアイデアを紹介しました。
後編ではもうひとつのアイデアと、インタビュー調査に協力してくれたオムツユーザーへ今回のアイデア&プロトタイプのレビューをしてもらったので、その様子もお伝えしていきたいと思います。

※ご紹介するアイデアはあくまで発想段階のものであり、技術的な検証や事業計画検討といった段階を経たものではありません!

【再発明アイデアB】
デジタルストッカー×枚数販売でスマートなオムツ購入を!

スマートオムツDELI

ユーザー分析から、ベビーオムツは、切らさずに定常的にほしい生活必需品にも関わらず、収納場所やサイズアップの心配からまとめ買いしにくいというジレンマを抱えていることがわかりました。サイズを変更していく手間もあるのでネット通販の定期便も使いにくいとのこと。そのせいで「あ。やばい! 切れそう……」と慌てるシーンも多いようです。

また、オムツはすぐ取り出せるような場所に10枚程度置いておくスタンバイ場所と、納戸といったストック収納場所の2か所に分かれて置かれており、ユーザーは、都度補充しなおすという作業をしていることもわかりました。
それらの課題を解決できないか、ということで考えた発明がこちらです。アイデアをムービー化しましたので、ご覧ください。(ナレーション付き)

<アイデア>

ユーザーはオムツの残量が分かりやすいデジタルストッカーをレンタル。取り出しやすく、収納しやすいのでストック収納とスタンバイ場所をひとつにまとめられます。
残数が少なくなったらアラートが表示され、ストッカーについた画面から直接、発注可能です。指定時間に配達員が来てくれ、パック販売ではなく枚数販売で、補充する分を置いていってくれます。
サイズが気になったら、数枚だけ次のサイズを置いていってもらったり、余ったら別のサイズに交換してくれたりと、サイズアップにも柔軟に対応できます。おしりふきや処理袋などもついでに購入できて便利です。

<ビジネスストーリー>

このサービスには、いくつかのビジネスプレーヤーが考えられると思います。

ドラックストアのようなオムツをすでに販売しているプレーヤーが配達サービスを追加するという方向性、もしくは、すでに配達拠点や配達員を資産として持っているプレーヤーがオムツ配達サービスをスタートさせるという方向性。その場合、配達員はできれば、子育て経験のある女性(例えば、ヤクルトレディさんやダスキンレディさんのようなイメージ)のほうが、自身の子育て経験をいかしてユーザーとのコミュニケーションがとれるかもしれません。核家族世帯も増える中、子供の成長をともに見守ってくれる配達員との気軽な会話が、育児の孤独感を解消することにもつながるのではないでしょうか。

もしくは、ドラックストアと配達プレーヤーがうまく提携してサービスを実施するなども考えられますし、また、Amazonのようなネットをメインでオムツ販売をおこなっているプレーヤーや、UberEATSのようなカタチで新規参入組がスタートする方向性ももちろんあると思います。

衛生用品ということを考えると、密封されたパックではなく枚数販売への切り替えはハードルはあると思いますが、いったん今回は業界のしきたりや既存の枠組みを考慮しすぎないユーザー価値を追求したアイデアとして、枚数販売への変革を提案しています。

【5】プロトタイプ制作

STUDIO内にあるMAKERS ROOM。作業台と工作ツールを備えています

「デジタルストッカーって実際どんなものがよいのだろう?」「そもそもこういう機器を部屋に置くことって現実的なのかな?」という疑問が沸いてきたため、アイデアBのデジタルストッカーについて、プロトタイプを制作してみることにしました!

・オムツが2パック分(140枚)くらい入る
・取り出しやすい高さに取り出し口を
・残量がわかりやすい表示
・場所をとらないような細長い設計

こんなことを指針において設計したものを、STUDIO内のMaker’s Room(工作室)にこもって、作ってみました。

1.グルーガンとプラスチック段ボールでストッカーの面を工作

2.紐とオモリをつかって、つり上げ構造で実現(IMJなのにめっちゃアナログ!)

3.残量表示は超音波センサーを利用

センサーで残量を分かりやすく示します!このあたりは、IMJで最新テクノロジーを常に研究しているR&Dユニット「すまのべ!」にサポートしてもらいました!

4.タブレット画面を固定するパーツは3Dプリンタで制作

Maker’s Roomには3Dプリンタもあるので、活用しました。

5.タブレット画面内では発注画面フローを再現。

現在ストックしているおむつのスペック、ストック残量、注文ボタンのほか、ステップアップにおすすめのオムツ一覧が表示されます。

ということで、スマートストッカーのプロトタイプ1号、完成です!

【6】ユーザーレビュー

前編で紹介した【2】利用者インタビューで協力してくれた社員に再びお声がけして、今回作った2つのアイデアについて説明(動画視聴)およびプロトタイプを見てもらい、意見を聞きました!
※本来は、ストーリー動画を用いた価値検証や改善にむけたプロトタイプを用いたユーザーテストを実施しますが、今回は簡易的なレビューになっています。

アイデアA: 『オムグラフ』について

動画視聴時は「へー」「あー、なるほど」「いいかも!」という声がもれつつ、「平均値で悩まないというのは、特に不安が大きい第一子のときは大切!」との声。

今回はオムツメーカーが提供する想定での動画になっていましたが、「やっぱりメーカーごとに微妙にサイズがちがうので、メーカーフリーでそこまでレコメンドしてくれるのが理想かな」という意見もでました。また、「これ無料だよね?」という質問も。インタビュー時はオムツ自体のコストにはさほど気にかけていなかった様子でしたが、新しいサービスにコストを掛けるのは厳しい様子でした。

アイデアB: 『スマートオムツDELI』について

試作したデジタルストッカー。大人の腰くらいの高さにタブレットを搭載しています。

こちらも、「あー、便利!」という声が聞こえ、まとめ買いしにくいという課題を解決してくれそうでよいと好印象。

プロトタイプを触ってみた印象としては、「取り出し口はこの高さくらいがよい」「画面もいたずらされそうなので、上がよい。でも上の子がこの高さでも届いてしまいそうなので、画面がないほうがよいかも?」とのこと。なるほど! いたずらされるというシーンを想定すべしという学びを得ました。

おうちにどこに置こうかというイメージはつきますか?」と質問すると、「うん、あのへんにおけそうだなとイメージがつく」と答えていました。
「最近夜だけ別の種類のオムツにしてたりするので、そういうニーズには対応できないかもな」という声もあり、イレギュラーなニーズも拾えました!

この声をもとに、プロトタイプ2号を作っていくという旅が始まるわけですが、いったん今回の企画はここで終了といたします。

【7】最後におまけアイデア

ストーリーボードでアイデア投票の際に盛り上がったアイデアをおまけでひとつ紹介します。

おむつ替えを楽しくする!「ウンチドッチ」。誰がオムツ替えをしたか、ウンチドッチがカウント。迷ったらゲームで替える人を決定。月末には、がんばった人を表彰してくれます!

体験の再発明まではいかないけれど、ユーザー課題の解決の方向性としては、こういうのもありだよね! おもちゃメーカーなどが、育児支援グッズとして開発するといったストーリーもありえるのでは?と盛り上がりました。

さて、次回はどんな体験の再発明にチャレンジするのでしょうか?

オムツ体験を再発明してみよう【前編】を読む

【テーマを募集します!】
ニンゲンラボでは「こんなテーマで再発明ワークしてみて!」というご意見を募集中です。
また、今回のアイデアをもとに、IMJとともに共創してさらに発展させたい! もうちょっと詳しく教えて!等、お気軽にお声かけ下さい。

こちらからメールにてご連絡ください。

動画制作:
安西 哲平(アニメーション)/小田部 俊彦・小田 聖衣(編集)/吉田 実央(ナレーション)/後藤 仁和(監修)

ニンゲンラボとは?

デジタルの力でニンゲンの生活がどんどん進化していく。変わっていく行動様式と、変わらない人間の根源的欲求。多様化していくライフスタイルと、多層化していくコミュニケーション。
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デジタルを通じて、ユーザーエクスペリエンスを作り続けてきたアイ・エム・ジェイだからこそ、デジタルを通じて変革・進化するニンゲンの「今」と「未来」を研究していきます。