登場人物
A太 100万円が当たったら生前葬してもらいたい。インスタ映えする生前葬とかどうですか? 最高じゃないっすか? 前略プロフィールが早く消えることを望んでいる。
B子 100万円が当たったら愛犬を50万円分愛でたい。犬のニオイを一生嗅いでたい。概念として犬を愛したい。50万円はライザップしたい。マイミクからの紹介文を書き直したい。
いっけないー!ナイトプール、ナイトプール!私B子、どこにでもいるInstagramの投稿はストーリーばっかり普通の26歳のOL☆ホテルオークラのナイトプールでセルフィーしてインスタあげたんだけど、めっちゃいいね少なくてもう大変。
もしかして私って時代遅れ……!?
ちょっと待ってください先輩。まだナイトプールで頑張ってリア充アピールなセルフィーしてるんですか? SNOWで盛った犬顔でピース。プールの近くで全員で「はい、ジャンプ!」。
いやいやいや、もっと「チル」していきましょうよ。
え、チルって何?? 幸せの青い鳥?
盛りからナチュラル志向へ、新時代のリア充ワード「チル」
ワカモノの間では「ぐだぐだと、ゆったりしている状態」を表す言葉として「チル」を使うことが増えてるんですよ! 「チル」って英語の「Chill」からきてるらしいんだけど、スラングで「リラックスする」とか「落ち着いている」という意味だとか。
例えば、仲間と飲みながらゆったりしてるよ~、みたいな投稿。「グダグダ、ゆったりした時間を楽しめる。充実している日常」って感じとかですね。
な~るほど。前に話したストーリーの流行に近い感じだね。「盛る」ことに必死になることがもうダサい。日常のゆったりした時間を楽しんじゃってますワタシ、的な?
そういうことですね~。ここ最近ってInstagramが流行して、いかに「いいねを稼ぐための魅力的な写真をあげる」かが重要視されていたじゃないですか。
ああ、インスタ映えとかフォトジェニックって言われてきたことだね。
結構頑張って非日常感を出していたり、いつもの自分から「盛っていた」と思うんですよね。でもそれって本当にリア充だったっけ?と感じる人が増えたそうとか。
確かに友だちと出掛ける時に「いかにインスタ映えしているか」でイベントとかカフェを判断しているというか。撮れ高ベースでフォトスポットを探しちゃったりしてたかも。インスタに支配されているというか、なんか疲れちゃうんだよね。その時間を楽しめてないというか。
そう! それまでは、インスタ映えするいわゆる盛り盛りな写真をあげているのがなんか頑張っちゃってて、それってリア充じゃなくない?となってきたんです。そういった、まさに「盛り」をやりすぎたフォトジェニック疲れから生まれた新しい感覚の一つが「チル」なわけですよ。
金閣建てた後に銀閣建てるじゃないですか。日本、古来からおんなじこと考えてるんですよ。侘び寂びのような精神です。盛りを極めたあとはナチュラルになりたいんですよね。伝わりますかね?
最高にチルですよ! 映画を楽しんでる私をわざわざ出さずに、楽しんでそうなチルくてリア充な雰囲気を投稿していますよね。
ピクニック! 代々木公園で、サッと作ったサンドイッチとコンビニコーヒー!
間接照明暗めのカフェバーで、レトロなソファに気の置けない仲間たちとグダグダ集まってシーシャ吸いながらジントニックを飲むこととかは?
そう! それが「チル」!!! 次世代の「インスタ映え」トレンドなんです! もう原宿、カラフル、ピカピカ、天使の翼でレインボー綿あめの時代ではないんです!
なるほど…確かに分かる気がする。音楽もスチャダラパーが流行ったり。最近流行りのYogee New Wavesとか、DENIMSもなんとなく「チル」な気がする。サウナの梅湯みたいな、最近の銭湯ブームも「チル」だよね。BathHausとか特にチルだし! イケてるフリーランサーにバチバチ刺さりまくってると思う。みんな疲れちゃうよね……。ほっと一息つきたいんだろうね。
・最近のインスタ映えは「盛る」ではなく「ナチュラル」。その一つのトレンドが「チル」
・「チル」は、グダグダしてるけど心地よい空間・時間のこと!
・うぇーーーい!とは違うよ! ふぅ~(深呼吸)みたいなリア充層だよ☆
・代官山とか吉祥寺って感じだよ! 渋谷のハロウィンはもうおしまい☆盛って頑張ってるのは真のリア充じゃない!
・インスタのストーリーでチルい、チルアウト、chillって書きがち。GIFを使って表現する人もいるよ☆
んー。「チル」はわかった。ただ「エモい」との違いがわからないんだよなー。
ああ、エモいってこれですか?
2018年の代表ワード「エモ」とは…?
ポプテピピックすな。「エモい」って言葉は去年爆発的に流行ったよね。語源は「エモーショナル」、意味としては「感傷的」「心にグッとくる」みたいな意味合いがあるよね。
古語の「をかし」の精神だって言ってる人もいましたね。「アツい」「感動する」「懐かしい」「刹那的」どれもが今では「エモい」という言葉で表現できるんだと思います。ちょっと前で言うところの「ヤバい」ですね。
確かにいろんな意味があるんだけど、去年の夏頃からは「ノスタルジックな感情」という意味で「エモい」って言われ始めたんじゃないかな。写ルンです。とかカメラアプリのHuji Camとかが流行ったんだよね。
インスタントカメラで撮った風な色味の写真がインスタに沢山アップされてたイメージ。
「懐かしい」って感じだと、同窓会とか卒業式も「エモい」ですよね。成人式の日に「これは何年前なんですけど~」っていって前撮りの写真をTwitterやInstagramにアップしている人もいたけど、エモかったですね。
・「エモい」って言葉は「気持ちがアツくなる」「感動する」「懐かしい」って意味が入った便利な言葉
・最近はレトロブームも一緒になって「懐かしい」という意味で使われがち
・自分の時代じゃないことも「懐かしい=エモい」と感じることがあるよ
・最近のキャンペーンでは誰かに「エモい」と思われるとウケが良いよ
なるほどね、だいぶ分かってきたぞ。今までのインスタ映えでフォトジェニック盛り盛りブームは結構疲れてきてるから、冒頭の「ナイトプール大好きな私」は寒かったわけね……。
プールだけにね……。エモもチルも近いんですが、流れとしてはインスタ映えで疲れた人が始めたストーリーで発展したように思います。だって毎日盛り盛りパフェ食べられないじゃないですか。喫茶店でクリームソーダ飲みたいじゃないですか。で、こうやって「ナチュラル系リア充」な「チル」が台頭してきたと。
ふむふむ…聞いた感じだとこういった流れでフォトジェニックなものが変化してきたのかな?
そうですね、どちらも同じタイミングだった気がするけど、エモに関しては2018年Twitterで平成最後の夏でモデルアカウントとかカメラアカウントで盛り上がってましたね。
エモは特に感情に近いから反応も感情や言葉で返したい、っていうのでTwitterでバズったのかもね、Instagramだとハート?しか送れないから。ま、具体的なインスタ今昔物語は次回まとめよう!
あとはそうですね。「チル」と「エモ」の違いはこんなイメージです。
理解~。あれ、この丸が重なっているってことは、一緒のやつもあるのよね?
はい! 人によって「チル」で「エモ」なやつがあるかと! 僕は畳。
しぶ……エモいチョイスだね~~!
・いわゆる「インスタ映え」なフォトジェニックなブームに疲れている人が出てきた
・フォトジェニック疲れした人は盛り盛りの写真映えではなく、日常的なオシャレ「チル」を演出しがち。
・次に来るSNS映えはズバリ「チル」!
・多義的だからそのタイミングによって使い方や意味は変わりがち。
ここで問題!これは盛りなの? チルなの? 2019年の流行の波に乗れるか! 盛りかチルか!エモいクイズです
ごちゃついてね?www
今年で「平成」が終わっちゃいますけど、何かします?
えー。なんだろ。結婚かな?
最高じゃないっすか! エモな(=感動的な)余興のVTR作りますよ! 今までの思い出とか振り返っちゃったりするの良いかもなー。最初の記事とか読み返すとエモい(=懐かしい)ですもんね。にしても先輩が結婚かー。めでたい! エモい(=気持ちがアツくなる)なぁ。
おいおい、まじでやってくれる? 呼ぶよ? とりあえず、チル(=落ち着いて)ってこうぜ。
ちゃんちゃん。
ワカモノ発信部とは?
ミレニアルマーケティングに力を入れる企業が多い中、企業の調査資料などで示される「若者の消費行動」や「若者像」は、若者当事者に言わせるとズレを感じることがありました。
IMJワカモノ発信部では、若手マーケター達が日々ワカモノトレンドを収集。当事者目線でインサイトを深掘り考察することで、若者の実態と本音に迫るレポートを発信していきます。